池袋にホンゴジラ現る! 書店でトライアスロンとはこれいかに?

2021/06/21(月)20:09
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 大音美弥子冊匠、またの名をホンゴジラ、またの名を嵐を呼ぶ女。嵐といっても天気は快晴。しかし、フロアまたぎの書店トライアスロンに、帰宅ラッシュの山手線ストップと、大音まわりは暴風状態の一日となった。
 緊急事態宣言下最終日、ジュンク堂池袋本店で大音が、リアルブックワークショップをナビゲート。ホンゴジラの来襲とあって書店は店長、副店長含め4人で対応、さらには編集工学研究所の社長野村までかけつけるという厳戒態勢。JRストップというアクシデントの中、このワークだけはどうしても出たいと、メトロやバスに乗り継いで11人の参加者が集った。
 
ブックトライアスロンで完走の誓いを立てる参加者たち
 
 ワークの仕立ては予告通りのトライアスロン。スイム・バイク・ランの三部構成になっている。最初の「スイム」ではエディションの前口上を20冊分、全員で音読。声の海に浸ってみる。そこでエディションの目星をつけたら、お次は「バイク」だ。1Fと4Fの二手に分かれて、気になるエディションをGETすべく、店内を爆走する。一冊目のエディションの目次読書を終えると、3FへGO! 冊匠お手製のお宝マップが手渡される。三冊を首尾よく入手するまでがタイムトライアルになっている。記事のアイキャッチ画像がそのストップウォッチだ。最後は「ラン」。読む・書く・発表するの3ステップを編集思考素で仕上げてもらう。
 
フェア棚の前でエディションを物色
 
ブックショップエディター川田が指差す方向にお宝あり
 
三冊ポッププレゼンは編集思考素でやるべし
 
前口上シート
 
お宝マップ
 
1時間遅れで参加の梅澤さん
 
 大音は事故での遅れにも容赦がない。1時間遅れの参加者である梅澤さんはワークの流れに追いつくために5分で三冊を揃えることを求められた。ほうほうの体で集めたセットにも「星の王子さまは反則やでえ。何にでも合わせられるからなあ」とダメ出しチョップを喰らわせた。それでも久々のリアルブックワークショップの機会とホンゴジラの咆哮を浴びたことで、参加者はコロナ禍の鬱屈した気分が一気に晴れたようだ。
 次回は6月25日金曜日19時。本丸の新宿にホンゴジラが乗り込む。
 https://edist.isis.ne.jp/just/edition_fair_workshop_02/
 
ブックショップエディター池澤祐子のエプロンを纏って、ナビゲートした大音。同志であり友であるマダムの快気願いを込めた。
  • 吉村堅樹

    僧侶で神父。塾講師でスナックホスト。ガードマンで映画助監督。介護ヘルパーでゲームデバッガー。節操ない転職の果て辿り着いた編集学校。揺らぐことないイシス愛が買われて、2012年から林頭に。

コメント

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山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025