多読ジムが出版社とコラボする企画「”版元コラボ”エディストチャレンジ」も第三弾を迎えました。第一弾の太田出版、第二弾の工作舎、そして今回、第三弾のコラボ出版社は春秋社に決定しました。
台風去って、猛暑は過ぎ去り、ひんやり秋風の涼しい季節となってまいりましたが、春秋社のブックセレクトは「北斎・芭蕉」に、「摩多羅神」、「ベートーヴェン」と、まさしく”猛書”揃い。「本まみれの読書の秋」にピッタリです。
https://edist.isis.ne.jp/just/tadokugym_season12/
さて、毎度繰り返しにはなりますが、「エディストチャレンジ」の概要をあらためてご説明します。
エディストチャレンジは、コラボ出版社の編集者さんが選本した”トレーニングブック”をもとに、三冊筋のエッセイを書く、というお題です。多読ジムの受講者であれば誰でもエントリーすることができます。
そしてエントリー作品の中から佳作として選ばれた作品は、イシス編集学校のウェブメディア「遊刊エディスト」に掲載されるとともに、出版社のSNS等でも取り上げてもらいます。さらに、その中から最優秀作品を選出し、アワードの発表も行います。記念すべきコラボ第一弾の「それチン大賞」(太田出版)は石黒好美さんが受賞しました。
https://edist.isis.ne.jp/dust/sorechin_interview01/
さらにさらに、今回は賞品もあります。実は、エディストでは公開しておりませんでしたが、第二弾の多読ジム×工作舎でも優秀賞の受賞者には賞品がでます。工作舎ならでは、超貴重本の『遊 1001号 相似律』です。
第三弾の賞品もどうぞお楽しみに。
◉ ◉ ◉
それでは本題のトレーニングブックのご紹介です。
春秋社の編集担当さんが推薦文を届けてくださいました。
◎山本ひろ子『摩多羅神(またらじん)――我らいかなる縁ありて』
本体3500円+税
A5判/上製 400頁 2022年8月刊
本体2300円+税
四六判/上製 272頁 2022年4月刊
三冊すべて、今年2022年に発刊されたできたてほやほや、ピカピカの本たちです。とくに『摩多羅神』は8月に出版されたばかり。著者・山本ひろこさんといえば、千夜千冊1087夜『異神』でも取り上げられていますね。
山本ひろ子ファンの代将も以前に『異神』から牛頭天王をピックアップして三冊筋プレスを書きましたが、ただし、この『異神』は絶版本なので、中世神話の秘教世界を旅するなら『摩多羅神』こそ夢見る枕にしてください。
https://edist.isis.ne.jp/post/sansatsukin03_quim/
『ベートーヴェン症候群』の著者・マーク・エヴァン・ボンズは他にも『「聴くこと」の革命: ベートーヴェン時代の耳は「交響曲」をどう聴いたか』(アルテスパブリッシング)があり、学術誌『ベートーヴェン・フォーラム』の編集主幹も務めたことがあるそうで、どうやらゴリゴリのベートーヴェン主義者のようです。
イシス編集学校のベートーヴェン主義といえば、思い浮かぶのは太田香保総匠ではないでしょうか。エディストには「ルートヴィヒに恋して」というエッセイがあり、その中では『「もし無人島に一冊だけ持っていくなら何の本?」と聞かれたら、迷うことなく「第九の総譜」と答えたい』とも告白しています。『ベートーヴェン症候群』を起点にして、多読ジムにもベートーヴェン・ムーヴメント到来か?
https://edist.isis.ne.jp/nest/otasis_7/
『渾沌の恋人』の恩田侑布子さんは、『余白の祭』(深夜叢書社)で第23回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した俳人です。その選考人が松本健一さんでした。
松本さんは、千夜千冊1092夜『日本の失敗』の著者であり、残念ながら2014年にお亡くなりになりましたが、松岡正剛校長が非常に信頼を置き、親交を深めた方でもあります。その松本さんが『余白の祭』について「現在衰弱している文学シーンを刷新するような変革のエネルギーを秘めた作品」と評しています。このレコメンドはただならぬことです。『渾沌の恋人』の書籍案内には、『余白の祭』以来「8年がかり魂の結晶」とあって、これは期待しないわけにはいきません。
ちなみに『渾沌の恋人』はタイトルに「恋人」というメタファーが使われていますが、恩田さんが「十五の時に出逢った初恋の男」はなんと「荘子」だったそうです(「ドゥマゴ文学賞」受賞コメントより)。
摩多羅神か、ベートーヴェンか、北斎・芭蕉か、”三書三様”、よりどりみどり、全部読みも結構です。版元コラボへのエントリー、楽しみにお待ちしております。
Info
◉多読ジム season12・秋 三冊筋プレス
「”版元コラボ”エディストチャレンジ」◉
∈出版社 春秋社
∈トレーニングブック
◇『摩多羅神(またらじん)ーー我らいかなる縁ありて』
◇『ベートーヴェン症候群ーー音楽を自伝として聴く』
◇『渾沌の恋人(ラマン)ーー北斎の波、芭蕉の興』
∈参加資格
∈DESIGN the eye-catching image
穂積晴明
金 宗 代 QUIM JONG DAE
編集的先達:水木しげる
最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
photo: yukari goto
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