発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

もはや3月と9月の風物詩となった感門之盟でのP-1グランプリ。[守][破]の集大成となる[破]最後のお題、プランニング編集術の成果を披露し、世に問う。プランニング編集術では、入門以来の1年間に学んできたすべての編集術を駆使してハイパーミュージアムを企画する。回答と指南が終わり、教室が閉じた後、P-1グランプリへのノミネートが発表された。
ノミネートされたのは、4プラン、プランナー学衆とそのテーマをご紹介する。
岸真喜子さん(MOT勿体教室)「せっけん」
市村安紀子さん(特Bダッシュ教室)「引き出し」
依藤 聡さん(伝束スパーク教室)「標識」
新垣香子さん(シード群生教室)「源氏香」
それぞれ期中の稽古では、ミュージアムのネーミングをはじめ、プランの詳細まで考えたのだが、P-1ではそれをいったん脇に置く。テーマに選んだモノをあらためて見つめ直して、クラスメイト、師範代、師範とともに再編集する。ハッキリ言って、グループワークでの全編再回答である。
ここは通常の稽古のルルの外なので、オンライン会議もOK。教室メンバーが集まっては話し合い。少しプランが進んでは、手分けして素材を探し、シナリオを書くというのがここ10日ほどつづいている。みな仕事があり家庭があり、相当な負荷であるが、<勧学会>からは悩ましくも楽しそうな声が聞こえている。相互編集こそイシス流の仕事の秘訣なのだ。それを体感してもらっている、とは吉村堅樹林頭の弁。
9月3日(土)には、3教室がひと通りのプレゼンを作り上げ、吉村林頭、中村まさとし評匠の前で初リハーサルを行った。1週間前に、ここまで構成とシナリオができているのは素晴らしい、と労いの言葉につづいて、さっそくディレクションが飛ぶ。ハイパーミュージアムの「仮説」は見えてきている。そこへ至るプロフィールを豊かに説得的に描くための工夫がさらに必要だ。モヤモヤの残るところについて意見を交わし、[守][破]の方法をつかう具体的なアドバイスをもらう、各チーム小1時間のリハとなった。のこる1教室も5日(月)にはリハーサル。8日(木)の本楼での通しリハを経て、10日(土)の本番をむかえる。
「せっけん」「引き出し」「標識」、誰もがよく知っているモノだ。その中からいかに、未知の要素・機能・属性を見出し、アナロジーを働かせて新たな価値を打ち出せるか。「源氏香」という完成され洗練された遊びから、いかにアフォードされて別様の「いま」に響くコトを描き出せるか。
現代の日本にあるものは、編集され尽くし、最適なところに落ち着いているように見える。便利で安全な世の中はありがたいけれど、わたしたちは変化を求め、遊び続けるホモルーデンスでありたい。冒頭の画像に置いた『破壊的イノベーター、その視界』では、松岡校長がインタビューを受けており、そこでは角川武蔵野ミュージアムについてこのように語っている。
「想像力の翼を広げて連想を喚起するミュージアムにしたいというのが私の考え方です。その連想によって、誰かと会いたくなったり、何かを食べたくなったり、着たくなったり、聴きたくなったりするように、このミュージアムで何かを得たくなるようにしたい。」
訪れる人の連想を誘い、行動を促すミュージアムにする。P-1グランプリに出場するチームが目指しているもココだ!人の心を動かし、行動を変容させる――編集力を駆使した仕事術の奥義に迫っているのだ。[破]学衆と指導陣が一丸となっての、稽古を超えた稽古を目撃せよ。
【P-1グランプリ】第79回感門之盟 9月10日(土)
参考文献:『破壊的イノベーター、その視界』
原田淳子
編集的先達:若桑みどり。姿勢が良すぎる、筋が通りすぎている破二代目学匠。優雅な音楽や舞台には恋慕を、高貴な文章や言葉に敬意を。かつて仕事で世にでる新刊すべてに目を通していた言語明晰な編集目利き。
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コメント
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2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。
2025-06-30
エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。
2025-06-28
ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。