日本に絵巻かれた本楼共茶会

2024/07/21(日)16:30
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約2万冊の本にぐるりと囲まれたブックサロンスペース「本楼」は、イシス編集学校経験者にとって魅惑の秘密基地である。イシス未経験者にとっては不穏な未知基地だろう。何かいいことがありそうな一粒万倍日の7月20日、イシスを良く知る者は、何も知らない者と共に、世界一大きな躙り口から入り、はじめての本楼共茶会(ほんろうともちゃかい)が開かれた。

 

◇◇◇

■共茶会シャッターチャンス!

マーキングアドバイスから水屋までを任されていたのは、亭主の八田律師が頼りにするイシス編集学校の師範と師範代。それぞれの飛び切りシーンを紹介する。

 

◎丸洋子 師範代

▲参加者がトポスを見つけてマーキング読書に浸っている本楼。かすかに音楽が流れるだけの静謐なひとときは、一人ひとりを取り囲む本の宇宙が幾重にも広がっているような、濃密で格別な空間となっていました。

 

◎福井千裕 師範代

▲ある参加者の本を覗くと、ちいさな鳥さんにマーキングが♡きけば鳥が好きということで、ご自身の好きなものフィルターがあらわれた愛らしいマーキングでした。再読するときも、ページを捲ってこのマーキングが目に入るだけでぐっと気持ちがあがりそうですね。

 

◎斎藤幸三 師範

▲二人一組になり、どんなフィルターを使ってマーキングしたかを伝え合う。リアルだからこそ、「五感」を通して動く5つのカメラ。相互編集でそれぞれのイメージをまとめ、聴く、伝わる喜びが本楼に溢れていました。

 

◎八田英子 律師

▲見よ!このういういしい人生初マーキングを。松岡校長と同じVコーンペンではじめて創(きず)をつけた体験は、これからの読書人生を大きく変えるだろう。

 

 

■本楼共茶会を名づけてみたら?

全員がはじめて体験した本楼共茶会。主客連客のみなさんにはどう映ったのか。イシス編集学校恒例の「ふりかえり」をしつつ、ひとりひとりが本楼共茶会に名前をつけてみた。

 

・知の森の散歩術体験(H.K.さん)

とんでもなく暑い屋外から本楼に入ると、ひんやりとして森のようでした。なかに入って圧倒されるのも森に似ていて、知の森を散歩した気分です。

 

・二次元から三次元へのアップデート(S.M.さん)

読書というと一方的に情報をもらうイメージでしたが、マーキングをしながら本と対話をすることで本と自分の関係がガラッと変わった体験でした。

 

・イマーシブドクショ/全浸読書(T.S.さん)

本に浸るというだけじゃなく、お茶もあり、松岡さんの書もあり、音楽も流れ、目も耳も口も五感たっぷりにこの空間すべてに浸ってしまいました。

 

・FUN FAN 本楼 ~うかんで ひろって ほりだして~(R.N.さん)

はじめての本楼は楽しいし、ファンになったのでFUN・FAN。自分がたくさんの本のなかに浮かんでいて、そこから好きな本を拾って、掘り出していくような感覚も味わえました。

 

・本に溶け込む時間(T.I.さん)

小学生のころは時間を忘れて本に没頭していたのに、中学・高校になると友達と遊んだり部活をやったりして本から離れてしまいました。こんなにゆっくり本を読む時間はひさびさ。やっぱり本はいいなと思いました。

 

・日本に絵巻かれる(E.K.さん)

日本に関するたくさんの本に囲まれて、日本のあらゆる歴史の中にいる感覚になりました。まるで絵巻物のなかにいるよう。絵巻物に続きがあるように、この体験も今日で終わらずまだまだ続いていきそうな気がします。

 

・13の無言劇(S.K.さん)

それぞれ好きな場所を選んで本を読んでいるとき、ふと顔をあげると自分を含めて13人の参加者がじっと本に向かっている光景が目に飛び込んできました。13人の無言劇のようでした。

 

 ・どこもスター(R.I.さん)

