桂師範は突破式の玄々書授与の出で立ちから早替わり。真っ赤なジャケットにFRAGILEと刻まれた黒ネクタイが光る。花鳥更紗紋様の衣装に包まれた浦澤師範は、広島から5年ぶりの感門之盟参加である。
2020年から2024年は、コロナによるパンデミックのために編集学校でも教室仲間で集う汁講や稽古修了を祝う感門之盟でリアルに集まることが叶わない日々が続いた。その渦中で松岡校長は新たな方法の模索を呼び掛けた。
「止まっている今こそ新しいものを生み出せ」
「沈んでいるときこそやろうというのが編集だ」
その結果、映像やハイテク機材に明るい黒膜衆が結束し、メディアの力を底上げしたハイブリットな感門之盟を実現させるなど編集の場の新たな可能性を広げていった。その上で、本来いつも「そこにいること」を重視してきた校長は、ここ数年リアルに会えない不足を抱えてきたからこそ、編集学校25周年を機に「この場所に居合わせること」を願い「番期同門祭」を設えたのだった。
期せずして校長の不在で迎えた大感門の場につどい、この空気をともにした人たちと共有したい想いを、二人は緩急自在に引き出し、問い掛けていく。
「この瞬間の裂け目で新たなお題をいただきましたね」
「コロナ禍のころ、松岡校長は“心のマスクをはずしなさい”と時代に即したメタファーで私たちにメッセージを発信していました。では、松岡校長の不在をどう引き受けていくか」
(三匠鼎談)
「“大きな仕事は必ず反復していく”ということ。これから25年先、100年先を見据えていけば、今は新たな一年目で、一人ひとりが松岡正剛の“パウロ”になって反復する使命を背負っているのだという気づきがありました」
「“面影はリアルよりも私達を鼓舞する”というメッセージを聴き、松岡校長の面影を背に校長がびっくりするようなことをしてみたいと思いました」
(大澤真幸・ラストメッセージ)
有言実行。
外部からの視聴参加可能なイベントに刷新される指導陣勉強会「伝習座」で、桂は左大臣、浦澤も五人囃子の一員として参加の予定だ。イシス編集学校のこれからを担いアクティブに駆け続ける二人にいっそうの期待がかかる。
※イシス編集学校ネオバロック化の口火を切る伝習座(9月28日開催)の申込みはこちら
細田陽子
編集的先達:上橋菜穂子。綿密なプランニングで[守]師範代として学衆を全員卒門に導いた元地方公務員。[離]学衆、[破]師範代、多読ジム読衆と歩み続け、今は念願の物語講座と絵本の自主製作に遊ぶ。ならぬ鐘のその先へ編集道の旅はまだまだ続く。
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