鳥は美味しいリンゴを知っている。リンゴに鳥が突っついた穴がある。よってこのリンゴは美味しい。
──「これは美味しいから」といただいた農家さんからのオマケ。切れば甘味成分ソルビトールが沁みていた。覗いてみたくなる世界は尽きない。
遊刊エディストの新春放談2025をお届けします。
昨年は、松岡正剛校長の一周忌を超えて、田中優子学長の師範代登板にイシス書籍の出版、そして松岡校長不在のなかの[離]開講、創守座、突破講・破天講といった師範主導の研鑽、[多読アレゴリア]一周年に別典祭、ISIS co-missionの登壇など新しい試みが連打され、定着していった一年となりました。2026年はどんな編集の風が吹くでしょうか?
遊刊エディストは創刊6周年を超えました。イシス編集学校の旬を伝えるメディアとして、ご愛読いただいている読者の皆様には感謝しつくせぬ思いです。2026年は新たな企画や展開を実践しつつ、日常の編集に彩りと学びを与えるメディアへ、皆さんとともに育てていければ幸いです。
2025年のスタートは今年も、編集部メンバー、そしてゲストたちとの放談でお楽しみください。
◎遊刊エディスト編集部◎
吉村堅樹 林頭, 金宗代 代将, 後藤由加里 師範, 上杉公志 師範代, 松原朋子 師範代
吉村 新年あけましておめでとうございます。さっそくなんですが、新年ということで年賀状の話からしましょうか。いつも編集工学研究所、イシス編集学校の年賀状は、言葉を僕がつくって、デザイナーの穂積晴明くんに伝える。穂積くんがその無理難題をどうデザインするか、というやり取りをしています。昨年は干支が蛇だったのと、校長が亡くなったということもあって、賑やかなものではなく、蛇をしめ縄にしてほしいとオーダーしました。
2025新春放談 其の壱 – 今年、エディストは“松岡正剛の再編集”へ向かう
松原 昨年は松岡校長が亡くなられたという忘れられない年になりましたが、それでも年賀状は出そう、という判断があったのですよね。
吉村 やはりみなさんに会社や学校としてご挨拶はしたいということがありました。今回、2026年は「馬」年ということで、エドワード・マイブリッジの連続写真みたいにできないかな、とオーダーしたんですね。言葉は最初、「春駒(はるこま)」を使って、漢詩を考えたんです。「春駒遊本風 神馬駆別世」(春駒、本風に遊び 神馬、別世を駆る)。新春の季語でもあるし、馬の玩具で本でと戯れている感じはどうだろう、とイメージを伝えました。
ところが、穂積くんがそこからひねって、まったく違うものをつくってきた。本から馬が飛び出して、さらに本が降ってくる、というトップ画像のものです。さらに、穂積くんが漢詩も変えてきた。「春駒」ではなくて、「春風、本駒を興す。神馬、別世を駆ける」というように。風が、ドン・キホーテのような馬を起こして、馬が別の世界を駆け抜けていく。本によって、新たな別様の風を起こしますよ、という意味です。田中優子学長の本も出ましたし、今年は僕とISIS co-missionのみなさんとの対談本も出る予定です。[多読アレゴリア]や別典祭もさらに盛り上げていきたいですし、そもそも編集学校は「本とともに学ぶ学校」ですから。
後藤 マイブリッジの話を聞いて、ハッと思い出したんですが、六本木のフジフイルムスクエアでマイブリッジの展示をやっていたんですよね。彼は、走る馬の脚は実際どうなっているのかを知りたくて連続写真を始めているんです。それから絵画に描かれてきた走っている馬の脚の構図が間違っていることが証明されてしまった。「知りたい」という衝動から編集が喚起されるという意味では、マイブリッジがモチーフになっていることはすごく編集的だと思いました。年賀状として、とてもいいですよね。
金 2025年のビッグニュース的なものって、何でしょう。
吉村 振り返ってみると、田中優子学長の活動が際立った一年だったと思います。学長として本当に精力的に動いていただいた。校長に代わって、秋の感門之盟にも1日目、2日目ともに学長講話、学長鼎談もやっていただいた。伝習座や編集宣言でも存在感を示されて、年初から「学長通信」も始まった。YouTube番組「酒上夕書斎」でも、どんな講演でも、必ずイシス編集学校の話をされます。その徹底ぶりが印象的でしたね。
それから、こまつ座の上演に合わせて、井上麻矢さんと三本の対談もありましたし、僕の着物のコーディネートまでしていただいて、学長として前に出続けてくれました。
