見ることばとしての日本語 AIDA Season3 第4講 10shot

2023/02/09(木)08:09
img

 折り返し地点を迎えて、いよいよ「日本語としるしのアイダ」の本丸へ。Hyper Editing Platform[AIDA]Season3 第4講(1月14日開催)では、ブック・デザイナー 松田行正氏(マツダオフィス・牛若丸出版主宰)によるレクチャーのもと、日本語のしるし性について考えていく。

 

◆日本語≒見ることば

 「見ることば」と題し、日本語の視覚性について48枚にもわたるスライドを用いてレクチャーをする松田さん。約物、句読点、濁音、半濁音など細部から焦点をあてていく。次第にスコープはひらがなの偉大さ、地図記号にまで広げられ、日本語を取り巻く歴史を紐解きながら、話は絵画・建築にまで及んだ。

 

◆読者の目線を編集する

 本楼には松田さんが執筆、デザインされた本たちがずらりと立つ。洗練されたポップ感のある装丁に目を奪われて思わず手に取りたくなる。本を手にすれば、そこにはとても細やかな仕掛けが施されていることに驚く。ぜひ一度、実物を手にして〈本のオブジェ性〉を堪能されることをお勧めしたい。

 

◆『遊』に出会って

 「読者として松田さんの本にたくさん触れてきた」というボードメンバー山本貴光氏が聞き手となり、対談セッションを行う。松田さんは、オブジェマガジン『遊』1001号「相似律」(1978年 工作舎)に衝撃を受け「似ていることで編集できると思った」とご自身の編集的起点を振り返る。

 

◆『知の編集工学』を編集する

 今回の事前課題では、『アート&デザイン表現史 1800s-2000s』(松田行正/左右社)の中から方法を取り出して図解することに挑戦した座衆。参丞 橋本英人が高速で全課題の方法的特徴を分類し、紹介していく。

 

 林頭 吉村堅樹の「『知の編集工学』義疏」もいよいよ第四章へ。今回は『インタースコア』(春秋社)でも座長松岡が問うている《問感応答返》にふれ「Q&Aではなく、QからEdit(問い)に続くようにしたい」と編集の骨法を明かした。

 

◆再びツッカム正剛

 旧知の仲である二人は数年前にYouTube「ツッカム正剛」でも共演し、5回にわかり本について語り尽くした。久しぶりの再会に休憩中もじっくりと話し込んでいた。

 

◆”日本する”ということ

 ボードメンバーを加えてのAIDAセッションで議論をさらに進める。日本語の言語的性質、ヨーロッパとの違い、輸入思想、翻訳語など話題を広げながら、日本語に深く深く潜っていく。最後に議論を引き取り「欧米の哲学や社会学を日本風に読んでみたらどうか」と座長松岡からの提示をもって第4講は幕引きとなった。

 次回、第5講では今回の問題意識をそのままバトンタッチするかの如く、日本文学者 リービ英雄氏がゲスト講師として登壇する。

 

 

[AIDA]Season3「日本語としるしのAIDA」10shot

第1講 日本語としるしの秘密は源氏物語にある

第2講 中世の九相図から無常を読む

第3講 折口信夫 – 人間の原型を見つめたあいだの人 大阪合宿1日目

第3講 ガンダムで見る日本漫画のしるし 大阪合宿2日目

第4講 見ることばとしての日本語


  • 後藤由加里

    編集的先達:小池真理子。
    NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。エディストカメラ部として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!

  • 39[花]師範が選ぶ「春に読みたい千夜千冊」

    これでフィナーレです。昨年夏から始まった「○○に読みたい千夜千冊」シリーズは四季を巡り、春を迎えました。今回は春ということで講座名に「花」を背負っている[ISIS花伝所]の師範たちが、春に読みたい千夜千冊(通称ハルセン […]

  • 回転する宇宙から話がはじまる「册影帖 全宇宙誌」撮影現場10shot

    撮影が始まったのは数ヶ月も前のこと。「次の册影帖は『全宇宙誌』でいく」と耳にして、撮影スタジオとなった本楼に伺ったのは昨年の秋だった。  册影帖とは写真家 川本聖哉さんが松岡正剛の編著作を映像化するプロジェクト。これま […]

  • 50[守]師範が選ぶ「冬に読みたい千夜千冊」

    「ナツセン」「アキセン」と続いた「○○に読みたい千夜千冊シリーズ」が再びやってきました。今回は50[守]師範・番匠が冬に読みたい千夜千冊「通称フユセン」をエディションシリーズから選びました。ISIS編集学校のInsta […]

  • 瀬戸義章『雑草ラジオ』刊行記念インタビュー:柔らかく貫きたい

    「持ち運べる災害ラジオ局」を発明し、インドネシアで防災支援を続ける千離衆 瀬戸義章さん。これまでの紆余曲折の活動が一冊の本となった。新著『雑草ラジオ 狭くて自由なメディアで地球を変える、アマチュアたちの物語』(英治出版 […]

  • ガンダムで見る日本漫画のしるし AIDA Season3 第3講 大阪合宿2日目 20shot

    【1日目】【2日目】   ◆2日目:12月11日(日)  AIDA大阪合宿2日目は、安藤礼二さんの案内で四天王寺(大阪市)を訪れるところからスタートする。  聖徳太子と縁のある四天王寺は、死と再生のお寺でもある […]