エノキの葉をこしゃこしゃかじって育つふやふやの水まんじゅう。
見つけたとたんにぴきぴき胸がいたみ、さわってみるとぎゅらぎゅら時空がゆらぎ、持ち帰って育ててみたら、あとの人生がぐるりごろりうごめき始める。

神社にステンドグラスがある。金沢は浮気性だ。金沢の人びとは列をつくってバスを待たない。法規より風習が優先される。
なぜ、金沢は伝統的なものに新しいものを取り入れるのか。あるいは、規則をつくっても旧習を崩さないのはなぜか。よそ者の言葉が、金沢の謎の本質をえぐった。
「鈍感だからではないですか?」
2021年4月4日、エディットツアー『かくれた金沢』が開催された。編集ワークの内容は、これまであまり語られていない“金沢らしさ”を探すことだ。参加者の大半は、東京、愛知、岡山、香川、と県外からであった。旅行ガイド本には載らない金沢の日常的風景から、“金沢らしさ”を掘り起こしていく。
“金沢らしさ”のステレオタイプといえば、城下町の風情があり、和の趣をもち、美術工芸が盛んな町、というものだ。その背後には、金沢独自のカラーマネジメントがある。たとえば、主に加賀友禅や九谷焼に代表される5色の伝統色「加賀五彩」。加賀五彩は、海や山に囲まれた豊かな自然と恵み、曇りがかった北陸特有の気候、加賀百万石の武家文化を映し出す。しっとりと落ち着いた色調を映えさせるための「白」の使い方にも妥協しない。金沢は色で「らしさ」を飾りつけ、雅な世界を築いてきた。
よそ者の注意のカーソルは、“雅”というステレオタイプをよそに、金沢にひそむ鈍感さを突いた。
中川は知っている。鈍感と指摘されても、金沢は余裕綽々なのだ。加賀百万石の末孫はあくまで、武家の精神性や技芸の文化のなかに自分の存在の質を求める。しかし、それもまた「金沢の鈍感力」という見方を裏付ける。金沢を深掘りするエディットツアーは、余計なところに行きついてしまった。
(写真提供:金沢市)
中川将志
編集的先達:デヴィッド・ボウイ。地域おこしと教育に情熱を燃やす、金沢のスターマン。サッカーで鍛えた脚力と小技を編集に生かす。愛嬌とマイペースと逃げ足の速さでは、他の追随を許さない。
コメント
1~3件/3件
2025-08-19
エノキの葉をこしゃこしゃかじって育つふやふやの水まんじゅう。
見つけたとたんにぴきぴき胸がいたみ、さわってみるとぎゅらぎゅら時空がゆらぎ、持ち帰って育ててみたら、あとの人生がぐるりごろりうごめき始める。
2025-08-16
飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。
2025-08-14
戦争を語るのはたしかにムズイ。LEGEND50の作家では、水木しげる、松本零士、かわぐちかいじ、安彦良和などが戦争をガッツリ語った作品を描いていた。
しかしマンガならではのやり方で、意外な角度から戦争を語った作品がある。
いしいひさいち『鏡の国の戦争』
戦争マンガの最極北にして最高峰。しかもそれがギャグマンガなのである。いしいひさいち恐るべし。