発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

2024年春の感門之盟Day2。今日もぐんぐんと気温が上がり初夏を思わせる陽気となった。「涼しげ過ぎたかしら。」と微笑む原田淳子[破]学匠の更紗の爽やかな着物姿の装いが一層映えている。今期の稽古と熱気を受けとめ、原田学匠は、51破の突破式の冒頭、学衆と指導陣に向けてメッセージを贈った。
■学衆も指導陣も気持ち新たに
「今までの[破]の稽古と比べると、今期の学衆さんへのお稽古は案外厳しかったかもしれません。」と、原田学匠は51期の運営を振り返る。今期は校長のディレクションを受けてさらに新しい[破]の稽古の方法を模索していたのだ。
51[破]の指南では、師範代にこれまでの殻を次々に脱ぎ捨てることを求めた。例えば、文体編集術で今まで手渡していた回答例やお助けワークシートをやめる。学衆への指南では別様の可能性を引き出し、学衆の回答の変化が感じられるような方法的な指南を求める。
殻を脱ぎ捨てたのは師範代だけではない。学衆全員が集う別院では、[破]のエポックとなるアリスとテレス賞を運営する評匠連自ら「いじりみよ研究所」を立ち上げ、ここまでは目指してほしいという中身を見せて学衆への奮起を促す。
原田学匠は、[破]の指導陣が目指す姿と、そこに喰らいつく学衆達を、全期を通じてあたたかく見守り、鼓舞し続けていったのである。
■SF小説が仮説する未来へと向かう編集
「SF小説はすごいと思うのですよね。」と原田学匠の話題が急展開する。
最近の千夜千冊1843夜で松岡校長はテッド・チャンの『息吹』を取りあげ「ジーン・ウルフ、ジョン・クロウリー、グレッグ・イーガンに継ぐSF作家がついにあらわれた。」と絶賛している。
「SF作家達はエンターテイメントではなくて、人類の未来をすごく考えていて、歴史を読み、今を捉え、解釈して、そこからあり得る未来がどうなるかを仮説している。そして、その仮説した未来の物語から私達に問いかけているのです。」これは、[破]で学んだ稽古の道筋そのものでもある。
ヒストリーからストーリーへ、そしてエディトリアリティへ。そこで働く潮流は想像力だ。指導陣が不足を伝え、学衆が手渡された不足を想像してその先へ向かう。
今期、突破を果たした学衆は40名。豊かな想像力に編集の方法が重なることで、自らの潮目を見出していった強者ばかりである。
「今回の稽古を乗り越えたみなさんはどこへ進んでも怖いものはありません。」原田淳子[破]学匠は、未来を仮説してそれに向かう編集を稽古で受けとめ、たくましく成長した学衆達の次のステージに期待する。
(写真:福井千裕)
細田陽子
編集的先達:上橋菜穂子。綿密なプランニングで[守]師範代として学衆を全員卒門に導いた元地方公務員。[離]学衆、[破]師範代、多読ジム読衆と歩み続け、今は念願の物語講座と絵本の自主製作に遊ぶ。ならぬ鐘のその先へ編集道の旅はまだまだ続く。
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コメント
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2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。
2025-06-30
エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。
2025-06-28
ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。