41[花]ガイダンス が目つきをかえる

2024/05/03(金)12:05
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 桜も葉桜へと着替えていく2024年4月20日(土)、イシス編集学校でも学衆から師範代にむけて、着替えの用意が始まった。41[花](5月11日開講)花伝所オンラインガイダンスでは、届いたばかりのインストラクションを手に、入伝生がきりりとした表情をみせた。

花伝所所長・田中晶子、平野しのぶ・林朝恵両花目付による三位一体ガイド&インストラクションは、減速しない華麗なバトンパスで、入伝生に問いを重ねた90分となった。

 

■OSを変える学び方へ:所長・田中

 花伝所は「道場稽古」あるいは「修行」によって「自分から離れていける」と田中は語った。バックミンスター・フラーの言葉、「訂正力こそがクリエイティビティ」を紹介し、「1つ指導されたら進んで10わかるくらいの先取り感覚をもってもらえたら」と、「地」を自由に動かしイメージが変わる方法を伝えた。前のめりのカマエが求められている41[花]。小刻みに、時に深く頷く入伝生に田中がその日届けた第一声は「すごい!」だった。校長・松岡正剛の「代」に向かう入伝生の気迫を察知したにちがいない。

 

■日本語力の達人になる:花目付・平野

 「鍛えるとは徹底的に真似る」ことだと平野はいう。遊刊エディストで校長が掲げた「師範代の5つの条件」から、「日本語の達人になる」ことを取り出し、花伝所の肝だと明言した。先達の指南を「盗む」ようにススメ、「書く、訂正して出す、推敲して出す」のフィードバック(FB)ループこそが指南を磨いていく方法であると示した。重ねてフィードバックループの言い換えを求め指名した。

 

KM:「自分のスタイルを最終的につくること」というのが印象的でした。
   手元にひとつひとつ引き寄せることを繰り返すイメージです。

 

入伝生は受け取った指南を、受け渡す側へとイメージを膨らませていく。入伝生同士、共読の場で鍛え合い、短い[花]の期間をやりきるようにと平野は背中をおした。(日本語の達人?)問いを握りしめた入伝生に更新がかかる。

 
■エディティング・セルフ:花目付・林

 「新しい価値って?」資料をレクチャーする林に問われた入伝生は戸惑った。「問感応答返」は問いがあるから、いつものセルフからエディティングセルフにむかっていけると謳う林。問いによって自由な躍動を興すロールが師範代で、自己を変化させながら相手も一緒に変わっていける場が教室なのだ。師範代も学衆も自分で探すしかない答えに「方法」をつかってむかっていくとき、新しい価値がうまれる。林は学衆と師範代の境にいる入伝生に向けて「瀬を渡っていくときに人の才能は開き、最も変化が表れる」と校長の言葉を引いた。
 この日、41[花]は原郷から旅立った。

 

文 新垣香子(錬成師範)

アイキャッチ 中村裕美(錬成師範)

 

【第41期[ISIS花伝所]関連記事】

41[花]夜稽古で書き伝える刀を研ぐ

53[守]伝習座「まなび」のゆくえ

  • イシス編集学校 [花伝]チーム

    編集的先達:世阿弥。花伝所の指導陣は更新し続ける編集的挑戦者。方法日本をベースに「師範代(編集コーチ)になる」へと入伝生を導く。指導はすこぶる手厚く、行きつ戻りつ重層的に編集をかけ合う。さしかかりすべては花伝の奥義となる。所長、花目付、花伝師範、錬成師範で構成されるコレクティブブレインのチーム。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025

大沼友紀

2025-06-17

●記事の最後にコメントをすることは、尾学かもしれない。
●尻尾を持ったボードゲームコンポーネント(用具)といえば「表か裏か(ヘッズ・アンド・テイルズ:Heads And Tails)」を賭けるコイン投げ。
●自然に落ちている木の葉や実など放って、表裏2面の出方を決める。コイン投げのルーツてあり、サイコロのルーツでもある。
●古代ローマ時代、表がポンペイウス大王の横顔、裏が船のコインを用いていたことから「船か頭か(navia aut caput)」と呼ばれていた。……これ、Heads And Sailsでもいい?
●サイコロと船の関係は日本にもある。江戸時代に海運のお守りとして、造成した船の帆柱の下に船玉――サイコロを納めていた。
●すこしでも顕冥になるよう、尾学まがいのコメント初公開(航海)とまいります。お見知りおきを。
写真引用:
https://en.wikipedia.org/wiki/Coin_flipping#/media/File:Pompey_by_Nasidius.jpg