タッパーウェアはそのまま飼育ケースに、キッチンペーパーは4分割して糞取り用のシートに。世界線を「料理」から「飼育」に動かしてみると、キッチンにあるおなじみの小物たちが、昆虫飼育グッズの顔を持ち始める。
桜ほころぶ季節は、新たな節目の季節でもある。かつての感門之盟で校長・松岡正剛が発した言葉であらわすならば、「断点から断然」の編集へ向かう契機でもある。
こうした節目はイシス編集学校も例外ではない。2024年、イシス編集学校は25周年を迎える。
3月某日、1月に自らも傘寿の節目を迎えた松岡校長は、イシスの講座を企画するメンバーに、ひとつのお題を託した。それは「1年ないし1年半でイシス編集学校にネオバロックを興して欲しい」というものだった。
このお題に回答するべく、イシス編集学校とそこに集うメンバーは、この一年でどのようにして断点から断然へと向かえばよいのか。
2024年4月6日の53[守]・52[破]伝習座で、林頭の吉村堅樹は「3つのネオバロック」を語った。校長のお題に対する回答である。この構想は、伝習座では初のお披露目となる。
ここでは、吉村林頭が明かした構想の一端を紹介したい。
松岡校長やイシス編集学校を支えながら一緒に前へと進めていくボードチーム。それが「ISIS co-mission」である。「ミッション(mission)」を「共に(co-)」していきたいという意味から、このようなネーミングとなった。
コミッションのメンバーが、イシス編集学校をイシスメンバーと共に面白がり、共に編集思想を深めていくことにより、総体として編集工学の可能性を社会へあらわしていく。気になるISIS co-missionメンバーの詳細については、4月下旬の続報を待たれたい。
伝習座と感門之盟。どちらもイシス編集学校にはなくてはならないイニシエーションの場であり、イシス25年の歴史と共にあった大切なイベントである。ネオバロックに向けて、この二つのイベントの再編集に着手することとなった。
まず、師範代の研鑽の場である「伝習座」は、師範陣がイニシアチブを取り、これまでの講義映像もいかし、相互にディレクションも入れながらつくりあげていくスタイルへ。ISIS co-missionメンバーも招いて一座建立の場とし、イシス編集学校の外部の方にも広く公開する。感門之盟も同様に講座単位とし、講座メンバーが対話をしながら今までにない新しいかたちをつくりあげていく。
さらに、伝習座・感門之盟とは別に、外部向けに編集成果をあらわす「編集祭り」のような場を新たに企画する。これまでの伝習座・感門之盟のスタイルは今期までとし、秋以降は完全にスタイルを切り替えていく予定とのこと。
3.多読アレゴリア
ひとことでいえば、ネオバロック版「多読ジム」である。多読ジムに限らず、これまではイシスの講座では、全員が同じ教室、同じお題に向き合っていた。教室は一人の師範代が担い、学衆は教室を選ぶことができなかった。
これらと全て逆のことをやろうとしているのが「多読アレゴリア」である。スタジオごとにお題も違えば(例えば「情報の歴史」「千夜千冊」「大澤真幸」「こども」など)、師範代も複数人でもOK。受講者は好きなスタジオを選ぶこともできる。「情熱」や「熱意」を意味する「アレゴリア」の名の如く、スタジオごとのユニークネスがますます発露する場となる。
「バロック」とは、円ではなく楕円。つまり複焦点であり多焦点であること。1年ほどの短期間でイシス編集学校がネオバロックへ向かうためには、師範や師範代それぞれが編集力を発揮して多焦点となり、ポリフォニックな編集を実践することが欠かせない。
ではそのためにはどのようにすればいいのか。そこで吉村林頭が差し出したのが、強力なツールでありフォーマットである「企画書」だった。

師範陣や師範代に配布された、林頭自らが手がけた「多読アレゴリア」の企画書。
全員に企画書が行き渡ったのち、吉村林頭は企画書づくりのプロセスを明かした。基本となるのは、「よもがせわほり」でおなじみの「プランニング編集術」である(プランニング編集術については、千夜千冊1230夜ワインバーグ『一般システム思考入門』で松岡校長も言及している)。
「“よ”と“も”の段階で、目的だけでなく仮説の予兆まで描きたい」
「施策は、一つでも二つでもなく、頑張って三つは欲しい」
「既存のプロジェクトやプログラムの延長線上の施策があったらチェックして外す」
「松岡校長が企画書づくりで強調する3つの項目が『スケジュール』『スタッフ』『売上見込み(経済)』。経済は必ずしも金銭でなくても良い」
「仕上げにソリューションではなくアブダクションになっているかを確認する」
など、具体的な方法を惜しみなく手渡した。
今のイシスは、やりたいことがあればなんでもできます。編集がいきいきと動く方向であれば止めるものはありません。そのためにすすめたいのが「企画書」です。
師範や師範代一人ひとりが企画書の編集力をあげてほしい。「こういうことがあったらいいのでは」「こういうことがやりたい」ということが少しでもあるならば、そこを企画書にしてほしい。もし詰まったら、遠慮なく僕に相談してください。
来年春までに、ネオバロックを一緒に興していきましょう。
(吉村林頭)
春のおとずれも桜のほころびも一度限りではない。必ず季節をめぐって循環していく。
2025年の春、イシス編集学校ではどのような編集の花々が蕾をほころばせているのだろうか。
上杉公志
編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。
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コメント
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