ふだんは暗い話題や嫌なこともいっぱいあり、見ないふりをして生きていますが、今日は本楼で松岡校長の頭の中に入れてもらい、いつも避けていることも本を通してなら向き合える感じがしました。校長が読んでいる本だと聞くとなおさら読める気がして、どこもキラキラと光っているように見えました。

 

・目から鱗の異空間体験ツアー(J.O.さん)

ふだんあまり本を読んでいない自分なので、本の読み方、本との接し方、すべてが目から鱗でした。あらたな旅をしている感じでツアーという言葉がぴったりだと思いました。

 

・新鮮な読書体験(J.S.さん)

何も知らない状態で連れてこられたのですが、読んだ後に人と感想を言い合うのがおもしろかったです。ふだん大学院で生物を学んでいるので、一緒に話した方が芸術系の本について話をしてくださったのもとても新鮮でした。

 

・マサルとセイゴオの面影を辿る(Y.T.さん)

本楼で選んだ1冊も、家から持ってきた本も佐藤優さん関連でした。本楼イベントにゲストで来られた優さんがいつも大量にメモをとる姿を思い出し、ここにある本には校長がマーキングした跡があり、校長がいつも使っている椅子もあり、今日はおふたりとも不在ですがその面影が感じられました。

 

・リアル書籍と恋に落ちる(Y.N.さん)

最近、家で本を置く場所もなくなってきて、電子書籍に置き換えたいと思っていました。本物の本と触れ合う機会が減っているなか、子どもの頃は本が好きだったなと、本への恋心を思い出しました。

 

・2時間の読書対局(Nさん)

時間制限の中で本と向き合い、感想を言い合っていく。これは何かに似ているなと思ったら将棋の対局が思い浮かびました。

 

知の森の散歩や、三次元、イマーシブ、ほりだす、絵巻かれるなど、いずれも読書が身体ごとの経験へと変容していったプロセスを、生き生きとした編集でみごとに表現していますね。

 

齋藤

本楼に来た、本を選んだ、マーキング読書を体験した。たくさんのインプットを要約して伝える時、フィルター、見立て、掛詞など、多様な編集術を駆使しておられました。みなさん、本当に編集達者ですね。

 

福井

本と戯れていた子ども時代のこと、本への恋心を思い出したという方がいらっしゃいました。読書というと難解とか高尚というイメージがあるかもしれませんが、懐かしさや恋しさに出会っていただけたのは嬉しいですね。これぞ編集力の源泉!

 

豪徳寺の招猫を型取った和三盆とキラキラスター

 

◎八田

読書は、本と私だけで成立している、わけではない。何光年前の星の光が今届いているように、遠くから届くメッセージであり、著者との対話であり、同じ場所にいる存在を全身で感じる体験である。双方向にスコアを交わし、イメージを拡げる。日本に関する松岡校長の蔵書2万冊に囲まれて、静かにダイナミックな編集体験でした。

 

◇◇◇

 

一座建立の本楼でハレを感じたあと、外は激しい雨と雷で光っていた。

 

 


■次の本楼共茶会は9月に開催します!

 

■日時:2024年9月21日(土)14:00-16:00
■費用:一人 1,000円(税抜)
    ※二人以上でお申込み可能です

■会場:編集工学研究所「本楼」(世田谷区赤堤)
■対象:イシス経験者の方は、未入門の方とご参加ください
    未入門の方は、イシス経験者とご参加ください
   ※ご一緒する方のお名前を「お問い合わせ欄」にご記入ください

■内容:マーキング読書体験、編集稽古体験をしていただけます
■持物:新書もしくは文庫を“一人一冊”お持ちください
■案内:イシス編集学校 律師 八田英子
■申込締切:9月19日(木)24:00

□お問合せ:front_es@eel.co.jp

 

▶︎▶︎▶︎参加お申し込みはこちらから◀︎◀︎◀︎

  • 八田英子

    編集工学を世界に広めるために編集工学研究所に入所した元SE。不適な笑みを湛えながら、問答無用でばさばさと人を斬りまくる。編集的先達は沢田研二。

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