かつて「大人マンガ」というジャンルがあった(詳しくは「マンガのスコア 園山俊二」参照)。この周辺には、ファインアートと踵を接する作家たちが数多く存在する。タイガー立石もその一人。1982年、工作舎から刊行された『虎の巻』は、まさしくオトナのためのマンガの最極北。いいお酒といっしょにちびちび味わいたい。
オンライン開催になって3度目の一大イベント感門之盟は無事閉幕、本楼と世界をつなぎ、またしても新たな関係線が発掘された。参加者は総勢280名。日本国内のみならず北はスイスから、南半球はオーストラリアまで師範代らが駆けつけた。ねこ好きで家族愛が溢れる48[守]じきじき編調教室の学衆は齋藤玲子、ブリスベンから金髪モヒカン刈りを披露し48[守]電束青猫教室を率いた師範代の輪島良子、そして36[花]わかくさ道場放伝生で次期49[守]教室の師範代デビューを控える大塚信子の三人も、それぞれに胸を高鳴らせ画面を見入っていた。
地の異なる三人の関係線は、二日目のブレイクアウトタイムに明かされた。咄嗟にインタビュアーに着替えた師範の平野と師範代の渋江徹が投げかける。「齋藤さん、入門の動機はご姉妹からのご紹介って言ってたけど?」早々に進破を決めていた齋藤玲子は息子の部活動応援の合間をぬい、野球ユニフォームのまま大急ぎで駆けつけた。画面越しに、にっこり即応でつぶやいた。「私の長姉はあの輪島良子なんです、ゴールドヘア、毛染めもカットも自分でやってます。一番突拍子もないというか・・」チーム遊獏みんのブレイクアウトは騒然となる。「あのパンキッシュでカッコいい、ワジマール船長!(驚)」というのは発せられない皆の心の声だ。「49[守]の師範代になる大塚信子も姉なんです」。教室名発表は三姉妹のみならず、ブレイクアウトに集った全員にとって、手に汗にぎるとっておきの「事件」となった。
次期48 [破]で出世魚する師範代の渋江徹は、前日の卒門式で学衆から2つも花束を贈られ想定外のプレゼントに感涙と驚きで既に舞い上がっていた。そこへ、驚愕の三姉妹物語の開陳である。これはシマッタ(汗)と花伝道場を思い出す。輪島良子師範代は渋江と35[花]やまぶき道場で同期である。振り返れば、編集の糸は縦横に張りめぐらされていたのだ。
さっそく渋江は入門前にどんな話を姉たちから聞いていたかと尋ねた。「長姉良子からは、娘とコミュニケーションが取れるからやらないかと。私は師範代をする姉にお祝いで受講してみようと決心しました。次姉信子からは、楽しいよ!一緒にやりたいなぁと。とにかく楽しそうな姉たちが印象的でした」。お祝いの気持ちで受講を決めたところが、家族思いの三女らしい。編集学校は贈与が是なのである。縁をつなぎ、言祝ぐ場にふさわしい。
渋江の質問が続く。「稽古中、上の姉にはお題提出のペースなどを話したり、私の体調が悪くてストップした時に相談していました。下の姉には一緒に多読ジムやりたいなぁ、話ができてうれしいなぁと喜んだり励ましたりしてくれました」。三姉妹のあいだでは編集学校が入れ子となり、稽古をメディアにして家族の絆が交歓されていた。オーストラリアに住む姉良子には日本から姉妹がかわるがわる、本をおくる。「感門之盟の後、姉二人はとても感動していて、それぞれの教室名を噛みしめ次のステージを励ましあいました。長姉良子は師範代の楽しさを話していましたし、次姉信子は校長から教室名をもらい直に会えた喜びで一杯です。今度は3人で本楼に行きたいねと」。大塚信子は二度の守学衆を経験し花伝所に入門、満を持しての次期師範代登板を迎える。「姉二人から、師範代になったら?三姉妹師範代いいんじゃない?と言ってくれてますが、私は師範代にはならないよ、と言ってます」
※ブリスベンの自宅からzoom inする輪島良子師範代
しばらくの小休止の後、稽古に復帰した斎藤は凄まじい瞬発力で教室トップで卒門を決めた。その勢いにじきじき編調教室のメンバーはただならぬ気配を感じていた。その陰には、多弁で先頭をゆく良子と共読クイーンと慕われた信子、二人の先達ロールモデルの存在が伏せられていた。
「私は師範代にならない」。守学衆はみな、最初はそういい放つ。しかし兆しはすでに在る。誰もが師範代ロールを担うポテンシャルをもっていること、編集学校にはそれを叶える型が存在することを、渋江自身が身をもって体感している。渋江は瞬時に見抜いた。三姉妹は型に沿って守→破→花の三間連結を歩み、困難のハードルがやってきても、共鳴し合う三位一体モデルとして進化を続けるだろう。自在に形を変え、ときに助け合い互いに成長していくに違いない。
良子・信子・玲子の不離一体トリオが編集学校をハイパージャックし、世を席捲する日も遠くないだろう。激動的革命の時代に生きた近代中国の、宋家三姉妹の三様にも重なる。編集道に終わりはない。彼女たちはこれからどんな図(プロフィール)を描いていくのか、競い合う日々がふたたび始まる。
(取材・文/師範代・渋江徹、師範・平野しのぶ)
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平野しのぶ
編集的先達:スーザン・ソンタグ
今日は石垣、明日はタイ、昨日は香港、お次はシンガポール。日夜、世界の空を飛び回る感ビジネスレディ。いかなるロールに挑んでも、どっしり肝が座っている。断捨離を料理シーンに活かすべくフードロスの転換ビジネスを考案中。
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