{[(ゴミムシぽいけどゴミムシではない分類群に属している)黒い星をもつテントウムシに似た種]のように見えるけど実はその偽物}ことニセクロホシテントウゴミムシダマシ。たくさんの虫且つ何者でもない虫です。
命に名を与えるのではない。命の元である《地》のどこかに注意のカーソルを向けて、《図》を取り出し、名前を与えるからこそ、それがこの世に認知され、命になる。名付けは命付けだ。
名が付くから他の名付けらたものとの差をはかることができ、縁が起こる。名もない花が蒲公英と名付けられるから、菫とは色も形も違うけれど、どちらも花だね、といった関係性≒縁が立ち現れる。名付けは縁付けでもある。
ソール・クリプキの『名指しと必然性』以来、何かに名前がつくということは、そこに何かが実在してしまうことであり、かつ、そのものとその他のものとの関係が多様に生まれ、そこにさまざまな「可能世界」が広がっていくのだということが見えてきた。
イシス編集学校では名付けを《ネーミング編集術》と命名し、[守]の型や方法の集大成と位置付け、稽古する。子ども、会社、商品など、大切なモノがどんなモノで、どこにいて、誰に必要で、なぜ大切なのか、を本人・相手・社会に伝えるために、《ネーミング編集術》はある。何かを、誰かを慈しむ気持ちを表現したい全ての人にとって、重要な技なのだ。
感門之盟2日目の、教室名発表のコーナー「冠界式」は、あの人がどんな教室名をもらうのか、にワクワクドキドキする場であると同時に、編集学校校長松岡正剛の《ネーミング編集術》が世に開かれる、貴重な稽古場でもある。
ウオオオォォォォ〜!
本楼が唸った。世界中の編集学校ファンの目が、ひとりの女性に向かう。新垣香子。イシス編集学校が大切に育ててきた型《カタルトシメス》を教室名にプレゼントされた、新師範代だ。
左からカタルトシメス教室・新垣香子師範代、石黒好美新師範、一月二十五日教室・束原俊哉師範代。新垣と束原は48[守]平時有事教室で石黒好美師範代の元、共に学んだ戦友。
《カタルトシメス》は超難解な哲学者、ヴィトゲンシュタインを柔らかく噛み砕くために、松岡が生み出し、育ててきた言葉だ。とはいえ《カタルトシメス》は難しい。「《カタルトシメス》って何?」を追い求め、つい冒険をはじめてしまうことになる。
新垣が《カタルトシメス》やヴィトゲンシュタインと出会ったのは、昨秋、編集学校の師範代養成所・花伝所だった。まず、指南役の中村麻人師範が使っていた「ケリ」に注意のカーソルが反応した。新垣にとって「ケリ」は近しい人に対して使う言葉。それが花伝所で使われたことにビックリした。今までの自分に「ケリ」をつけると、師範代としてのカマエができ、存分に着替え、乗り換え、持ち替えができる。「ケリ」が編集八段錦の1つ目、「区別をする」を起こす方法であったことを知り、「ケリってかっこいい」と思った。
その「ケリ」が書かれた千夜で、《カタルトシメス》に出会った。ヴィトゲンシュタインと読者との間に《カタルトシメス》を特別に用意した松岡校長のユニークさに驚き、尊敬の念が改めて溢れた。
中村の導きで「ケリ」の見方が変わり、《カタルトシメス》の中に潜む松岡の《ネーミング編集術》に素直に驚く。編集学校のことをほぼ知らなかった新垣は、こうやって一つ一つの型や方法を、全身の隙間から取り込んで、師範代になった。
新垣本人は教室名発表後、色々な人に声をかけられた。『編集力』エディションや[離]などでも大切にされている編集工学のコンセプトである「カタルトシメス」が、校長から期待を込めて手渡されたからだ。そんなに重要な言葉だったのかと知り、プレッシャーも感じていた。だが一方でこうも言った。
「重要な方法ってわかっていない人に、重要な名を渡せる松岡校長を、ますます尊敬します」
言葉と出会うたび、人と出会うたび、型や方法と出会うたび、柔らかく迎え入れ、ドンドン見方に変更をかけていく。自分が型や方法に編集されることを、尊敬をもって受け入れる。これが新垣の方法だ。
筆者に写真をせがまれ、慌てて撮った写真。松岡への一途な思いが現れている。
新垣の花伝所道場仲間、ルイジ・ソージ教室師範代・南田桂吾は語る。「ゲーム機が欲しくて、それを親に買ってもらうため宿題とか、嫌いな食べ物の克服とか、お手伝いとかを頑張る、素直な子のようでした!」
左が南田桂吾師範代。右は恩師である47[守]縞々BPT教室の田中香師範代。
道場では幼心に導かれ、遊んでいた新垣。普段は沖縄の自宅で子育てをしながら、学校に行きたくない子ども達の居場所となる塾を開いている。学校と家庭の隙間にも、子供達の居場所が必要だと信じてはじめたことだ。そのために嫌いな勉強をすべく短大に行き、教員免許まで取った。信じたことに身を委ね、自らを変化させる。その姿はまるで「やわらかいダイヤモンド」のようだ。
松岡は感門之盟のクライマックス「校長校話」で、こう語った。
「名付けで重要なのは、相手に隙間があること」
新垣は筆者にこう語った。
「隙間はいっぱいあります」
「律走しながら入れていきます」
「ありがとうございます」
新垣の隙間に教室名、お題、回答、指南がどう入り込み、編集されていくのか? ワクワクと尊敬を持って見守りたい。
清水幸江
編集的先達:山田孝之。カラオケとおつまみと着物の三位一体はおまかせよ♪と公言。スナックのママのような得意手を誇るインテリアコーディネーターであり、仕舞い方編集者。ぽわ~っとした見た目ながら、ずばずばと切り込む鋭い物言いも魅力。
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2025-12-02
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2025-11-27
マンガに限った話ではないが、「バカ」をめでる文化というものがある。
猪突猛進型の「バカ」が暴走するマンガといえば、この作品。市川マサ「バカビリーバー」。とにかく、あまりにもバカすぎて爽快。
https://yanmaga.jp/comics/
2025-11-25
道ばた咲く小さな花に歩み寄り、顔を近づけてじっくり観察すると、そこにはたいてい、もっと小さな命がきらめいている。この真っ赤な小粒ちゃんたちは、カベアナタカラダニ。花粉を食べて暮らす平和なヴィランです。