2000年の開校以来、生まれた教室名は1000以上。どれひとつ同じ教室名はない。これほど多様な教室名のある学校が他にあるだろうか。
3月15日に行われた第86回感門之盟の冠界式、5月に開講する第55期[守]基本コースに登板する新師範代18名の教室名が発表された。18名のなかにはあの田中優子師範代の姿も。緊張した面持ちで舞台に立つ新師範代たちの胸の鼓動を想像しながら、生まれたてほやほやの教室名をご覧あれ!
「ラストは田中優子師範代です」コーナーの進行をつとめる古谷奈々師範の言葉に、本楼がどよめいた。花伝敢談儀での「わたし、迷っています」発言のあとすぐに師範代登板を決意し、優子先生でも優子学長でもなく「優子師範代」にロールを着替えての登場だ。本棚劇場にあがった優子師範代は意外なことをつぶやいた。「生涯で一番緊張しています。」またしても本楼がざわつく。そしてドラムロールがわりに生演奏で盛り上げるべく登場したフラメンコギタリストの西宮牧人師範代の演奏のあと、モニターに教室名が映し出された。
教室名を聞いて優子師範代の表情が緩む。「江戸時代の素晴らしい作家で狂名が酒上不埒という人がいるんですよ。私はこの名前が大好きで、私も酒飲みなのでちょうどいいなと。夕魚は私の俳号です。大好きな名前を両方使ってもらって嬉しい。」喜ぶ優子師範代だったが、すぐに「でも…」と続けた。ひとつ前に登壇した藤井師範代が、発表された教室名のことを雄弁に語るや「いま言ったことは全部捨ててください。自分が考えたことじゃなくゼロからコンパイルして新しい教室を組み立ててくださいね」と角山師範から愛のムチを受けていたことが頭をよぎったようだ。「嬉しいけれど、さっき角山師範がおっしゃったように、全部捨てます。」どっと笑いが起こり、前代未聞の学長&師範代のデュアルロールで[守]の海へと漕ぎ出す優子師範代の船出に大きな拍手が送られた。
■師範代代表メッセージ「つぎつぎと、今まで知らなかった自分に出会える」
最後に18名の新師範代を代表して、加藤万季師範代がマイクを持った。普段はデザイナーで絵描きでもある加藤師範代は、絵のことで悩んでいたときに方法的なヒントを求めてイシス編集学校に入門したという。基本コース[守]の稽古がはじまって加藤さんを待っていたのは、教室の師範代から指南で手渡された意外な言葉だった。そして自身もお題に回答する際、それまで一度も考えたことのないメタファーを思いついたりもした。「自分でも知らないわたしを引き出された気がして、その経験が宝物に思えたんです。宝物を抱えたまま、もっともっとという気持ちで[破]に進み[花伝所]にも進みました。つぎつぎと、今まで知らなかった自分に出会えることが私にとってイシス編集学校の一番の魅力です」
知らなかった自分に出会い、思いもよらない可能性が引き出されていくことの愉しさを知った師範代たち。その実感があるからこそ、師範代は学衆の秘めた可能性を引き出そうと夢中になる。そんなふうに大の大人が夢中になる教室が愉しくないわけがないのだが、この続きはぜひ55[守]に飛び込んで、それぞれの教室で「方法の冒険」の愉快を味わってほしい。
第55期[守]基本コース
【受講期間】 2025年5月12日(月)~2025年8月24日(日)
【定員】 200名
【受講資格】 どなたでも
【申込〆切】 2025年4月27日(日)
▼コースの概要・お申し込みはこちらから
福井千裕
編集的先達:石牟礼道子。遠投クラス一で女子にも告白されたボーイッシュな少女は、ハーレーに跨り野鍛冶に熱中する一途で涙もろくアツい師範代に成長した。日夜、泥にまみれながら未就学児の発達支援とオーガニックカフェ調理のダブルワークと子育てに奔走中。モットーは、仕事ではなくて志事をする。
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