【このエディションフェアがすごい!04】喜久屋書店小倉店

2021/06/05(土)08:21
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 響灘と関門海峡に吹く潮風を受けながら、力強く発展し続けてきた福岡・北九州市。その玄関口・JR小倉駅のすぐそばにある喜久屋書店小倉店で6月1日、「千夜千冊エディション20冊突破記念フェア」が始まりました。北九州市では初開催。千夜千冊エディション・シリーズはもちろん、松岡正剛の著書、そして記念冊子が並べられ、まだ見ぬ読者との出会いを今か今かと待ち望んでいます。

 

※フェアの実施期間や内容については開催店舗ごとに異なります。詳細は各店にてご確認ください。全国の開催店舗はセイゴオちゃんねるにてお知らせしています。

 

JR小倉駅は市営モノレールの駅に直結しています。北九州市は漫画家・松本零士の故郷。駅周辺にはメーテルや星野鉄郎の銅像が建っていたり、モノレールの車体に描かれた銀河鉄道999やハーロック、1000年女王のキャラクターが毎日市内を往復中です。ファンにとっては憧れのステーションです。

 

小倉駅の向かいにある商業施設「SAINTcity」。駅とは高架でつながっており、アクセスは抜群です。ファッションから生活雑貨、食品、スクール、FMラジオのスタジオも入っており、小倉の情報発信基地ともなっています。喜久屋書店小倉店は7階にあります。

 

高架の通路には小倉祇園太鼓の銅像も。映画『無法松の一生』では三船敏郎が“無法松”の松五郎を演じ、祇園太鼓に活気づく小倉の風情を全国に知らしめました。毎年7月には町のあちこちから太鼓の音が聞こえてきますが、残念ながら2021年はコロナ感染の影響で中止に。

 

北九州で最大の蔵書数を誇る喜久屋書店小倉店。一般書、コミック、児童書など幅広いジャンルを扱っていますが、とくに専門書の充実度には定評があります。

 

ゆったりとした空間に家具調の書棚がずらり。千夜千冊エディションフェアコーナーは、ビジネス関係の本が多くならぶ「58」棚が目印です。

 

「千夜千冊エディション20冊突破記念フェア」コーナーはエスカレーター横の壁面にあります。千夜千冊エディション・シリーズをメインに据え、店内の松岡正剛関係の著書も一堂に集結、特設棚を仕立てていただきました。なにやら視線を感じると思ったら眼光鋭い松岡正剛(のポスター)! 強烈な存在感です。

 

『本から本へ』の隣には『多読術』『読む力』、そして『ちょっと本気な千夜千冊 虎の巻』がフィットします。記念冊子は中央に。『デザイン知』に寄り添うように配架されています。

 

20巻目となる最新刊『仏教の源流』が一目でわかるように、即席で手書きポップを製作。平台のポップも角度をつけて掲示、見やすいように工夫。

 

松岡校長のミニポップの周辺にはイシス編集学校のバイブルともなっている『編集力』を配架。合わせて『知の編集術』『インタースコア』『編集手本』も集結しています。

 

フェア担当の徳山翼さん。注目の千夜千冊エディションを尋ねたところ、選んだ一冊は『理科の教室』。「読んだことのない本がたくさん紹介してあるので興味ありますね」と理系っぷりを覗かせてくださいました。「~ちょっとさわってみる。あとの人生が変わってくる」なんて帯コピーも囁きかけてくるようです!?

 

フェア棚は6月1日の朝に設置完了。北九州市に初めて設置したフェア棚は、配架された本たちの息遣いが聞こえてきそうな書棚となりました。書店員の徳山さんと一緒に配架を担当したのは九州中でフェアを展開する九天玄氣組の中野組長。小倉は20歳前後のころに住んでいた町でもあり、フェア開催にはご縁も感じています。

 

 

 当初、千夜千冊エディションのみ並べることになっていたのですが、いざ配架をはじめてみると欲が出てきて「このエディションのそばに、あの松岡本があるといいな」と思うようになるものです。だめもとで「店内に松岡正剛本の在庫はありませんか?」とリクエストしたところ、店内中から本をかき集めてくださいました。よい棚をつくろうというお気持ちと柔軟なご対応のおかげでふくよかな棚に仕上がりました! 

 

 特定の著者や作家だけのフェアを開催するのは、じつは初めてなのだそうです。「一人の作家を特集したとしても、せいぜい10~12冊。こんなに一気に、しかも継続して刊行されている同一著者による文庫シリーズははじめてなので、どう展開していくのか楽しみですね」と徳山さんの期待値も高めです。お買い物の途中に、お仕事帰りにお立ち寄りいただきたいものです。フェアは7月31日まで。

 

写真:喜久屋書店小倉店 徳山翼さん

中野由紀昌

 

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  • 中野由紀昌

    編集的先達:石牟礼道子。侠気と九州愛あふれる九天玄氣組組長。組員の信頼は厚く、イシスで最も活気ある支所をつくった。個人事務所として黒ひょうたんがシンボルの「瓢箪座」を設立し、九州遊学を続ける。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025

大沼友紀

2025-06-17

●記事の最後にコメントをすることは、尾学かもしれない。
●尻尾を持ったボードゲームコンポーネント(用具)といえば「表か裏か(ヘッズ・アンド・テイルズ:Heads And Tails)」を賭けるコイン投げ。
●自然に落ちている木の葉や実など放って、表裏2面の出方を決める。コイン投げのルーツてあり、サイコロのルーツでもある。
●古代ローマ時代、表がポンペイウス大王の横顔、裏が船のコインを用いていたことから「船か頭か(navia aut caput)」と呼ばれていた。……これ、Heads And Sailsでもいい?
●サイコロと船の関係は日本にもある。江戸時代に海運のお守りとして、造成した船の帆柱の下に船玉――サイコロを納めていた。
●すこしでも顕冥になるよう、尾学まがいのコメント初公開(航海)とまいります。お見知りおきを。
写真引用:
https://en.wikipedia.org/wiki/Coin_flipping#/media/File:Pompey_by_Nasidius.jpg