2026年の肖り本を写真する PHOTO Collection【倶楽部撮家】

2026/02/13(金)08:07 img
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 倶楽部撮家のメンバーは、2026年最初のワークとして本を撮影する「本家撮り honka-dori」に取り組んだ。毎期、本を撮影することをルーティンにしているが、今期は新年に肖りたい本を一冊選んで「書き初め」ならぬ「撮り初め」を試みた。最近出会った新米本、いつか読もうと棚に眠っていた積読本、久々に手に取った再会本など、どんな本を選ぶのも自由だが、自身の抱負と重ねられるような本を選んで撮影しなければならない。新年に相応しく、本と写真と自分に向き合う機会となった。

 

 倶楽部メンバー(瞬友)たちのもぎたての写真と言葉をぜひご覧いただきたい。倶楽部撮家では、自分のイメージを言葉にすること、「見せる」と「語る」を近づけることを実践している。

 

撮影:岡崎美香

『青の辞典』柳谷杞一郎/雷鳥社

青の表現に厚みを持たせたくて手に取りました。古代の日本語において色をあらわす言葉は「クロ」「シロ」「アカ」のほか「アオ」の4語だけであり、青は「漠」という曖昧で広い範囲を原義としているそうです。アオの世界が広がっていた場所で、さまざまな「アオ」のページと重ねることができました。

 

撮影:後藤由加里

『石と桃』木村和平/赤々舎

木村和平さんが幼少期から抱えていた不思議の国のアリス症候群を写真作品としてまとめた写真集。アリス症候群を主題にするのを放棄しながら、それを撮り続けた姿勢に肖りたい。本の世界観を撮るにあたり、無機質、違和感、異質をキーワードに、できるだけ要素を排除し、硬質に柔らかく、無言で頁をめくる写真にしました。

 

撮影:林朝恵

『写真論と写心論 プラネタリー・ブックス4』森永純・佐々木渉・松岡正剛/工作舎

写真とどう向き合えばよいのか探していた時、この本を手にして、写真に対する考え方が変わった。試行錯誤を超える学びはないということ。飢えているときの方がものの本質が見えてくるということ。言葉でイメージをふくらませることで出会えるものがあるということ。若き日の松岡さん、森永さん、佐々木さんの言葉に痺れた。その言葉を光線に託した。

 

撮影:小池信孝

『波と景』落合陽一/KADOKAWA

波は動。景は静。波はゆらぎ。景はひかり。露出オーバーのスポットライト、形を保てるまで遅くしたシャッタースピード。人と本と光の境界がゆらぐ時間でシャッターを切る。静的な景で波の揺らぎを表現してみました。 あやかりたいのは、圧倒的な世界観を現象として表現している落合陽一さんの編集力です。

 

撮影:小谷幸夫

『センスの哲学』千葉雅也/文藝春秋

「センスは物事の直観的把握であり、何を言いたいのか、何の為なのかと言う意味や目的ではなく、それそのものを把握するもの、そのリズムが大切である」。写真に通じるものがあり再読したい本です。河原を流れる水、流れを調整するブロックをコラージュした自己の作品に本書を挿入し撮影しました。

 

撮影:福澤俊

『トリックスター』P・ラディン、K・ケレーニイ、C・F・ユング 皆河・高橋・河合訳/晶文社

今まで読み損ねていた、ユングの「トリックスター論」をベースに、シャドウ、無意識、内なる自分、転倒、顕現をテーマに撮影しました。皆さんの中のトリックスターはどんな形をしているでしょうか?

 

撮影:大澤実紀

『地球の景色』藤本壮介/GA

選んだ一冊は、建築家・藤本壮介さんの『地球の景色』。世界各地の都市を巡る思考が、写真とエッセイで綴られている。歴史や社会、その地の人が織りなす風景を「景色」として捉え直す方法に肖りたい。ビル群が連鎖し、光輝く東京の夜の景色に、本書が包み込まれてしまうような世界を撮影した。

 

撮影:中西和彦

『柔かい月』イタロ・カルヴィーノ/河出文庫

断片化しつつある世界を統合する方法が今求められている。カルヴィーノのレンズを通して世界を見直すことをテーマとしました。深い青色の宇宙に差し込み揺らぐ光の粒子により「形を成す前の宇宙」を表現しました。無のゆらぎから宇宙が生まれ、物語が始まりました。「存在しない個体」が「鏡としての宇宙」を見つめている。

 

水の中を泳ぐような本、街が透けて見える本、花が咲くように開いた本。本はもう黙っていられない。いつの間にか本に撮らされ奇跡のような瞬間に出会う者もいた。本は読まれるためだけでなく、撮られるためにも自分の存在を示すようだ。倶楽部撮家は、これからも本に翻弄されたい。

 

アイキャッチデザイン:後藤由加里

文・編集:林朝恵

 

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