どの本から読みますか?51[破]先達文庫20冊【83感門】

2024/03/17(日)18:28
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イシス編集学校のあれやこれやが一冊となった『インタースコア』(春秋社)、ここに次のような一節がある。

 

現・ISIS花伝所長で当時学衆だった田中晶子は、自分のためだけに特別な本が贈られることにびっくりし、届いた『ラファエル前派の夢』を1日で読みきった。本を贈り相互に読みあうイシス独特の「共読」の文化は、先達文庫から生まれたものだった。

 

第83回感門之盟「EDIT TIDE」Day2(2024.3.17)、第51期[破]応用コースの師範代に先達文庫が手渡された。[守]基本コースの師範代には1冊だが、[破]では2冊。松岡正剛校長・木村久美子月匠・原田淳子学匠による選りすぐりの贈り物である。

 

 

◆南田桂吾 師範代(類児・創児教室)

 『スケール(上)』(ジョフリー・ウェスト/ハヤカワNF)  

 『スケール(下)』(ジョフリー・ウェスト/ハヤカワNF)

 

 

◆妹尾高嗣 師範代(平蔵ひたすら教室

 『禅と日本文化』(鈴木大拙 碧海寿広/角川ソフィア文庫)

 『禅と自然』 (唐木順三/法蔵館文庫)

 

 

◆黒田領太 師範代(くればミネルバ教室)

 『ダンデ『神曲』講義(上)』(平川祐弘/河出文庫)

 『ダンデ『神曲』講義(下)』(平川祐弘/河出文庫)

 

 

◆一倉広美 師範代(マラルメ五七五教室)

 『茨木のり子詩集』(谷川俊太郎選/岩波文庫)

 『言の葉さやげ』(茨木のり子/河出文庫)

 

 

◆紀平尚子 師範代(アスロン・ショーコ教室)

 『極夜行』(角幡唯介/文春文庫)

 『極夜行前』(角幡唯介/文春文庫)

 

 

◆山崎智章 師範代(トークン森々教室)

 『なめらかな社会とその敵』(鈴木健/ちくま学芸文庫)

 『じゅうぶん豊かで、貧しい社会』(ロバート・スキデルスキー&エドワード・スキデルスキー/ちくま学芸文庫)

 

 

本間裕 師範代(ホンロー太夫教室)

 『中世の非人と遊女』(網野善彦/講談社学術文庫)

 『米・百姓・天皇』(網野善彦・石井進/ちくま学芸文庫)

 

 

◆新垣香子 師範代(カタルトシズル教室)

 『読書からはじまる』(長田弘/ちくま文庫)
 『すべてきみに宛てた手紙』(長田弘/ちくま文庫)

 

 

◆森下揚平 師範代(マジカル配列教室)

 『遺伝子(上)』(シッダールタ・ムカジー/ハヤカワNF)

 『遺伝子(下)』(シッダールタ・ムカジー/ハヤカワNF)

 

 

◆西宮牧人 師範代(カンテ・ギターラ教室)

 『アルハンブラ物語』(W・アーヴィング/光文社古典新訳文庫)
 『セルバンテス』(ポケットマスターピース/集英社ヘリテージシリーズ)

 

アイキャッチ・ビジュアルデザイン:穂積晴明

 

 

あわせて20冊の本と、それを迎える師範代たちの手。ここから共読の水紋が広がっていく――。

 

  • 福井千裕

    編集的先達:石牟礼道子。遠投クラス一で女子にも告白されたボーイッシュな少女は、ハーレーに跨り野鍛冶に熱中する一途で涙もろくアツい師範代に成長した。日夜、泥にまみれながら未就学児の発達支援とオーガニックカフェ調理のダブルワークと子育てに奔走中。モットーは、仕事ではなくて志事をする。

コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-07-01

発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。