第八六回感門之盟・オープニングは総合司会メッセージ ーー【86感門】

2025/03/15(土)17:29
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 第86回感門之盟は田中優子学長を擁して開催する初めての感門之盟となる。[守]の卒門式と花伝所の放伝式を同時に行うのも初だという。進行も、これまでとは一新し、いきなり総合司会のメッセージで始まった。つとめるのは、今期、42[花]の花伝錬成師範を終えた牛山惠子と54[守]の師範とAIDA師範代をダブルロールした奥本英宏だ。初めてコンビを組むふたりは、それぞれ赤と青を基調に装い分けて、準備万端といった笑顔で並ぶ。

 86回感門は「EDIT SPIRAL」を掲げる。スパイラルといえば渦、ウズといえば鳴門の渦潮または・・?物体が回転して発生する螺旋状のパターンを渦、うず巻きなどとも言う。奥本は、[守]と花伝所の2つのコースを寿ぐ声と、感門之盟に集った参加者の情熱と思いを巻き上げながら、素晴らしい明日への編集へと向かいましょう、との言葉で場を温めた。

 

 

 初めての和装だという牛山の髪は、テーマ「EditSpiral」に因み、ねじれたピンで留められて、生まれた時に母親が求めておいてくれたという大きなガーネットが指に光る。新しいイシスを作ろうという本気が滲むいでたちだ。いつもの感門よりも参加者に着物姿が多いように見えるのは、田中優子学長の影響だろうか。

 

 54[守]は各教室の汁講も本楼を使わず、卒門して本楼で会うことが目標だったという。本日の本楼は満席だ。満を辞しての時を過ごす参加者を迎える誇らしさに溢れた総合司会は、「全員で格別の一日を作りましょう」と、メッセージを結んだ。

 

  • 安田晶子

    編集的先達:バージニア・ウルフ。会計コンサルタントでありながら、42.195教室の師範代というマラソンランナー。ワーキングマザーとして2人の男子を育てあげ、10分で弁当、30分でフルコースをつくれる特技を持つ。タイに4年滞在中、途上国支援を通じて辿り着いた「日本のジェンダー課題」は人生のテーマ。

コメント

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山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025