田中優子学長、吉村堅樹の着物を見立てるの巻 5shot
後藤 その中でも、師範代を務められたことは、とても大きかったんじゃないですか。
吉村 大きかったですね。[花伝所]で村井宏志師範に「あなたの指南は添削です」と言われて、相当な衝撃があったんだと思います。実は、3年ほど前から松岡校長に「田中優子さんに何をしてもらいたいか」と聞かれることがありました。そのときから聞かれるたびに、僕はずっと「田中優子さんには師範代をやってもらいたい」と言いつづけてたんです。その時は校長はそれは難しいんじゃないかという感じだったんですが、2025年は、師範代を本当に引き受けてくださった。
後藤 編集学校の方法に確信を持たれた感じがありましたよね。
吉村 そうなんです。『日本問答』『江戸問答』『昭和問答』を出版された順に読むとよく分かるんですが、『日本問答』のあとがきでは、「早い読書」とか、「早い知的編集」という言葉を使って、学衆目線の言葉で編集学校を語られていました。でも今は、師範代という体験がいかに重要か、ということを、学長自身の言葉で語られるようになっています。
松原 PR timesに掲載するstoryも作りましたね。
知る人ぞ知る”正解”のないオンライン学校「イシス編集学校」の秘密とは。現学長・法政大学元総長の田中優子も驚いたメソッドの裏側
吉村 師範代をやられる直前でしたね。奥本英宏師範の進行で、福地恵理師範代、小林奈緒師範との対談でしたね。いま思えば、このときしかない田中優子の師範代直前対談でしたね。
後藤 いまは何を語られても編集と結びつけられているので我々も見習わねばです。
吉村 師範代を終えられて間もないので、初々しいというか、とにかくフレッシュです。
田中優子学長以外のISIS co-missionのみなさんには、入伝式や伝習座など、6回登壇してもらいました。1月には宇川直宏さんの編集宣言、11月には[花伝所]の入伝式で講義。4月は田中優子学長が学長として初めての伝習座講義、5月は入伝式で大澤真幸さん、7月には佐藤優さんの編集宣言。秋の伝習座には、台湾帰りの今福龍太さんも講義いただきました。その一つひとつに、田中優子学長が関わられたことが、2025年の編集学校の、ひとつのプロフィールになりました。
吉村 2025年は、僕はISIS co-missionのみなさんと対談を重ねてきました。ここから編集になりますが、今年中には出版したいと思っています。
金 コミッション・ミーティングでは限られた時間でしたが、個別に深く話を聞けたのは大きかった。本としてまとめていくのが楽しみです。
吉村 宇川直宏さんの回は、AIの話が中心で、松岡正剛AIを早くつくった方がいいとまで言われていましたが。
金 「A I時代の師範代とは?」みたいなテーマもありましたね。
後藤 田中優子学長と鈴木健さんのYoutubeライブの対談もとても印象的でしたね。
鈴木健×田中優子緊急対談「不確かな時代の方法としての政治~PLURALITYと相互編集~」
吉村 「方法としての政治」というテーマでの対談になりました。編集学校はイデオロギーを主張する学校ではもちろんありませんが、「方法」として社会にコミットする回路は持ちうる。そのきっかけになる対談だったと思います。
金 鈴木健さんは、社会制度をテクノロジーとして捉えていますよね。制度を「方法」として考える発想は、編集学校ではこれまであまりなかったものかもしれない。その視点からたくさん学ぶことはあるし、鈴木さんが取り組んでいるデジタル民主主義にも、編集学校が関われる余地があると感じました。
それから、生命から物事を発想する鈴木さんの考え方は、松岡さんと通じるものがありますね。編集学校では当たり前になっていることかもしれないけれど、世の中では全然浸透していないことなんだなとあらためて感じました。だからこそ、ここは編集学校の強みになりそうですね。
松原 [多読アレゴリア]には、今福龍太さんが濃厚に関わってくださいましたよね。
吉村 群島ククムイには、今福さんから台湾の絵ハガキが届いたり、奥さまの明子さんと本づくりを考えてみたりしたようです。コミッションのみなさんとクラブの関わり方として、ひとつのモデルをつくってくれたと思います。今福さんは伝習座にも登壇いただきましたが、後半のREMIX校長校話をとても喜んでくださった。松岡校長と再び対話できた感じがした、という感想を言われたのが印象に残っています。
