鳥は美味しいリンゴを知っている。リンゴに鳥が突っついた穴がある。よってこのリンゴは美味しい。
──「これは美味しいから」といただいた農家さんからのオマケ。切れば甘味成分ソルビトールが沁みていた。覗いてみたくなる世界は尽きない。
なんだか騒がしい一週間だ。深谷もと佳が小倉加奈子に応じれば、松岡正剛が深谷もと佳に応える。田中晶子が速報を届ければ林朝恵が騒ぎ、梅澤奈央がニュースにする。遊刊エディストと千夜千冊をめぐる事件にざわざわが止まらない。吉村堅樹と穂積晴明も間髪入れずオツ千する。
事件となったのは1787夜。なんでも速く、安全で、コスパが良く、わかりやすいのが良いとされる風潮に疑問を感じている人には「ネガティブ・ケイパビリティ」が効く。とはいえ「遅ればせ」を狙っていたわけではないが、密かに温めていた”あの日”の一幕を1787夜に連なって10shotで解禁します。
◇◇◇
2021年1月。この日は校長松岡正剛の誕生日の翌日だった。かねてから計画があがっていた「校長の髪を切る」というプロジェクトのために、深谷もと佳は車を飛ばし、小田原から豪徳寺・本楼に駆けつけた。
この日は本楼の主人が客となり、モトカが美容師としてもてなす。「短くしなくてもいいから梳いてほしい」やんわりとした客人のオーダーからイメージを組み立てていく。
シャンプー台のない本楼ではドライシャンプーと霧吹きで手際よく髪を濡らしながら、アタマの情報をあつめる。
「難しい髪の生え方をしているかと思っていましたが安心しました」本番前にイメージメントを重ねて臨むも想定外にカットしやすい髪だという。
カメラマンにとってもヘアカットの撮影は初めてである。こちらは想像以上に早い手捌きにシャッターが追いつかず写真がブレまくる。
24歳で美容師になってからもずっと小田原を拠点に活動を続けているモトカ。その仕事ぶりを一目見にスタッフがギャラリーとなって集まり静かに見守る。
「松岡さんの場合は・・」バランスと奥行き、頭のカタチ、雰囲気などのModelを掴み、モトカは「スマートな感じにしたい」と見立て、イメージに向かって彫塑していく。
「眉毛も切っておいてください」スタッフからもオーダーが入る。日本製のシザー。動きは見とれるほど美しい。
モトカのアトリエのオリジナルケープ。プリーツがカラダに沿って柔らかい曲線を描く。「天使みたい」とギャラリーからも好評。
ワックスで仕上げ、きめていく。最後にスタイリングの技を指南。スタッフも熱心に耳を傾ける。
「素晴らしいね」眼鏡をかけ鏡を見つめると思わず笑みが溢れる。爽やかに若々しい印象。
さて、美容師モトカの編集プロセスは素人が見ているだけではわからないが、「短くしなくてもいいから梳いてほしい」という客人松岡のオーダーから、スマートで若々しいカットに着地。明らかにいつもと何かが違い、何が違うかわからないがかっこいい仕上がりであった。
週刊花目付#23によるとシザーを新調したらしい。新しいシザーはまた本楼でお目見えとなるのか。続報を待ちたい。
協力:林朝恵
後藤由加里
編集的先達:石内都
NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!
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