昆虫の巨大な複眼は、360度のあらゆる斜め目線を担保する無数の個眼の集積。
それに加えて、頭頂には場の明暗を巧みに感じ取る単眼が備わっている。
学衆の目線に立てば、直視を擬く偽瞳孔がこちらを見つめてくる。

田中優子先生による50[守]特別講義(参加者130人超)が盛り上がる裏で、49[破]の学衆・師範代はアリスとテレス賞物語編集術エントリーに向けて、疾走中であった。
物語編集術は、英雄伝説の型をつかって3000字の物語を書く、それをアリスとテレス賞(AT賞)で競う。いまだこの世になかった新しい物語を生み出すお題は、[破]の華なのだ。
特別講義で優子先生は語った。編集学校には、生徒が締切までの間に脳の底がカラになるくらい言葉を絞り出す「必死の時間」があると。それは大学ではなし得ないことだとも。まさにまさに1月15日のエントリー〆切18:00に向けて、学衆は言葉を絞り出し、師範代はその物語に多様な型を当てて指南しつづけた。
10教室・学衆67名中、エントリーしたのは46名だった。選評会議は1週間後の1月22日。月匠、番匠、評匠、師範、学匠そろっての侃侃諤諤が繰り広げられる。結果発表は、2月上旬。全エントリー作品に講評がつく。5つの課題映画のうち、人気イチバンは「男はつらいよ」13点、以下「スター・ウォーズ」「ミッションインポッシブル」「クレヨンしんちゃん」が10点ずつ、「エイリアン」が3点だった。エイリアンを選ぶ学衆は毎期少な目だが、ほかは拮抗していてバラエティがたのしみだ。
いわゆる人気シリーズ映画の型を読みとり、それをもとに別様なワールドモデルに着替えて新たな物語をつくる。この1か月、何度も再回答した学衆は、物語の型、それが持つ意味とパワーを身に沁み込ませたことだろう。世にある物語は、小説や映画などエンタメばかりではない。嘆かわしいことではあるが詐欺師のつくった物語にからめとられることもあれば、自ら苦しい物語に縛られてしまうこともある。物語編集術を手にした学衆は、方法としての物語というメタな視点を手に入れた。世に溢れる物語をより楽しみ、うまく付き合ってゆけるだろう。
原田淳子
編集的先達:若桑みどり。姿勢が良すぎる、筋が通りすぎている破二代目学匠。優雅な音楽や舞台には恋慕を、高貴な文章や言葉に敬意を。かつて仕事で世にでる新刊すべてに目を通していた言語明晰な編集目利き。
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2025-07-29
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これこれこの感じ。まさにこれが九州男児バイ!(…と、よそ者の目には見える…)