「子どもにこそ編集を!」
イシス編集学校の宿願をともにする編集かあさん(たまにとうさん)たちが、
「編集×子ども」「編集×子育て」を我が子を間近にした視点から語る。
子ども編集ワークの蔵出しから、子育てお悩みQ&Aまで。
子供たちの遊びを、海よりも広い心で受け止める方法の奮闘記。
小1の息子が「コマネチ!」と言い放った。聞けば、妖怪ウォッチのジバニャンがやっているという。息子はビートたけしの往年のギャグを知らない。オリジナルの「コマネチ」を知らないまま、ネコ妖怪をまねている。これは編集かあさんとして見過ごせない。子どもと編集の逢着を感じたからだ。
誕生した背景を語らずとも「コマネチ」が子ども心を掴んだのは、あの動作と台詞に「型」があるからにほかならない。
解体してみると、まず最初にたけしが器械体操のコマネチ選手を股のレオタードの線だけで表現した「略図的原型」がある。換言すれば、レオタードの境界線に「コマネチらしさ」を集約させるという「らしさ」の型となっている。セクシャルな関心が喚起されるところにその集約のポイントを持ってくる大胆な要約編集だ。「赤信号みんなで渡れば怖くない」というギャグもあった。みんながやっていたら、悪事もやってしまいそうという「日本人らしさ」の要約だ。ひた隠しにされている大衆心理を笑いに変える(=編集する)のはたけしの真骨頂だ。
そうした大胆な要約編集の上に、大げさな動作と「コマネチ!」の絶叫が重ねられ、編集の方向性は「精緻なものまね」から「強烈なデフォルメを施されたギャグ」へとシフトした。レオタード姿のコマネチ選手は「たけしがやってるアレ」になった。1980年代の子どもたちがまねしたのは、この「型」なのだ。
時代が下り、現在、ネコ妖怪が演じることで意味はさらに転じる。もはや「コマネチ」という言葉はほとんどオノマトペ(擬音語)に近い感覚で発声されている。
「なんだか面白そう」と感じるのに意味はいらない。意味の前に「型」を受けとるからだ。
「型」が子どもを動かすスピードはすごい。「わかる」とか「わからない」とか、いちいち言わせない力を持っている。それだけに、感情が後から追いつくこともあるようだ。息子が「面白いけど、恥ずかしいから教室ではやらない」と呟いたのは、ひとしきり「コマネチ!」を嗜んでからのことだった。
吉野陽子
編集的先達:今井むつみ。編集学校4期入門以来、ORIBE編集学校や奈良プロジェクトなど、18年イシスに携わりつづける。野嶋師範とならぶ編集的図解の女王。子ども俳句にいまは夢中。
子ども編集学校は動きだすか? 半年やってわかってきたこと【子どもフィールド最新情報】
親子から大人まで、全世代が参加できるイシス子どもフィールド。実験広場として4月にプレ・オープンし、半年が経ちました。親子で編集体験したい人、子どもの発想をのぞきたい人、総勢77名が参加中。子ども編集学校への期待の大きさが […]
七夕まつりのニューノーマル誕生?【七夕エディッツの会レポート】
七夕の願いごと、今年は何を書きましたか? イシス子どもフィールドでは、7月4日(日)にオンライン七夕まつり「七夕エディッツの会」を開催しました。 北海道から沖縄まで、小学生から大人まで、11組が集合。 各地の七夕行事を交 […]
【このエディションフェアがすごい!18】ジュンク堂書店 三宮店(神戸市)
「このエディションフェアがすごい!」シリーズ、第18弾は兵庫県神戸市のジュンク堂書店三宮店。ライターはイシス編集学校師範であり、イシス子ども支局メンバーの吉野陽子さんです。フェアは8月31日まで。 ◇◇◇ […]
おやこ編集ワークの「べからず3選」公開!4/3(土)開催【ツアー@おやこ】
小さなお子さんと親子で編集体験ができるおやこ編集ワーク。回を重ねるごとに参加親子が増加中です。次回開催は4月3日、ISISフェスタオンラインツアーに決定しました! 開催に先駆けて、おやこ編集のナビより、お父 […]
木村月匠からバトンを受け取りました吉野です。入門は2001年9月。9・11の直後に開講した4期守で、「言葉と意味はつねに不即不離をするものだ」という原則を学ぶ日々をスタートさせました。 それまで私は言葉と意味を一対一の関 […]