イシス編集学校のエディットカフェの一角に、ひっそりと建つ寮がある。編集学校の温泉といわれる風韻講座を韻去した連衆の住まいであるこの半冬氾夏寮が今、熱い。
きっかけは十七座胡桃座ち組連衆によるメーリングリスト歌仙「ちと疾し」の巻のお披露目だ。小池師範より芭蕉「山里は万歳遅し梅の花」のポストカードが返礼として届くと、新年から胡桃座有志による歌仙「万歳遅しの巻」が始まった。寮生が見守る中、3ヶ月の旅路を経て無事に巻き終わる。
すると今度は寮内の有志を募って歌仙「さまざまの巻」が4月1日からスタートし、約2週間で挙句に到達。さらにゴールデンウィーク期間中、初夏之鉄火巻歌仙「湯をむすぶの巻」が超速で進行した。
歌仙は、前へ前へと進む文芸だ。外出自粛もなんのその、森羅万象に及ぶ言葉をつないで、連衆はたくさんの私に変身し、意外な情報とつながり、どこへでも自由に飛んでいく。
音頭を取るのは風船の空こと全然さん(41守前禅全然教室・小原昌之師範代)。「イシス20周年にちなみ、20歌仙が巻かれるやう企画したい」と高い志を掲げる全然さんが湯守として采配をふるう秘湯に、寮内が湧いている。湯あたりしないように、振り返り講を設けている心くばりにいたるまで編集づくし。寮生であれば、一度は浸かりたい湯である。
福澤美穂子
編集的先達:石井桃子。夢二の絵から出てきたような柳腰で、謎のメタファーとともにさらっと歯に衣着せぬ発言も言ってのける。常に初心の瑞々しさを失わない少女のような魅力をもち、チャイコフスキーのピアノにも編集にも一途に恋する求道者でもある。
ちょうど10年前、[離]の太田香保総匠のピアノの話に触発されて、子どもの頃に習っていたピアノレッスンを再開した。そのことを松岡校長はことのほか喜んでくれて、何かの機会で会うたびに「最近どう、やってる?」と話しかけてくれ […]
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【青林工藝舎×多読ジム】大賞・夕暮れ賞「言葉を越えるものを伝えたい」(福澤美穂子)
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