ゴールデンウイークがあけ、立夏を迎えた5月8日、編集学校の入門コース[守]が開講した。
鯉が滝を登って竜になる「登竜門」伝説に見立てた[守]アイコンに相応しく、19ある教室のあちらこちらで学衆の声が響き渡る。
エンジンスロットル全開で、ななめ45度の展開を期待します。
編集という行為を通して、新しい世界認識を手に入れられることに期待しています。
どのような化学反応が起こるのか全く未知数ですが、楽しんで参加していきたいと思います。
遊び方を学ぶ、皆様と交流し思考を深める、の二つを目標にイシスで生きていきたいと思います。
51[守]の師範代は編集稽古の「地図帳」を自作で用意している。編集稽古に使われるお題のすべてをマッピングし図解したものだ。
講座には38の共通のお題が用意されているが、師範代が用意した「地図帳」はひとつとして同じものはない。それぞれの教室を【地】にした編集稽古の新しい意味づけだ。
編集の型【地と図】
「地」(ground)は情報の地模様
「図」(figure)は情報の図柄
情報(=図)をどのような背景や場面や文脈(=地)に置くかで、その情報の意味や見え方を大きく変えることができる。
編集術は情報の見方を自由にする。言葉もしぐさも歴史も記憶も、あらゆるものを「情報」としてとらえる。師範代はお題をも「情報」としてとらえ、[守]の稽古の道のりを示す「地図帳」をつくりあげた。
ダブル・ヴィジョン教室の重廣竜之師範代は、一本の大樹をキャンバスにして、稽古の節目や関係するお題のネットワークを表現した。いくつかの枝に施した「擦れ」の効果は、“one”と“another”の二重のヴィジョンを思わせる。
分人庭師教室の鈴木哲也師範代は、お題を情報の「アケ/フセ」で分類しV字に配置して左右に対比させた。庭師の剪定鋏を思わせるV字の形は、情報を取り込む大きな器のようでもある。
師範代は教室を【地】にして、これから展開する稽古模様を仮の【図】として描いた。
この大筋のストーリーを携え、師範代は学衆とともに編集稽古の旅をくりひろげる。最短距離を行くナビゲーションなどいらない。編集はまわり道だって歓迎だ。
学衆たちはそれぞれの教室で天を仰ぐ鯉のごとく、いきいきと情報の滝を登り始めた。教室ごとに用意された「地図帳」に稽古の足跡が刻まれる。
編集稽古によって教室の【地】も【図】も更新されていく。51[守]の15週間の旅は始まったばかりだ。
アイキャッチデザイン:阿久津健
阿部幸織
編集的先達:細馬宏通。会社ではちゃんとしすぎと評される労働組合のリーダー。ネットワークを活かし組織のためのエディットツアー も師範として初開催。一方、小学校のころから漫画執筆に没頭し、今でもコマのカケアミを眺めたり、感門のメッセージでは鈴を鳴らしてみたり、不思議な一面もある。
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