戦争を語るのはたしかにムズイ。LEGEND50の作家では、水木しげる、松本零士、かわぐちかいじ、安彦良和などが戦争をガッツリ語った作品を描いていた。
しかしマンガならではのやり方で、意外な角度から戦争を語った作品がある。
いしいひさいち『鏡の国の戦争』
戦争マンガの最極北にして最高峰。しかもそれがギャグマンガなのである。いしいひさいち恐るべし。

光を読む、光を撮る。
2025年8月9日、豪徳寺にあるイシス館とオンラインのハイブリッドで倶楽部撮家のメインイベントとなる瞬茶会(ワークショップ)が開催された。倶楽部メンバーは各々、カメラと懐中電灯を持参して集った。この日のターゲットは運営スタッフでもある、瞬姿・後藤由加里の「光と露出」についてのワークショップだ。光の当て方によって対象となる「モノ」の見え方にどんな違いが出るのか、ダビデ像を使って実演して見せた。使う照明は、どこの家にでもあるような小型の懐中電灯ひとつ。たったこれだけでも十分に光の演出が可能なのだ。上から下から横からと照明を当て、それが見る者にどんな印象を与えるのか、参加者と問答の交わし合いをしながら進めていく。
いろんな方向からダビデ像にライトを当てて見てみると印象が大きく異なることに気づく
写真(モデル:田中泯さん)を見ながらどこから光が当たっているかを検証する
(参照:繰上和美写真集『50,50 FIFTY GENTLEMEN』幻冬舎)
光のワークショップはこれでは終わらない。ハイライトは各々が光を意識しながら本の撮影をしてみるというものだ。これは単なる本の撮影ではない。オブジェとしての本が光と影の中でどんな見え方をするのかという実験だ。必ずしも表紙やタイトルの情報がクリアに見えなくてもいい。それよりもどんな場所でどんな光の演出が可能なのかを探求してみることにこそ意味がある。イシス館に参加したメンバーがどんな撮影をしたのか、ここに披露したい。
撮影 武田英裕
松岡正剛(著)『千夜千冊エディション 理科の教室』角川ソフィア文庫
撮影 森本康裕
ジーン・レイヴ&エティエンヌ・ウェンガー(著) 『状況に埋め込まれた学習: 正統的周辺参加』産業図書
撮影 福澤俊
シェイクスピア(著)『新訳 オセロー 』角川文庫
シェイクスピア(著)『オセロウ』岩波文庫
シェイクスピア(著)『オセロー』新潮文庫
撮影 八田英子(オブザーブ参加の学林局・律師)
『ユリイカ2006年9月臨時増刊号 総特集=稲垣足穂』青土社
撮影 福井千裕
J. K. ユイスマンス(著) 『彼方』桃源社
撮影 林朝恵
松岡正剛(著)『世界のほうがおもしろすぎた─ゴースト・イン・ザ・ブックス』晶文社
光を意識するだけで、こんなにも撮り方が変わるのだということをメンバーたちは実感した。また、カメラを通してしか見えてこなかった対象の姿というものも発見する機会になったようだ。新しい何かを偶然発見すること、自分で撮ったとは思えないようなビジュアルに出会うこと、これが撮影の面白味でありマジカルな体験なのだ。
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林朝恵
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コメント
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2025-08-14
戦争を語るのはたしかにムズイ。LEGEND50の作家では、水木しげる、松本零士、かわぐちかいじ、安彦良和などが戦争をガッツリ語った作品を描いていた。
しかしマンガならではのやり方で、意外な角度から戦争を語った作品がある。
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2025-08-12
超大型巨人に変態したり、背中に千夜をしょってみたり、菩薩になってアルカイックスマイルを決めてみたり。
たくさんのあなたが一千万の涼風になって吹きわたる。お釈迦さまやプラトンや、世阿弥たちと肩組みながら。
2025-08-07
「べらぼう」見てないんですが、田沼意知がとうとうやられちゃったんですね。
風評に潰された親子のエピソードは現代の世相とも重なり、なんとも胸がふさがります。
一ノ関圭『鼻紙写楽』は、このあたりの話を巧みに取り込んで物語化しており秀逸。蔦重も出てくるし、この作品、「べらぼう」とだいぶ重なるんじゃないかなあ(見てないけど)。