草むらで翅を響かせるマツムシ。東京都日野市にて。
「チン・チロリン」の虫の音は、「当日は私たちのことにも触れてくださいね」との呼びかけにも聴こえるし、「もうすぐ締め切り!」とのアラートにも聞こえてくる。

ゴートクジ・イシス館住人たちが一念発起し結成した書棚見回り隊、その名も「書庫邏隊」(ショコラ隊)が、松岡正剛譲りの書物愛を奮い立たせて選書の腕を競いあう「春の陣」。このたびようやくその第2弾が井寸房にお目見えしました。第1弾同様、今回も、本とともに選者によるレコメンドカードを添えてあります。
井寸房のディスプレイ棚は、2~3週間ごとに入れ替え予定。イシス館においでの際は、ぜひ実際に本を手に取り、御覧ください。
ショコラ隊「2025春の陣」その2
*本の順番はイシス館の書棚構成に沿っています
〇『世界文学としての方丈記』プラダン・ゴウランガ・チャラン 法蔵館2022年
・・・『方丈記』がコロナロックダウン下のイギリスで注目されたわけ(選・安藤昭子+渡辺敬子)
〇『怪物たちの食卓 物語を食べる』赤坂憲雄 青土社 2024年
・・・「喰う/喰われる」をめぐる赤坂フィールドワークの精華。さて怪物の正体とは(選・安藤昭子+渡辺敬子)
〇『奴隷と家畜 物語を食べる』赤坂憲雄 青土社 2023年
・・・生きることは殺すこと。人間存在の深淵をめぐるフィールドワークエッセイ(選・安藤昭子+渡辺敬子)
〇『中世寺院の風景 中世民衆の生活と心性』細川涼一 法蔵館文庫 2024年
・・・民衆生活とともにあった寺院と信仰のあり方を見つめる(選・安藤昭子+渡辺敬子)
〇『中世の都市と非人 武家の都鎌倉・寺社の都奈良』松尾剛次 法蔵館文庫 2024年
・・・中世鎌倉・奈良における非人政策とその救済の実態を解く(選・安藤昭子+渡辺敬子)
〇『江戸という幻景(新装版)』渡辺京二 弦書房 2023年
・・・江戸の人びとの日記や紀行を通してはかる逝きし世の日本人の心性(選・安藤昭子+渡辺敬子)
〇『江戸庶民の読書と学び(新装版)』長友千代治 勉誠社 2025年
・・・江戸に開花した多様な出版文化から、日本の教養形成のあり方を描き出す(選・安藤昭子+渡辺敬子)
〇『江戸吉原の経営学』日比谷孟俊 笠間書院 2018年
・・・妓楼経営者たちの手腕から、経済文化の両輪をまわすマネジメントを学ぶ(選・安藤昭子+渡辺敬子)
〇『見て楽しむ 江戸時代の暮らしと文化の絵事典』安藤優一郎 成美堂出版 2024年
・・・江戸庶民のライフスタイルとともに江戸のシステムを見渡す一冊(選・安藤昭子+渡辺敬子)
〇『日々のきのこ』高原英理 河出書房新社 2021年
・・・豊饒なオノマトペと造語によって綴られる虚実皮膜のきのこワールド(選:濱田文香)
〇『ブリュメール18日 革命家たちの恐怖と欲望』藤原翔太 慶應義塾大学出版会 2024年
・・・“ナポレオンの革命”をもたらした民主主義と権威主義の危うい関係(選:太田香保)
〇『中東 世界の中心の歴史 395年から現代まで』ジャンピエール・フィリユ 中央公論新社 2024年
・・・イスラムに拠点を置いて、紋切りの東西対立型世界観を痛烈に打破する(選:太田香保)
〇『ウクライナ全史 ゲート・オブ・ヨーロッパ』上下巻 セルヒー・プロフィー 明石書店 2024年
・・・ロシアによるウクライナ侵攻直前に刊行された本書から、両国関係史を学びなおしたい(選:太田香保)
〇『痛み、人間のすべてにつながる 新しい疼痛の科学を知る12章』モンティ・ライマン みすず書房 2024年
・・・内なる複雑系としての「疼痛ネットワーク」が科学社会観の変更を促す(選・橋本英人)
〇『修道制と中世書物』大貫俊夫編 八坂書房 2024年
・・・グーテンベルク以前の書物文化を担った修道士たちの宗教力と創造力(選:太田香保)
〇『すばらしい孤独 ルネサンス期における読書の技法』リナ・ボルツォーニ 白水社 2024年
・・・書物を「精神の鏡」とみなすことで、知られざるルネッサンス期の読書のあり方を繙く(選:太田香保)
〇『書くことのメディア史 AIは人間の言語能力に何をもたらすのか』ナオミ・S・バロン 亜紀書房 2025年
・・・紙片からディープラーニングまで、「書くこと」の壮大な変遷史(選:橋本英人)
〇『アヴァンギャルドとジェンダー イタリア・ドイツ・ロシアの前衛芸術と文学』西岡あかね 東京外国語大学出版会 2025年7月7日
・・・アート界の強固な“保守同盟”に抗った前衛女性アーティストたちの勇姿(選:太田香保)
書庫邏隊(ショコラ隊)
松岡正剛の愛書精神を継承し、イシス館の本棚の再編集と新陳代謝を担う。イシス館の全住人が所属し、それぞれ1階~3階のいずれかの書棚を担当している。リーダーは、吉村堅樹・小森康仁・太田香保・寺平賢司。
イシス館書棚見回り「書庫邏隊」いよいよ始動―「2025春の陣」その1
2024年8月以来止まっていた松岡正剛「千夜千冊」が突然動き出し、「絶筆篇」が始まりました。機を合わせて、ゴートクジ・イシス館住人たちが一念発起し結成した書棚見回り隊、その名も「書庫邏隊」(ショコラ隊)の活動成果が、この […]
コメント
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2025-07-15
草むらで翅を響かせるマツムシ。東京都日野市にて。
「チン・チロリン」の虫の音は、「当日は私たちのことにも触れてくださいね」との呼びかけにも聴こえるし、「もうすぐ締め切り!」とのアラートにも聞こえてくる。
2025-07-13
『野望の王国』原作:雁屋哲、作画:由起賢二
セカイ系が猖獗を極める以前、世界征服とはこういうものだった!
目標は自らが世界最高の権力者となり、理想の王国を築くこと。ただそれだけ。あとはただひたすら死闘に次ぐ死闘!そして足掛け六年、全28巻費やして達成したのは、ようやく一地方都市の制圧だけだった。世界征服までの道のりはあまりにも長い!
2025-07-08
結婚飛行のために巣内から出てきたヤマトシロアリの羽アリたち。
配信の中で触れられているのはハチ目アリ科の一種と思われるが、こちらはゴキブリ目。
昆虫の複数の分類群で、祭りのアーキタイプが平行進化している。