飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。

第83回感門之盟「EDIT TIDE」Day3(2024.3.23)のスペシャルなコンテンツは多読ジムSPの読了式だ。感門之盟で読了式が行われるのは初めて。多読スペシャル「鴻巣友季子を読む」は1月27日のオープニングセッションで開講してから5週間に渡り鴻巣さんと共に翻訳書を多読してきた。鴻巣さんを迎えた感門之盟はいつにも増して華やかだ。
今回の多読スペシャル「鴻巣友季子を読む」アワードの対象となった最後のお題はこちら。
「ジムでの稽古とオンラインセッションを通じてクリエイティブライティングに挑む」
読衆は多読ジムの稽古の中の理論編と実践編で使用した書籍からそれぞれ1冊ずつ選び、そこから「ことば」を中心に見出した原石をクリエイティブに再構築して新しい見方を描き出すことを期待される。
全身で一冊の本を引き受けて言葉を紡いだ翻訳家たちの作品を、著者と翻訳家の両者の方法を使い、体当たりで創造的にライティングし直した多読ジムの30名の読衆たち。そこからどんなクリエイティブが溢れてことばの渦になったのか。鴻巣さんは「鴻巣友季子賞」をひとりと、3名の優秀賞を選考した。賞として贈られたのは、鴻巣さんが作品からイメージした読衆のために選んだ翻訳書だ。また、創作という点で評価の高かった4つの作品には創作特別賞が贈られた。
木村月匠の進行で発表された堂々の受賞者とアワードの翻訳書はこちら!
◆「鴻巣友季子賞」
戸田 由香さん(スタジオ繙∞翻)
『母を失うこと 大西洋奴隷航路をたどる旅』
(Loose Your Mother)
サイディヤ・ハートマン (著)
榎本空 (翻訳)
◆優秀賞
相部 礼子さん(スタジオ◎ことばの渦)
『パピルスのなかの永遠: 書物の歴史の物語』
(Papyrus: The Invention of Books in the Ancient World)
イレネ・バジェホ (著)
見田 悠子 (翻訳)
◆優秀賞
吉田 麻子さん(スタジオ*変奏曲)
『私たちはいつから「孤独」になったのか』
(A BIOGRAPHY OF LONELINESS
The History of an Emotion)
フェイ・バウンド・アルバーティ(著)
神崎朗子 (翻訳)
◆優秀賞
畑 勝之さん(スタジオ*変奏曲)
『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』
(The Swerve
How the World Became Modern)
スティーヴン・グリーンブラット(著)
河野 純治 (翻訳)
◆創作・特別賞
高橋 陽一さん (スタジオ*変奏曲)
塚田 有一さん (スタジオ繙∞翻)
奥富 宏幸さん (スタジオ◎ことばの渦)
石黒 好美さん (スタジオ◎ことばの渦)
多読ジムスペシャル「鴻巣友季子を読む」はアワード発表で終わらない。感門之盟最終日のクライマックスはこのあと。鴻巣さんと松岡校長の特別対談へとつづく。
to be continued…
(アイキャッチ・ビジュアルデザイン:穂積晴明 写真:福井千裕)
安田晶子
編集的先達:バージニア・ウルフ。会計コンサルタントでありながら、42.195教室の師範代というマラソンランナー。ワーキングマザーとして2人の男子を育てあげ、10分で弁当、30分でフルコースをつくれる特技を持つ。タイに4年滞在中、途上国支援を通じて辿り着いた「日本のジェンダー課題」は人生のテーマ。
選挙前夜のイシス館で「すずかんゼミ」を体験する〜【『情報の歴史21』を読む ISIS FESTA SP】鈴木寛編
週末に東京都議会議員選挙が控え、全国で参議院議員選挙が始まろうとしている6月20日金曜日の夜、豪徳寺のイシス編集学校で情報の歴史を読むイシスフェスタSPが開催された。16回目を迎えたイシスフェスタに登壇したのは、鈴木寛 […]
あれ・れご・ごり・りあ〜今こそ「アレゴリア」を見直したい【第二回工冊會】レポート
編集学校とは別の編集への入口だ、と2024年末に立ち上がった多読アレゴリアは冬から春へと2シーズンが過ぎた。春シーズンが終わる5月半ばのタイミングで、来し方を振り返り、行く末を想うため、第二回工冊會(こうさつえ)が豪徳 […]
桜の森の満開の下で漫画の妖術師と対談する〜【ISIS Festa Special x 感話集 近藤ようこ氏】
優しいタッチで描かれる花びらと美しい女。満開の桜を思わせるピンクのメインビジュアルの下でISIS FESTA&感話集が開催された。 3月最後の土曜日、イシス編集学校の物語講座の績了式 […]
[遊]物語講座17 綴 ISIS物語アワード受賞者発表ーー【87感門】
ISIS FESTA SP&第 87 回感門之盟 感話集では、17 綴績了式に続いて、ISIS物語アワードの発表へとプログラムが進む。一体、どの文叢の誰の作品が受賞するのか?と、全叢衆の胸が高鳴る時間だ。物語アワードは複 […]
42[花]放伝式・方法を如何につかふ?ーー花伝選書授与【86感門】
花伝選書とは、花伝所で2期以上指導陣をつとめた者に贈られる書だ。今期は、花伝所を統括し束ねたふたりの花目付と、花伝道場の宝刀である5名の花伝師範と7名の錬成師範に贈られた。 ◆花目付 林 朝恵 […]
コメント
1~3件/3件
2025-08-16
飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。
2025-08-14
戦争を語るのはたしかにムズイ。LEGEND50の作家では、水木しげる、松本零士、かわぐちかいじ、安彦良和などが戦争をガッツリ語った作品を描いていた。
しかしマンガならではのやり方で、意外な角度から戦争を語った作品がある。
いしいひさいち『鏡の国の戦争』
戦争マンガの最極北にして最高峰。しかもそれがギャグマンガなのである。いしいひさいち恐るべし。
2025-08-12
超大型巨人に変態したり、背中に千夜をしょってみたり、菩薩になってアルカイックスマイルを決めてみたり。
たくさんのあなたが一千万の涼風になって吹きわたる。お釈迦さまやプラトンや、世阿弥たちと肩組みながら。