ナビゲーターの山根尚子師範の本職はヨガインストラクター。すらりとした体躯から発せられる言葉はしなやかでゆるぎない。タイトルは「なにわ伝法・見立てて遊ぼう」。定員いっぱいの13名、一人も遅刻無し。炎暑の8月11日午後2時、エディットツアー大阪が始まった。
「脳にイタ気持ちいいキックを受けるのがやみつきになって、編集稽古を続けている」と山根師範。イントロからワクワクとドキドキが高まる。
まずは自己紹介ワーク「お菓子なわたし」でリラックス。すかさず核心に入る。編集とは何か。これぞ、なにわ流の伝法だ。松岡正剛校長の『知の編集術』(松岡正剛、講談社)の一節を声に出して順番に読む。
「では、どのように編集されているかというと、これがなかなか取り出せません」。「取り出した方法をさまざまな場面や局面にいかすようにしてみようというのが『編集術』になります」。「情報をそのような「知」にしていくことが編集なのです」。
インプットとアウトプットの間にある「編集」というプロセスは普段、ブラックボックスになっている。編集学校では、それを見える化して、自在に使う方法を学ぶ。情報を集める。関係づける。構造化する。演出する。[守]の4ステップを冷麺づくりのアナロジーで説明する。編集工学が一気に参加者の身近に降りてきた。
「らしさと地と図」のレクチャーのあと、再びグループに別れて、情報の地を動かすエクササイズ。たこ焼きをスポーツという「地」に置いてみるとビーチバレー。「確かにどちらもアツアツの上を転がりますね」。ロシアンルーレットを地にすれば、ゲーム。ヒバリなら鳥。木星は宇宙。山根師範は、参加者の回答と振り返りコメントから一つ一つ方法を取り出していく。不思議とたこ焼きの「らしさ」が浮かび上がっていく。
次に「見立てて遊ぼう」。お題「〇〇を△△に見立ててマチナカ海水浴をする」は特に人気が高かった。「海水浴のイメージを泳ぐことにとらわれず、広げてみましょう」というヒントに誘われて、「おなかまわりの脂肪を浮き輪に見立てて」「駅のベンチで寝ている人をビーチで日焼けしている人に見立てて」など傑作が連打される。
破顔一笑から間髪いれず、まっすぐな眼差しで「そう、見立て遊びって身一つで楽しめるんです。何より人に優しくなれる方法でもあるんですね」。プログラム前半の要訣が引き出されたところで、ちょうど休憩時間となった。
松井 路代
編集的先達:中島敦。2007年生の長男と独自のホームエデュケーション。オペラ好きの夫、小学生の娘と奈良在住の主婦。離では典離、物語講座では冠綴賞というイシスの二冠王。野望は子ども編集学校と小説家デビュー。
編集かあさんvol.47 秋の実りの「いない いない ばあ」
「子どもにこそ編集を!」 イシス編集学校の宿願をともにする編集かあさん(たまにとうさん)たちが、 「編集×子ども」「編集×子育て」を我が子を間近にした視点から語る。 子ども編集ワークの蔵出しから、子育てお悩みQ&Aまで。 […]
編集かあさん家では、松岡正剛千夜千冊エディションの新刊を、大人と子どもで「読前」している。 読前読書 どんなにむずかしい本でも、読前読書は一緒にできる。そう思って、子どもと表紙読書を続けているのだけれど […]
【Archive】編集かあさんコレクション「月日星々」2023/9/7更新
「編集×子ども」「編集×子育て」を我が子を間近にした視点から語る、編集かあさんシリーズ。 庭で、街で、部屋で、本棚の前で、 子供たちの遊びを、海よりも広い心で受け止める方法の奮闘記。 2023年9月7日更新 【Archi […]
「子どもにこそ編集を!」 イシス編集学校の宿願をともにする編集かあさん(たまにとうさん)たちが、 「編集×子ども」「編集×子育て」を我が子を間近にした視点から語る。 子ども編集ワークの蔵出しから、子育てお悩みQ&Aまで。 […]
【青林工藝舎×多読ジム】副賞・片々賞「黄昏ニッポンのガールズトーク」(松井路代)
多読ジム出版社コラボ企画第五弾は青林工藝舎! お題本は、メディア芸術祭優秀賞受賞の傑作漫画『夕暮れへ』。アワードの評者は『夕暮れへ』の著者・齋藤なずなさんだ。エントリー作品すべてに講評がつき、多読ジムSeason14・春 […]