空中戦で捉えた獲物(下)をメス(中)にプレゼントし、前脚二本だけで三匹分の重量を支えながら契りを交わすオドリバエのオス(上)。
豊かさをもたらす贈りものの母型は、私欲を満たすための釣り餌に少し似ている。

本をきっかけに、問いを深める。ゆるくカジュアルに、世界知と遊ぶ。
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2024年4月のテーマは、「大人」ってなんだ?
今回のエピソードでは、どうしてこのテーマを選んだのかという理由や、5冊の「大人本」を選ぶにあたったプロセスをお話ししています。5冊を選ぶために、シソーラスを広げ、50冊もの候補本を並べたほんのれん編集部。すると、自分が抱いていたこれまでの「大人観」が崩れてきたとか…
2024年4月の「ほんのれん」Editor’s Note
「大人」を問うむずかしさ
春、フレッシュな新入社員を見ると、かつての自分がよみがえる。緊張の中に「いよいよ大人の仲間入り」という誇らしさがあった。
あれから15年。いまの自分は、当時イメージしていた「大人」とは、だいぶ違う気がする。そもそも大人ってなんだ? 考えても、簡単には答えがでない。この答えづらさの原因はどこにある?
現代は成熟困難な時代と言われている。昔はどの地域にも、若者が大人になるための通過儀礼(イニシエーション)があった。儀礼を終えること=大人になることで、明確に「ここから大人」の境があった。
生き方が多様になり、通過儀礼を失った現代では、共通する「大人像」が持ちにくい。大人を取り戻すには、想像力を働かせ、自らが心惹かれる大人のかたちを模索していくほかないのかもしれない。
「大人ってなんだ? 」を問うことは、「憧れ」を問い続けていくことでもあるはずだ。旬感本の向こうに、その姿が、浮かび上がってくるかもしれない。
(編集長・仁禮洋子)
▼旬感ノートより
▼紹介したゲスト本
『大人になることの難しさ』河合隼雄 (著), 河合俊雄 (編集) 岩波書店 2014
『メタファーとしての発酵』Sandor Ellix Katz (著), ドミニク・チェン (監修), 水原文 (翻訳) オライリージャパン 2021
『生と再生─イニシェーションの宗教的意義』ミルチャ・エリアーデ (著)堀一郎(訳)東京大学出版会 1995
▼ほんのれん編集部による連想マップは公式X(Twitter)からご覧になれます。
\ 耳より情報 /
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「大人も学び続けろ」プレッシャーがしんどい。10冊の本で考える、子どものように学びを楽しむ5つの方法
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ほんのれん編集部
編集工学研究所×丸善雄松堂が提供する一畳ライブラリー「ほんのれん」の選書やメディア制作を手掛けるメンバー。関西弁で跳ねるデザイン知カンガルー・仁禮洋子(ニレヨーコ)、小鳥の風貌ながら知的猛禽類な山本春奈(はるにゃ)、昭和レトロを愛する果敢なコンパイル亀・尾島可奈子(おじー)、2倍速で情報収集する雑読チーター・梅澤奈央(ウメコ)ほか。ほんのれんラジオは毎週水曜更新中。ほんのれん編集部公式noteにこれまでのアーカイブを蓄積してます。https://note.com/honnoren/
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コメント
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2025-09-09
空中戦で捉えた獲物(下)をメス(中)にプレゼントし、前脚二本だけで三匹分の重量を支えながら契りを交わすオドリバエのオス(上)。
豊かさをもたらす贈りものの母型は、私欲を満たすための釣り餌に少し似ている。
2025-09-04
「どろろ」や「リボンの騎士」など、ジェンダーを越境するテーマを好んで描いてきた手塚治虫が、ド直球で挑んだのが「MW(ムウ)」という作品。妖艶な美青年が悪逆の限りを尽くすピカレスクロマン。このときの手塚先生は完全にどうかしていて、リミッターの外れたどす黒い展開に、こちらの頭もクラクラしてきます。
2025-09-02
百合の葉にぬらぬらした不審物がくっついていたら見過ごすべからず。
ヒトが繋げた植物のその先を、人知れずこっそり繋げ足している小さな命。その正体は、自らの排泄物を背負って育つユリクビナガハムシの幼虫です。