ーー メディアが変化しているときに誰が何をしたのかもっと見た方がいい。
つい先ほど終了した「戸田ツトムのブックデザイン展オンライントークイベント」の終盤で松岡校長がそう話していた。
では、千夜千冊エディションが”写真”になるときは誰が何をして、どんな変化があるのだろうか。
「連塾」をはじめ長きに渡り、松岡正剛を撮影するプロカメラマンの川本聖哉氏。今期のHyper-Editing Platform[AIDA]のスチールも任されており、ここ数年は松岡著書の撮影も担当している。11月末日には過去3年間の著作を一気に撮影するという。なかなかお目にかかることのできない舞台裏。当日の撮影現場を10shotでお届けします。
この日は朝から一日がかりの撮影。午後からお邪魔すると本楼がすっかりフォトスタジオになっていた。千夜千冊エディションの関係線を考慮しながら丁寧に並べる太田香保総匠(右)と寺平賢司。
一旦並べ終えると本楼の照明を消し、いくつもの撮影用照明で本を照らす。影の写り具合や配置のバランスなど繊細な微調整をする川本さん。
「寺平さん、『宇宙と素粒子』を反時計周りで1、2分動かして」ファインダーを覗き、更に細かく本の顔をたたせる。
撮影・チェック、撮影・チェックを幾度と繰り返し、本の配置と使用するレンズを確定したら本撮影。僅かな違いを見極めて、18冊あるエディションのポジションを決めるのは至難の業。
次はバージョンを変えて、エディション総動員第2弾。大きなアクリル板が本の舞台となり、18人の役者が顔を揃える。
照明として懐中電灯が登場!ビニールを被せると柔らかな光となる。エディションたちを下から横から優しく照らす。
松岡校長も撮影現場にお立ち寄り。「本を開いて動きをもたせていい」と躍動感を演出する。
そして林朝恵師範による動画撮影。前から後ろ、後ろから前、そして蛇行しながら。息を飲み両腕を震わせながら一冊一冊を舐めるように撮る。
役者たちの顔もさる事ながら並んだ背中も美しい。それぞれ何のエディションだかおわかりだろうか。
エディションのあとは、英語になった『花鳥風月の科学』、中国語になった『国家と「私」の行方』、『編集手本』と撮影は続く。写真は蛇腹に開いた『編集手本』。
午前からスタートした撮影は集中力を持続したまま18時過ぎに終了した。ここまで照明や配置にこだわり尽くし本を撮影するのはここだけですよ、と川本さんは言う。
本にも表情がある。その表情はとても美しい。本が写真というメディアになるとき、そこには著者と作り手の想いと、その想いを理解するカメラマンといくつもの懐中電灯があった。
後藤由加里
編集的先達:石内都
NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!
多読ジム×倶楽部撮家 第5弾《一人一撮 edit gallery『ことば漬』》
おそらく、千夜千冊エディションの中でも『ことば漬』の表紙はかなり異色だろうと思います。濃いピンクに黄色の吹き出し。これはこれで出来上がっていて、主張が強く日常の風景に簡単には溶け込みそうもない一冊です。 […]
「編集」や「イシス編集学校」について、吉村堅樹(イシス編集学校学林局 林頭)がミニ動画で解説をする「吉村林頭の編集解説」をイシス編集学校インスタグラムで公開中です。 第1回目はズバリ「編集とは何か?」に […]
ISIS 25周年師範代リレー [第49期古谷奈々 超速編集のスピードスター]
2000年に産声をあげたネットの学校[イシス編集学校]は、2025年6月に25周年を迎えます。第52期の師範代までを、1期ずつ数珠つなぎにしながら、25年のクロニクルを紹介します。 ◇◇◇ 学生時代ウィンド […]
イシス編集学校25周年番期同門祭を記念した「編集熊手Tシャツ」が期間限定販売中です。申込は9月末まで、締め切り前のお申し込みをお急ぎください。 ◇ 第84回感門之盟 25周年番期同門祭(9 […]
松岡正剛写真を展示します [9/10(火)〜15(日) 東京 渋谷]
校長松岡正剛の写真を渋谷で展示します。 「原点 – 記録・断片・まなざし」と題して、書斎での執筆風景をメインに、5年間の記録を約30点の写真で構成しました。 写真展は、東京写真 […]