想像力を使い切れ AIDA Season2 第1講 10shot

2021/12/18(土)16:22 img
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 DOMMUNEを2日間ジャックし、折り返し地点を迎えたHyper Editing Platform [AIDA] Season2。年明けからの後半戦を迎える前に、ここで改めて10月に開催された第1講をAIDAボードメンバーの言葉を借りながら振り返りたい。

 

 

フラッグメッセージ

講座プロデューサー 安藤昭子

フラッグメッセージでSeason2の方向性が示された。「メディアと市場という難しいテーマを選んだ。今このテーマを考えることはアンラーニングをする必要がある」その為には相当の鍛錬、技能、方法、情熱、知的体力が必要だと旗を振る。

 

今期の課題本『千夜千冊エディション資本主義問題』と『情報の歴史21』。第3講では各座衆がメディエーションした自分史をもってDOMMUNE出演を果たした。

 

松岡正剛座長講義

座長 松岡正剛

座長講義では「メディアと市場のアイダを問い直すためにはマルクス、ゾンバルト、バクーニンの時代に戻って考える必要がある」とした上で、その手がかりとしてトークン、システム、デジタル化、小さな経済、想像力という5つのキーワードが渡される。「想像力をどうやって資本主義に差し込めるか、みなさんから出てくることを期待したい」

 

 

松岡座長の書がプラットフォームの旗となる。モニターに映し出されるのは穂積晴明のデザイン。

 

AIDAボードメンバースピーチ

AIDAボードメンバー 田中優子さん

10月に刊行された『遊郭と日本人』(講談社現代新書/田中優子)に触れ、江戸から見た視点を差し出す。「悪所には表から見えない経済がある」これがあったために江戸時代の印刷物の転換点となった。「見えない場所での取引が生きていた世界も考えた方がいい」

 

AIDAセッション

AIDAボードメンバー 大澤真幸さん

「資本主義という言葉は今の流行り言葉ではないか」その上で資本主義をめぐって2つの感覚がある。「1つは資本主義は永遠のシステムで絶対終わらないという感覚。他方で資本主義という船は沈没するんじゃないかという感覚」対比する見方を置き、座衆に揺さぶりをかける。

12月19日(日)は多読ジムスペシャルコース「大澤真幸を読む」読了式にも臨席する。MM対談もお見逃しなく。

 

AIDAボードメンバー 佐藤優さん

「《メディアと市場》というフレームワークで問題解決しようと思っているなら大きな間違い。アイダというのは外部がなくなっている。外部に出ていくことを逆説的に考えないといけない」国家や政治、宗教など大きな視座で議論に切り込みを入れていく。


AIDAボードメンバー 村井純さん

インターネット環境と根本的な問題を切り分けて議論の種を撒く。「BeforeインターネットとAfterインターネットは違う。弱い人も活躍できるのはデジタルプラットフォーム。但し、どう活躍して欲しいか、どう使うのかは人間が議論して決めないといけない。置いてけぼりを作らない、そうでないと意味がない」

 

ボードメンバーと座衆が車座となって交わし合うAIDAセッション

最後は松岡座長が「想像力をどう資源にするか」をもって第1講を締め括った。「私たちに残っているものは既存の国際会計ではなくてイメージを入れた会計X。イメージできるが説明不可なもの。イメージメントしているのに既存の器を超えたものを語るときに国家、AI、ネットで止まっちゃう。もう一回切り替える何かをしないといけない」イマジネーションについて絶賛するための努力と、想像力を使い切ること。

 

 

 「想像力」というキーワードが置かれた第1講。続いて、第2講でアングラ経済に触れ、第3講では自分史を番組にしてきた。メディアと市場のアイダに揺らぎながらプラットフォームは進んでいく。新年からの後半戦では「想像力」がどう躍如するか、第4講の速報を待たれたい。

 

 

AIDA Season2 速報記事 Back Number

【AIDA Season2 第1講 速報!】七巨頭、豪徳寺に会しておおいに問題提起する

【AIDA Season2 第2講速報!】タンザニア商人の「ずる賢さと親切心のAIDA」から学ぶ

【AIDA Season2 第3講速報!】DOMMUNEの宇川直宏”番神”と田中優子・武邑光裕・佐藤優・吉村堅樹のAIDAで、座衆28人が「自分史」を発信する!!!!!

  • 後藤由加里

    編集的先達:石内都
    NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!

コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。