飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。

初詣で引いたおみくじの結果を正確に覚えている人は実はあまりいないだろうと思う。しかし、1冊の本に込めた願いは忘れ難いものがある。
編集工学研究所・松岡正剛事務所の新年会が、2023年1月6日(金)に開催された。今年もそれぞれ2023年の抱負をこめて年末年始に読んだ本を持ち寄りながら、新年への思いを共読する。
花伝所長 田中晶子のしつらえで本楼に新春がおとずれる。シンとする空気の中、お屠蘇の乾杯で新年会がひらかれる。
新年に向けて、スタッフに期待することを年末の紅白歌合戦とも重ねて手渡していく松岡正剛。今年自身が新たに始めるコトについてもチラリと予告があった。
新年会は1冊の本に託して今年の抱負を語りあう「肖冊会(shosatsue)」がメインプログラム。今回の進行は、黒膜衆を率いながらイベントの演出も手がける衣笠純子と、昨年15[離]で典離し、「多読SP村田沙耶香を読む」でも特別賞を受賞した山本春奈。飛ぶ鳥を落とす勢いのある二人が務める。
「今年は仕上げに向かいながら、皆に手渡していきたい」意気込み新たにする林頭 吉村堅樹が選んだのは『折口信夫論』(松浦寿輝/ちくま学芸文庫)。「起源に遡りながら新たな言葉を編集学校を通じながら考えていきたい」2023年はどんな仕掛けを考えているのか。今後の動向は「おつ千」で随時キャッチを!
エッセイ集『ラディカルな意志のスタイルズ』(スーザン・ソンタグ/河出書房新社)を抱えてきた穂積晴明。「この時代にどういう方向性で進んだらいいのか、それは編集にある。それを新しいスタイルとして昇華したい」と言い切り、穂積流デザイン宣言4箇条を掲げた。
一人ひとりの肖りたい思いを受けて、一人ひとりへ言葉をかけていく。労い、期待、助言を織り交ぜながら、場をあげていく。
さて、年末の千夜千冊は1813夜『アレゴリー』で締め括られたが、年始1冊目はどんな本が放たれるのか?今はその公開が待たれる。
読者の皆さんは2023年の肖り本にどんな1冊を選ぶだろうか?新年のお題として、決意の1冊を周りの人たちと持ち寄って共読してみることをお勧めしたい。きっと、2023年のお守りになってくれるだろうと思う。
本と、スタッフと、記念撮影。
後藤由加里
編集的先達:石内都
NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!
写真家研究とモンタージュで写真を深める【倶楽部撮家:25秋募集】
倶楽部撮家 第2期生募集! 多読アレゴリア「倶楽部撮家」の第2期目は、「写真家研究」と「モンタージュ」を楽しみます。第1期目の夏シーズンは、自身の幼な心を起点にして、まずはシャッターを押してみることを試みてきました。次 […]
こまつ座「父と暮せば」をイシス編集学校の師範が観てみました 第2弾
こまつ座「戦後”命”の三部作」の第一弾「父と暮せば」(井上ひさし作/鵜山仁演出)が現在公演中です。時空を超えて言葉を交わし合う父と娘の物語。こまつ座がライフワークとして大切な人をなくしたすべての […]
こまつ座「戦後”命”の三部作」の第一弾「父と暮せば」(井上ひさし作/鵜山仁演出)が現在公演中です。時空を超えて言葉を交わし合う父と娘の物語。こまつ座がライフワークとして大切な人をなくしたすべての […]
【本楼紹介】世界一大きな躙り口?井戸のような書棚空間「井寸房」
松岡正剛の蔵書を配架しているゴートクジISIS館内「本楼」(東京都世田谷区)には約2万冊の日本に関する本が並んでいます。普段、一般公開されていないこの「本楼」の一部を特別にYouTubeイシスチャンネルでご紹介します。 […]
急報!鈴木寛からの事前お題発表【6/20開催『情報の歴史21』を読む ISIS FESTA SP】
知の最前線で活躍するプロフェッショナルたちは、『情報の歴史21』をどう読んでいるのか?人類誕生から人工知能まで、人間観をゆさぶった認知革命の歴史を『情歴21』と共に駆け抜ける!ゲストは鈴木寛さんです。 急報 […]
コメント
1~3件/3件
2025-08-16
飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。
2025-08-14
戦争を語るのはたしかにムズイ。LEGEND50の作家では、水木しげる、松本零士、かわぐちかいじ、安彦良和などが戦争をガッツリ語った作品を描いていた。
しかしマンガならではのやり方で、意外な角度から戦争を語った作品がある。
いしいひさいち『鏡の国の戦争』
戦争マンガの最極北にして最高峰。しかもそれがギャグマンガなのである。いしいひさいち恐るべし。
2025-08-12
超大型巨人に変態したり、背中に千夜をしょってみたり、菩薩になってアルカイックスマイルを決めてみたり。
たくさんのあなたが一千万の涼風になって吹きわたる。お釈迦さまやプラトンや、世阿弥たちと肩組みながら。