エ・クリ?エ・クラア!花綵にまねび、震えよ【180回伝習座】
金 「左近」「右近」というロールもいいですね。
吉村 左大臣と右大臣みたいにね。金くんと小島伸吾さんが左近、右近でした。今福さんも自ら二人に対話を仕掛けて、「どうですか左近、右近」ってうまく乗ってくれましたね。
金 ロールをやっている側も面白いし、評判もいいですね。
吉村 これまで、津田一郎さんのときは桂大介師範と梅澤光由師範、田中優子さんのときは寺田充宏別当師範代と華岡晃生別番、でした。来年は、そろそろ女性の右近左近も登場させたい。
上杉 優子学長の東京音大での講演では、ゆかりさんや田中所長もご一緒でした。本をベースにしながら、「江戸の音」と重ねて話をされていて、その流れで音づれスコアの瀬尾真喜子さんの編集事例も紹介されていました。
後藤 質疑応答コーナーでは音大生が優子学長に人生相談までされていましたね。
上杉 松岡正剛事務所の社長でもある[離]の太田香保総匠を起点に、「音夜會」という企画も立ち上がりました。音楽を通して松岡校長をしのび、さまざまな分野の人が交わる場になっています。12月で6回目、1月28日が最終回で、誕生日特別企画が行われます。これも2025年の新しい動きでした。
松原 今年、校長の本が3冊出ましたね。
後藤 一周忌に合わせて『世界の方がおもしろすぎた』『百書繚乱』『Birds』が間を置かずに刊行。そのあと、近江アルスの本も出ましたね。
上杉 『世界のほうがおもしろすぎた』は、朝日新聞の連載「人生の贈り物」の再編集でしたね。
松原 第6章で編集学校について書かれていました。
吉村 『百書繚乱』は、産経EXに連載されたBookwareの再編集。松岡正剛事務所の寺平賢司くんが編集長として全面的に関わって、思い入れのある一冊になったようです。写真を撮影し直して、レイアウトも変更して、小森康仁さんと佐伯亮介くんがかっこよくデザインしてくれた。手元に置いておきたい本になりました。
金 自伝は、知っているつもりで読んだけれど、初めて知る話も多かった。アートジャパネスクの制作の話は面白かったです。
あと、松岡さんが編集に向かったきっかけが、アイデンティティへの違和感だったという話を、あらためて腑に落ちる形で読みました。鈴木健さんの『なめらかな社会とその敵』で語られる「膜」の話とも重なりますね。これは「たくさんの私」という編集学校の考え方につながりますね。
後藤 優子学長との対談で鈴木健さんの話を聞いていて、あらためて校長と同じ発想だと思いました。生命から考えることが自然なのに、社会ではそこに乖離がある。
吉村 『世界の方がおもしろすぎた』には、後藤さんの写真も掲載されているよね。
後藤 そうです!あの写真は香保さんが選んでくださいました。同じ写真が『千夜千冊エディション 戒・浄土・禅』のプロフィールにも採用いただき、2024年9月のグループ展でも展示した写真です。思い入れのある一枚です。生前に松岡校長が「これは後藤の代表作だね」と言ってくださった。
吉村 写真は3枚使われていますね。
後藤 和やかな雰囲気の中で撮った写真なので、校長らしい柔らかな表情が撮影できました。
吉村 本以外でも、伝習座ではREMIX校長校話を続けているし、千夜千冊 絶筆編も始まりました。編集工学研究所の本楼には、松岡校長の写真が飾られていて、スタッフや訪れた師範、師範代が毎日線香をあげています。
金 [多読アレゴリア]は、2025年12月で1年になります。松岡校長も「これからはクラブだよな」と言っていたし、「アレゴリア」というネーミングにも思い入れがあったようでしたね。
別典祭は今後も「本の祭り」として、本を通じながらいろんな縁側の人たち、有識者、編集者、出版社や図書館、学校、教育機関ともつながっていけるし、地元豪徳寺の人たちともつながっていけるんじゃないか、という手応えがありました。
上杉 松岡校長が「多読アレゴリアでやりたい」と言っていたことが、ちゃんと形になったと思います。松岡校長のディレクションなしで新しいものをつくったのは、たぶん最初じゃないでしょうか。
金 別典祭は、結果的に200人ほどの外部の方が来てくれました。これまで、イシスでこういうイベントって、あまりなかったですよね。期せずして、という感じもありましたが。
