ISIS 20周年師範代リレー[第13期 成澤浩一 一本芯が通った兄貴な師範代]

2021/02/27(土)10:49
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2000年に産声をあげたネットの学校[イシス編集学校]は、2020年6月に20周年を迎えた。第45期の師範代までを、1期ずつ数珠つなぎにしながら、20年のクロニクルを紹介する。

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ライブドア・楽天によるメディア買収騒動によりヒルズ族が注目されるも、ライブドア堀江貴文や村上ファンド村上世彰らが証券取引法違反で逮捕。こうしたニュースに象徴されるように、折しも、世の中は金融資本主義が混乱をみせていた時。この頃、日本流リーダーシップを求めてリクルート・三菱商事が、三顧の礼宜く松岡正剛校長を訪ねました。果たしてビジネスパーソンたちの迷いを引き受け、松岡正剛を塾長に、[ハイパーコーポレートユニバーシティ] がスタートします。

このころ、イシス編集学校に登場した熱血・成澤浩一師範代は、スポーツ雑誌『野球小僧』の編集者でした。教室名も直球ストレートに「不惑ナックル教室」と名付けられました。成澤師範代は日本大学で授業も受けもっておられ、当時、成澤師範代の活躍に憧れる編集部の部下や授業を受けた大学生などたくさんの方々が、イシス編集学校の門をくぐりました。いわく、「編集術を使って目の前で実際にぽんぽんアイディアを出すところを見せると、相手はとにかくやってみたくなる」。まさに編集工学を実践で見せつけ、魅力を放つ兄貴的存在でした。

成澤師範代は、時代への怒りを胸に[離]を退院後、のちに[離]の火元組(指導陣)を務めました。成澤火元別当師範代のもとで文巻の海を泳いだ人たちも多数。経済が荒れている中にあっても、泰然犀利。一本筋が通った立ち姿で、学校内でも求心力を作りました。

 

 

 

◎師範代メッセージ◎


 

>あのときメッセージ>

ライブドア事件にアスベスト。姉歯御殿に鳥インフル。人口減少にイナバウワー。びっくり仰天の編集世界を駆け抜けた13期。「型」を慈しむように舐め回すように日々悶絶する学衆さんのことが好き過ぎて、吐き気がしてきて、酸っぱいものが欲しくなりました。

 

>これからメッセージ>

型をめぐる守破離の日々は、忘れようにも忘れることはできません。一生無理なんだよ。

 

不惑ナックル教室 成澤浩一


 

●あの日!あの時!千夜千冊!●

〇野球雑誌編集者の師範代登板初日に合わせて公開されたか?!

1077夜:竹田茂夫『ゲーム理論を読みとく』

... 2005年11月14日

◎資本主義の問題を露呈した社会が大事にしたものはハビトゥスだった

1115夜:ピエール・ブルデュー『資本主義のハビトゥス』

... 2006年02月24日

⦿動く型。動かない型。間にある型。型はいろいろなものと一緒にある。

1100夜:安田武『型の日本文化』

... 2006年01月27日

Designed by 穂積晴明

 

 

  • 後藤由加里

    編集的先達:石内都
    NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!

コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-07-01

発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。