近所の池のオタマジャクシに足が生えてきた。わずか2カ月ほどでえら呼吸から肺呼吸へ、水中から陸上へ。カエルに変態する様はいつ見ても不思議だが、イシス編集学校にもたった2カ月で大変化を巻き起こす場がある。師範代養成コース、花伝所だ。校長・松岡正剛はかつて「ぼくが作った機関のうち、一番の誇りにしている」と言った。
39[花]の入伝式、ついこの前まで学衆と呼ばれる学び手側だった入伝生の中には、花伝所に飛び込んだものの本当に師範代になれるのか不安を抱える者もいただろう。だが今期から花目付のロールに着替えた中村麻人は、マイクを手にするや入伝生たちに大きなターゲットを示した。
みなさんを師範代にすることに責任を持ちたい。なぜなら、師範代になる・ならないで止まっている場合ではないからです。吉村林頭が5年で編集を日本のインフラにと言うなら、みなさんは師範代のその先、編集道をこそを見せていってほしい。
花伝所での稽古は2カ月の短期集中型。今期は24名の入伝生に対して15名の指導陣がつく。単純計算で2人に1人以上の指導陣の割り当てだ。イシス編集学校の講座は数あれど、これほど手厚い講座はない。
ただし中村花目付は、変わることの苦しさも隠さない。
師範代になる道のりにはしんどい場面もあるでしょう。もやもやしたものを抱えたり、なにくそという思いが生まれたり、場に言葉が返せないということも出てくるかもしれない。もがき苦しみながら師範代になっていく人もいる。花伝所の稽古は多様で楽しいものだが、変化するということはそれくらい生々しいものでもある。
さらに熱を込めてこう続けた。
だからこそ、「場」の型を意識して、なにがなんでも場に出てきて対話をしてほしい。そうすれば師範代になれる。それほどの型を「式目」というかたちで用意している。
大学生で師範代となり、松岡校長に「きっと次代のスターになるだろう」と名指しされたiGEN7人衆でもある中村花目付。編集工学に魅せられ、編集の「道」を邁進してきたその語り口は終始落ち着いていながら、型への確信、式目への自信が言葉の端々に滲み出ている。
師範代になるプロセスは、個人編集ではなく相互編集で進めていくもの。みなさんが師範代になっていくために、指導陣も踏み込んでいく。リスクをとって対話をしていく。一座建立でこれからの稽古を進めていきましょう。
最後は指導陣もリスクをとり、引き受ける覚悟を示す四文字が並んだ。中村花目付の意気込みを、入伝生たちはどう受け取ったのだろうか。
オタマジャクシからカエルへ、学衆から師範代へ。「なりかわる」ための花伝式目演習はすでにはじまっている。
花目付のTシャツには「稽古条々」の文字
アイキャッチ:後藤由加里
福井千裕
編集的先達:石牟礼道子。遠投クラス一で女子にも告白されたボーイッシュな少女は、ハーレーに跨り野鍛冶に熱中する一途で涙もろくアツい師範代に成長した。日夜、泥にまみれながら未就学児の発達支援とオーガニックカフェ調理のダブルワークと子育てに奔走中。モットーは、仕事ではなくて志事をする。
ついに田中優子師範代の教室名発表!―55[守]新教室名【86感門】
2000年の開校以来、生まれた教室名は1000以上。どれひとつ同じ教室名はない。これほど多様な教室名のある学校が他にあるだろうか。 3月15日に行われた第86回感門之盟の冠界式、5月に開講する第55期[守] […]
【参加者募集】常識破りのお茶×読書×編集体験!3/22(土) 「本楼共茶会」ほうじ茶篇を開催します
3月22日(土)、松岡正剛プロデュースのブックサロンスペース「本楼」にて、お茶×読書×編集で参加者のみなさまを意外な世界へお連れする「本楼共茶会」(ほんろうともちゃかい)を開催します。4度目となる今回は「ほうじ茶」を入口 […]
「生まれて初めてこんなに○○を覗いたかも」開店前の大型書店で本を選んだその果てに【ほんのれんイベントレポ】
闇夜の動物たちに出会えるナイトサファリ、温泉宿の誰もいない朝の大浴場、しーんと静まりかえった夏休みの教室。ちょっと時間をずらしてみると、いつもの場所に思わぬ別世界が広がっていたりしますよね。じゃあ、開店前の大型書店に潜入 […]
◎3/3(月)スタート◎シーズン2は《編集術の奥義》につながる千夜が登場!【多読アレゴリア:千夜千冊パラダイス】
2024年12月にスタートした、イシス編集学校のまったく新しいオンラインクラブ【多読アレゴリア】もシーズン1が終わり、3月からはシーズン2へ。多種多様な全14クラブがひしめくなか、イシス編集学校校長 松岡正剛の作品をクラ […]
「わたし、迷っています。」田中優子学長、セイゴオ誕生日に驚きの告白
1月25日は松岡正剛校長の誕生日。校長の思い出話がイシス中で飛び交うなか、世田谷豪徳寺の本楼では42[花]敢談儀が行われた。昨年10月に師範代養成コース花伝所に飛び込んだ「入伝生」が8週間の演習を了えて「放伝生」となり、 […]