◎伝習座速報◎52期の破、25歳の「別」

2024/06/01(土)21:00
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2000年6月1日に産声をあげたイシス編集学校。奇しくもそれから25年目にあたる2025年6月1日・52破伝習座が開かれた。応用コース[破]の指導陣による方法の学びと継承の場である。13時、イシスの本拠地・本楼の灯りは落とされた。

 

「近江ARSの活動は「別様のスタイル」を掲げるものにしたいと思った。ARSはアナザー(A)・リアル(R)・スタイル(S)のことだ。それとともにARSの本義であるアートでなければならないと思った。別様を謳うアートだ。近江ARSのお披露目キックオフのステージに大きく「別」という書を飾った」

 

近江ARS TOKYOの松岡校長の方法に肖り、暗闇の中の朗読で伝習座が始まった(朗読:吉田麻子師範)。

 

▲朗読された校長・松岡正剛の最新刊『別日本で、いい』(春秋社)

本著書内で、校長・松岡正剛は近江を通して、その差しかかりを述べている。

「しばらく遠のいていた近江に、あらためて郷愁に近い恋情のようなものを感じたのは、数年前のことである。中山雅文の介添えで三井寺長吏の福家俊彦と出会えたことによるものだった。ああ、私はここで最後の仕事の荷を解かなければいけないと確信した」

 

■「別」に向かう

律師・八田英子は冒頭挨拶でイシス編集学校の25歳の誕生日と重ねて、師範代へエールを送った。

校長・松岡正剛が試行錯誤を重ね、その表象として立ち上がったイシス編集学校。その25年目を迎える、そのキワに立っていることを感じてほしい。

前回の守破合同の伝習座ではイシス編集学校の新たな試みの一端が露になった。25歳を迎えたイシス編集学校も「別」へ向かう。その試みには多くの有識者も関わっているが、校長・松岡正剛の方法を直に受け取っている皆さんこそ、新しいものを生み出していってほしいと添えた。

失敗してもいい。失敗を誇っていい。それぞれに好きを出してほしい。

 

 

■「別」を見出す

破学匠・原田淳子は近江ARSに重ねて、52破の伝習座にかける思いを語った。

「別」という言葉の特別さを破の指南の中でも考えてほしい。

 

破の講座では、文体編集・クロニクル編集・物語編集・プランニング編集の4つの編集術を学ぶが、どの編集術のお題も方法を通して、「別」を発見する、また「別」を作っていくための設えになっている。これから向かう物語編集では、よく知る物語にひそむマザータイプ(母型)を使い、「別」の物語を生みだし、プランニング編集では、その方法を通して、身近にあるものから「別」を発見し、世界に一つしかないハイパーミュージアムのプラン構想をする。

 

今回の伝習座では、松岡校長の右腕であり、ともに近江ARSを推し進めているプロデューサー・和泉佳奈子(百間 代表取締役)を招き、『別日本で、いい』を共読するという特別な機会が設えられた。和泉からは松岡校長の傍でプランニング編集術を実践したからこその秘訣が表沙汰にされ、格別の贈り物となった。

 

イシス編集学校の誕生日に「別」に向かうための方法をプレゼントされた師範代は、学衆の「別」を見出すべくまた一歩踏み出していく。

 

 

写真/アイキャッチ・八田律師・原田学匠:後藤由加里

書籍:萩原ヒロキ

 

  • 萩原ヒロキ

    編集的先達:荘子。人材業界の会社員として、営業、労務管理、開発、マーケ、海外事業、広報、人材採用、人事企画を求められるまま次々に異動することも、風に吹かれるすすきや竹のごとき受容力の持ち主である由縁か。野口整体、アレクサンダーテクニーク、ゲシュタルト療法、ヒーリングなどの心身に関わる方法を学び、セラピストとしての活動歴もあり。

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