金宗代(以下、金):多読ジム代将の金宗代です。コラボ企画第四弾について、小倉加奈子析匠と対話形式でご案内します。
告知記事「【多読予告】初夢は「一食二芸三白洲」 season13・冬」でもちょこっとお知らせしましたが、来年1月にスタートするseason13・冬のコラボ企画のパートナーは、小倉加奈子析匠の主宰する「MEditLab」に決定しました。
https://edist.isis.ne.jp/just/season13_tadoku/
コラボ企画は、これまで第一回の太田出版に始まり、工作舎、春秋社とコラボをしてきましたが、出版社ではないお相手とコラボするのは今回が初めてのことです。
小倉析匠のエディスト記事を読んだ方はご存知だと思いますが、今年11月に「MEdit Lab 順天堂大学STEAM教育研究会」が発足しました。これは多読ジムでもいち早く取り上げなければと思い、緊急特別企画として「多読ジム×MEditLab」を析匠に提案させていただいたところ、快諾のお返事をいただきました。
https://edist.isis.ne.jp/nest/meditlab_open/
小倉加奈子(以下、小倉):こんにちは、析匠の小倉加奈子です。お声かけくださってありがとうございます。そうなんです、このたびMEdit Lab 順天堂大学STEAM教育研究会を発足いたしました。みなさん、LINE登録よろしくお願いします♪
さっそくですが、この研究会では「医学に興味のある中高生」をメインターゲットとして掲げています。とはいえ実は、エディストコラムでも書いたように、私の中の“ハイパーターゲット”は編集工学を医療や医学教育の現場に取り入れる、ということなんです。
この数年のコロナパンデミックを経て、COVID-19というたったひとつの感染症が社会を大きく変えてしまうということ、医学だけでパンデミックがもたらす諸問題を対応することは不可能であることを、医療従事者もそれ以外の方々も痛感したと思います。
コロナウイルスのことはもちろん、医学は医学部で学ぶものという既成概念を破る時が来ていると思いますし、パンデミックのような大きな問題に対応する“方法論”こそ考察しなければいけないと思っています。また、いよいよ大学教育を編集工学で改革していく時機も熟しているのでは? と、そういった熱い想いで立ち上げたのがMEdit Labで、ここまでエディターとして金代将にも深く関わっていただいてきましたが、こんなに早く、多読ジムとコラボできるなんて思ってもいませんでしたよー。
金:一気呵成にありがとうございます。「コロナ時代こそ、編集工学を」というメッセージですね。MEdit Labへの熱意が伝わってきます。
さて、コラボ企画では、出版社さんに一冊から数冊の課題本を選んでもらい、読衆はその課題本をもとに三冊セットをつくり、三冊筋エッセイを書くというダンドリになっています。
今回、MEditLabからの課題本はいかがいたしましょうか。課題本の発表をお願いいたします。
小倉:課題本は30冊、ご用意しました!
金:おお! 30冊! コラボ企画史上、最大の冊数ですね。
小倉:この30冊は、MEdit Labが編集工学研究所とともに開発したSTEAM教材「おしゃべり病理医のMEdit Lab-医学にまつわるコトバ・カラダ・ココロワーク」で作成したブックリストから今回のコラボ企画のために厳選したものです。そのうちの9冊は、STEAM教材の「コトバワーク」の動画の中でも実際に取り上げた本になります。順天堂大学の泌尿器科教授でロボット手術やアンチ・エイジングの第一人者の堀江重郎先生とおしゃべり病理医・小倉のおススメ3冊セットに加えて、堀江先生と私の著書も含まれています。堀江先生のキーブックは「★」、おしゃべり病理医のキーブックには「◆」マークをつけています。下記のブックリスト「MEditチャレンジ30」をどうぞご覧ください。いずれMEditLabでは、「科学道100冊」ならぬ「医学道100冊」や、「MEdit Lab本棚」ができたらな、なんてことも考えています。
★シッダールタ・ムカジー『不確かな医学 (TEDブックス)』朝日出版社
★アトゥール・ガワンデ『予期せぬ瞬間』みすず書房
★大崎善生『聖の青春』角川文庫
◆伊藤亜紗『記憶する体』春秋社
◆佐々涼子『エンド・オブ・ライフ』集英社インターナショナル
◆美馬達哉『感染症社会:アフターコロナの生政治』人文書院
・堀江重郎『男性復活』春秋社
・小倉加奈子『おしゃべりながんの図鑑』CCCメディアハウス
・小倉加奈子『おしゃべり病理医のカラダと病気の図鑑』CCCメディアハウス
・石弘之『感染症の世界史』角川ソフィア文庫
・福岡伸一『せいめいのはなし』新潮文庫
・カミュ『ペスト』新潮文庫
・グレッグ・イーガン『しあわせの理由』早川書房
・小川糸『ライオンのおやつ』ポプラ文庫
・有吉佐和子『華岡青洲の妻』新潮文庫
・三木成夫『内臓とこころ』河出文庫
・柳澤桂子『二重らせんの私』ハヤカワ文庫
・ジル・ボルド・テイラー、竹内薫(訳)『奇跡の脳 脳科学者の脳が壊れたとき』新潮文庫
・斎藤環、與那覇潤『心を病んだらいけないの?うつ病社会の処方箋』新潮選書
・村上もとか『JIN—仁—』集英社
・ルイス・トマス『人間というこわれやすい種』晶文社
・手塚治虫『陽だまりの樹』(小学館文庫)