【別典祭】本の市!本の祭典!本の劇場!初日フォトレポート
吉村 当期の修了イベントである感門之盟以外で、ALLイシス的な動きとして別典祭が立ち上がったのは、新しい試みになりました。学内イベントでもなく、講座でもない。でも、イシス編集学校らしい。
後藤 演出もかなり攻めていましたよね。
吉村 黒留袖ファッションショーのためにブビンガ・ランウェイをつくって、スモークを焚き、照明も工夫されて。衣笠純子、小森康人を中心にイシス編集学校の黒膜衆によって、撮影やスイッチングや配信だけじゃなくて、舞台の演出集団になっていった。これまでのイベントでいちばん遊び心が溢れていたのが、別典祭だったと思います。
【別典祭】本の市!本の祭典!本の劇場!初日フォトレポート
後藤 講座関係は、全体としてどうでしたか。
吉村 [守]は、秋ー春の今期は、とにかくフレッシュな師範代、初めて師範代を担うメンバーが勢いをもたらしてくれています。一方で[破]は、過去に師範代を務めたメンバーが何人も戻ってきた期になっています。4期だった久野美奈子さんが、初めて[破]の師範代になられ、エディスト編集部で「イシスの至宝」と呼んでいる川野貴志さんもほぼ15年ぶりに師範代に。かとめぐ師範代、岡本悟師範代、松尾師範代、蒔田師範代という師範経験者がずらりと並ぶ布陣になっています。創守座、突破講といった師範代、師範の研鑽の場も指導陣自らが仕立てる形が出来上がっていった一年にもなりましたね。
金 そして、校長がいない、初めての[離]でしたね。
吉村 そうです。僕も連離連行衆として講評役で関わりましたが、今季の[離]の指導陣、火元組は、かなり手厚い構成になっています。寺田充宏別当、小西明子別当をはじめとする両院の火元組。そして田母神、小坂、塩田、倉田の方師が4人。連離連行衆の講評陣も図解、文章、グループ商量に分かれて、10人以上が関わっている。さらに、金くんは戦争勘弁衆の担当として入っているよね。あわせて20人近くが関わっています。
金 贅沢すぎますね。
松原 この新春放談が出るころも、ちょうど[離]の真っ最中ですよね。
吉村 そうですね。校長がいない[離]ですが、それぞれの役割が分散して、結果的に「場」が厚くなった。誰か一人が背負うのではなく、複数の人が責任を持って関わる。その構造が、今回の[離]でははっきりと見えてきました。
上杉 イシス編集学校の「奥の院」という意味では、[離]とあわせて[花伝所]がありますよね。
吉村 先ほども話しましたが、[花伝所]は、2025年の入伝式で、宇川直宏さんと大澤真幸さんに講義をしていただきました。「式目の編集工学」については、デザイナーの穂積くんが、リバース・エンジニアリング、エディティングモデルの交換、イメージメント・マネージメントを一気に語り切ったのも印象的でしたね。秋の[花伝所]では、林朝恵、平野しのぶの両花目付が掛け合いで面白く進行してくれました。[花伝所]のラストにある花伝敢談儀では、千夜千冊エディションを一冊指定されて、図解するのが課題になっています。オツ千エディションライブとして穂積くんと一緒に解説することも恒例になっています。[花伝所]は、基本的な形式を守りながらも、毎回少しずつやり方を更新してきています。
後藤 ホームページの整備や、[花伝所]そのものを書籍化する構想も出てきていますね。2026年は[花伝所]も新しいステージに突入するように感じます。
吉村 [遊/物語講座]も開講中です。今期の蒐譚場では、松岡校長がかつて取り組んでいたOpera Projectの「物語マザー」の活用実践や物語に葛藤や禁忌を入れる方法を講義してもらいました。Opera Projectを新たに継承して活動を進めていますが、そこで得られた知見は、物語講座にもフィードバックしていきたいと思っています。これまで時間をかけて積み上げたものを、いかに次の編集へ手渡していくかが、すべての講座で大事になってくると思います。
松原 感門団や黒膜衆など、いろいろな集団が活躍した一年でもあったんじゃないでしょうか。
【変革期のリーダーたちへ】学びに”没入”させる仕組みとは?——Hyper-Editing Platform[AIDA]の「場づくり」の秘密《後編》
