米誌『TIME』の表紙に岸田文雄首相の顔写真が載り、「日本を軍事大国に」との見出しが添えられるというニュースが流れた。外務省が異議を唱え「国際舞台でより積極的な役割を与えようとしている」に差し替えられたようだ。今週は日本各地で地震が相次いだが、国家も揺れに揺れている。こんなときイシス編集学校長・松岡正剛の言葉が頭をよぎる。
日本という国家が気になるなら、議論の仕方をおぼえなさい。国家に縛られたくないのなら、「日本という方法」を学びなさい。
イシス編集学校には「日本という方法」を見つめる格好の場がある。師範代養成コースであるISIS花伝所だ。2023年5月13日(土)、これから師範代を目指す第39期[花]入伝生と指導陣が世田谷豪徳寺の本楼に集い「入伝式」が開かれている。冒頭、イシス花伝所長・田中晶子は、宮本武蔵『五輪書』を引きながら入伝生への期待を伝えた。
1:「渡をこす」という編集力を持ってほしい
『五輪書』で最も絶妙なのは「渡をこす」である。たとえば海を渡るには“瀬戸”を越えたかどうかという一線があり、四十里五十里の道にも度を越せたかどうかということがある。これは長きも短きも同じことで、その「渡」を越したかどうかを体や心でわかるべきなのである。武蔵は人生にも「渡」があって、その「渡」が近いことを全力で知るべきだと言っている。それがまた短い試合の中にも外にもあって、その僅かな瞬間にやってくる「渡」にむかって全力の技が集まっていく。そう、言うのである。
2:「さかゆる拍子」を持つかどうかは真剣の一点が大事
またしきりに「ひやうし」という。拍子である。拍子に背くのが一番まずいことで、そのために拍子をこそ鍛練しなさいという。「さかゆる拍子」「おとろふる拍子」、さらに「あたる拍子」「間の拍子」「背く拍子」があるのだから、それによっておのずから打ち、おのずから当たる。それに尽きるというのだ。
さらに田中所長は「日本という方法」を見つめた人物を挙げる。異邦人となって日本という方法を作り直そうとした金子光晴、「2つのJ」を持ち出した内村鑑三、童謡に日本を持ち込んだ野口雨情や西条八十、職を捨てて二項対立ではなく二項同体へ向かった清沢満之といった先達だ。そして彼らには共通して真剣な「意気込み」があったと語った。
最後に学林局林頭・吉村堅樹の「日本イシス化計画」なる構想を明かした。今後5年間で日本に編集工学を広げていきたい、「編集を日本のインフラにする」というイシス編集学校の大いなる意気込みだ。
39[花]の24名の入伝生たちは編集への意気込みを充填し、これから日本イシス化計画を担う師範代として花を咲かせていくことだろう。
▼第39期[ISIS花伝所]編集コーチ養成コース 指導陣
校長:松岡正剛
所長:田中晶子
花傳式部:深谷もと佳
花目付:林朝恵、中村麻人
花伝師範:岩野範昭、平野しのぶ、蒔田俊介、吉井優子
錬成師範:梅澤光由、大濱朋子、小椋加奈子、嶋本昌子、古谷奈々、森本康裕、山本ユキ
福井千裕
編集的先達:石牟礼道子。遠投クラス一で女子にも告白されたボーイッシュな少女は、ハーレーに跨り野鍛冶に熱中する一途で涙もろくアツい師範代に成長した。日夜、泥にまみれながら未就学児の発達支援とオーガニックカフェ調理のダブルワークと子育てに奔走中。モットーは、仕事ではなくて志事をする。
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