・加藤浩晃『医療4.0(第4次産業革命時代の医療)』日経BP
・アンディー・クラーク『生まれながらのサイボーグ-心・テクノロジー・知能の未来』春秋社
・岩明均『寄生獣』講談社
・帚木蓬生『閉鎖病棟』新潮文庫
・久坂部羊『悪医』朝日文庫
・伊波敏男 『ハンセン病を生きて—きみたちに伝えたいこと』岩波ジュニア新書
・いとうせいこう『「国境なき医師団」になろう! 』(講談社現代新書)
・高山文彦『火花 北条民雄の生涯』(角川文庫)
金:千夜千冊にも入っているルイス・トマスもあれば、『男性復活』あり『医療4.0』もあり、医療という軸は一本通っていながら、多種多様ですね。マンガは手塚治虫や『寄生獣』、村上もとか『JIN—仁—』も入っていますね。『JIN—仁—』は巻数が結構あるので選ぶ方はご注意ください(笑)。
読衆さんはこの30冊の中から1冊選び、独自に2冊を加えて三冊セットを作れば良いわけですね。今回は、いつもと違って、課題テーマもあるんですよね。
小倉:はい。課題テーマは「医者に読ませたい三冊」です。例えば、これまでに「人間的に終わってんじゃないのか、この医者は!」と腹を立てた経験をお持ちの方もきっと少なくないのではないかと思います(笑)。病気じゃなくてちゃんとその人そのものを診ることのできるドクターの育成が、MEditLabとしても一つの社会課題なのではないかなと考えています。極論を言えば、専門的なことはAIが代替してくれると思いますし、残るは医師の倫理観ですから。「この3冊読んで人間を勉強しなさい」と、世の中のイケていない医者、そして、これから夢と希望を膨らませて医者になろうと思う若者にメッセージを贈っていただけますとうれしいです。
金:確かに思い返してみると、病院にかかってこのお医者さんは信用できるなと思えた人は今まで一人いたか、いないか…ですね。どんな三冊セットで、どんな文章が届くのか、とっても楽しみですね。今回、エントリーしてくださった作品はエディストだけでなく、MEditLabのウェブサイトにも掲載していただけるんですよね。
小倉:そうなんです! 作品は、MEdit Labのウェブサイトの連載のひとつ「レッツMEdit Q!」で取り上げさせていただきます。MEdit Labの連載コラムは、中高生を読者層の中心と考えていますので、肩の力を抜いて中高生に語りかけるようなイメージで、フランクなモードで執筆いただけましたらと思います!
金:せっかくなので、今回の企画タイトルも「MEditチャレンジ」とさせていただいています。MEditLabウェブサイトなら、お医者さんの目にもしっかり届きそうですね。
中高生がメイン読者層ということで、コラボ企画のお題も少し変更することにいたしました。コラボ企画ではこれまでは、三冊筋(800字〜2000字)を仕上げることが必須でしたが、今回はレコメンドエッセイを書く三冊屋(500〜600字)をゴールにしたいと思います。三冊筋が必須ではなくなるので、エントリーのハードルもグッと下がります。
それから、コラボ企画では毎回、優秀賞を獲得した方に賞品をプレゼントしています。もしかしたらこの情報がいちばん気になっている読者も多いかもしれませんね(笑)。今回は、どんな賞品をご用意していただいているのでしょうか。
小倉:ふっふっふ。優秀賞のMEdit賞に輝いた方には、非売品のMEdit Lab特製、缶バッジ3種! そして、拙著2冊をサイン入りでプレゼントさせていただきます。
金:小倉先生のサイン本! そして缶バッジ、めちゃくちゃかわいい! これはぜひゲットしたいですね。ゲットしても、絶対にメルカリに出品したりしないでくださいね(笑)。
小倉析匠、告知のご協力ありがとうございました。「多読ジム×MEdit」の企画概要は以上になります。あらためて、ルールは下の「Info」にまとめさせていただきます。ぜひぜひみなさん、こぞってご参加ください。来シーズンの多読ジムでもお会いできますこと、楽しみにお待ちしております。
Info
◉多読ジム season13・冬 三冊屋コラボ企画 「MEditチャレンジ」◉
∈コラボ:
∈参加資格:
「多読ジムseason13・冬」受講者 ※申込〆切日 2023年1月2日
∈トレーニングブックリスト:
上記30冊のブックリスト「MEditチャレンジ30」 ※リストから一冊を選択
∈課題テーマ
医者に読ませたい三冊
∈エントリーお題
お題■<3>-03「三冊屋」レコメンデーション(500〜600字)
∈掲載メディア
順天堂大学STEAM教育研究会 MEdit Labウェブサイト内コラム「レッツMEdit Q」
∈MEditLab賞 賞品
・MEditLab缶バッジ3種
・小倉加奈子サイン本二冊(『おしゃべりながんの図鑑 病理学から見たわかりやすいがんの話』『おしゃべり病理医のカラダと病気の図鑑 人体サプライチェーンの仕組み』)
∈DESIGN the eye-catching image:
穂積晴明+山内貴暉
金 宗 代 QUIM JONG DAE
編集的先達:水木しげる
最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
photo: yukari goto
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