「木田っち無事到着! 会えました」
「zoom入りました」
テキストで対話も会話も喧嘩もできるラウンジにメッセージが飛び交い、生中継で各地がつながれ、ハイブリッド感門が始まった。
「写真見ましたよ!お二人ともごぶじで何より!」
「木田っち、どことなく疲れているような(笑)」
43[破]比叡おろし教室は突破者5名のうち3名がオンライン、1名が現場で参加している。唯一のリアル参加者である木田俊樹は、滋賀の木こりだ。セイゴオ知文術のアリストテレス大賞を受賞し、物語編集術に七転八倒し、車で5時間かけて昨日現地入りした。だが疲れの原因は遠路の運転ではない。
「3時に寝ました!呑み疲れですね」
そうこうするうちにあっというまに開始時間になり、突破式に突入するところは生身で集まるときと同じだ。場が始まる瞬間の高揚も。そしていよいよ「うちの師範・師範代」が登壇すると、ラウンジが俄然にぎわう。
「出たっ! お二人とも緊張してる」
「カミカミやん。木田っちつっこんで!」
やんややんやの声援だけではない。
「ほんと、指南と自分が鏡という角さんの話は
わたしもすごく胸に残ってます。
花に進む者としてこれからも刻み続けよう」
師範代のメッセージを受けて師範代をめざす学衆が言えば、[離]にあこがれて再突破を遂げた猛者がつぶやく。
「さっき『編集学校は背伸びできる』といってましたが
もっとリアルにそこでついた筋力応用したいなあ」
そこへ、登壇を終えた師範、師範代も合流。
「いやぁ~、どこでカムのか、人間ってわからないものです(笑)」
「なんだか虚構の世界のなかで踊っている(踊らされている)ような
感じになってきました」
「着物大好きなので登壇する皆さんの着物も楽しんでます。
わたしも着たかったー」
「あれ、雪になってきましたよ」
まるでステージと舞台裏と客席がパラレルに重なって、そこを自在に行き来しているような多元で多層な感覚。
複数の場で、映像とテキストと写真を共有しながら時間を共にする体験を、オンライン参加の学衆は、
「既知の方々が出ているときはワイドショーを見ている感じ、
それ以外は前の車に搭載されているテレビ画面にうつっている
子供向けアニメを眺めているような感じです!」
と表現した。
インターネットがバーチャルであったのはもう過去の話で、すでにリアルな実存になっている。ツールやデバイスをとっくに超えて、社会も経済も受け入れる実存システムになっているのだ。経済も社会も情報に埋めこまれていく。情報の時代の場の創出。
「そして自分はどうしても、対面したときの空気感も含めて、リアルを愛してしまいます」
ある学衆はそう吐露し、やっぱり「ちょこっとお顔を見たいので」と、家を出た。
いま、ふりしきる雪のなか、本楼に向かっている。
福田容子
編集的先達:森村泰昌。速度、質、量の三拍子が揃うのみならず、コンテンツへの方法的評価、厄介ごと引き受ける器量、お題をつくり場を動かす相互編集力をあわせもつ。編集学校に現れたラディカルなISIS的才能。松岡校長は「あと7人の福田容子が欲しい」と語る。
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