吉村 感門之盟では、後藤さんと新井陽大くん、中村麻人くんに、林頭としてロール名と漢詩とともに書を贈りました。後藤さんは「結司」、新井くんは「籟記」、麻人くんは「響事」。みなさん、ぜひ覚えてください(笑)。それぞれに、マネジメント、メディエーション、コミュニケーションと、師範と一緒に考えながら場を動かし続けてくれました。
後藤 私は[多読アレゴリア]のマネジメントやISIS co-missionとの連携などを引き受ける形になりましたが、結果的にそれがイシスのエンジンの役割になっていたなら、うれしいです。
吉村 本当に心強かった。裏側で支えてくれる感門団、黒膜衆も活躍してくれました。
上杉 JUSTライターが継続的に動いて、イシスの「いま」をエディストしているのも、大きいですよね。2026年は、さらに活動を広げていけたらと思っています。
吉村 感門エディストが指導陣を中心に始動したのも、2025年の新しい試みでしたね。第88回感門「遊撃ブックウェア」からスタートして、統括を角山さん、統括フォローを中村麻人くんが担ってくれた。当期から、[守]は景山和浩さん、[破]は戸田由香さん、[花]は中村由美さんが担当し、JUSTライターチームと一緒に動く、という体制でした。
上杉 記事として出てくる形は変わらないけれど、事前に「何をやるか」をしっかり話し合って、準備し、チームで対話しながらつくっていく。そのプロセスを経たことで、記事の幅そのものが変わってきたと感じています。
後藤 番期同門祭のあとから、感門のあり方も少しずつ変わってきていますよね。
吉村 番期同門祭は5年に1回。その間の5年間は、九州、名古屋、東北、関西と支所に毎年1回ずつ松岡校長を迎える、という構想です。いま感門は、徐々に運営を講座主体へと移行してきています。その象徴の一つが、感門エディストでしょう。師範が中心に「動き続ける場」へと変わり続けています。
金 本当にいろんなことをやっていますよね。正直、やりすぎなくらい(笑)。
吉村 次々に新しいことをやらないと、何も起きていないように見えてしまう。でも、振り返ると、もっとできたという感覚にもなる。アーカイブが重要ですね。
金 ちゃんと外に示して、残していかないともったいない。どんどん埋もれていってしまうから。
吉村 アウトプットとして、仕上げに向かう成果も必要でしょう。
松原 その意味では、後藤さんの年末のクロニクルが、ひとつの集大成ですよね。
エディスト・クロニクル2024 #01 編集のタイドを起こす
吉村 クロニクルを見ると、こんなにやっていたのかと、あらためて思う。
上杉 ほかにも、酒上夕書斎や、杉浦康平さんの[多読SP]もありましたし、抜けているものがないか心配になるくらいですね。
吉村 [物語講座]の感門に、ゲストとして漫画家の近藤ようこさんが来てくださったのも、2025年だったんですね。もうずいぶん前のことのように感じます。
桜の森の満開の下で漫画の妖術師と対談する〜【ISIS Festa Special x 感話集 近藤ようこ氏】
金 田中学長がやっぱり今年のMVPですよね。すさまじいアウトプットでした。あと印象的だったのは、九天玄氣組の『遊』擬きの『九』、[杉浦康平の多読SP]での山田細香さんの「全宇宙誌」擬き、森山智子さんの着物コンパ倶楽部。
極意はセイゴオ直伝〈ふにゅふにゅ〉【九天玄氣組20周年企画をふりかえる】
吉村 それが可能だったのは、編集学校が集合知として動いていたからだと思います。多中心になっています。
後藤 ネオバロック化ですね。
上杉 イシス的な2025年の流行語、というと何でしょう。
吉村 感門のタイトルの遊撃ブックウェアから、一つは「ブックウェア」ですね。
金 毎年、「イシス流行語大賞」をやってもいいかもしれないですね(笑)。
吉村 多読アレゴリア内でちょっと流行ったのは、金くんの「アレ・レゴ・ゴリ・リア」(笑)。
【多読アレゴリアTV】2025夏・キム代将が推す!アレ、レゴ、ゴリ、リア4部門のオススメクラブ
金 それから、やっぱり「別典祭」じゃないですか。
吉村 本の祭り「別典祭」。しかも、未入門の外部の参加者が200人ほどいた。これまでになかったことですよね。YouTubeイシスチャンネルも昨年から始まりましたし、遊刊エディストの記事にコメントをつける物憑衆も2025年からでしたね。
松原 いま、コメント欄が「むし」と「まんが」がにぎやかですが、そこにまた新しい動きが加わりそうですね。エディスト自体も、かなり独特なメディアになってきていますよね。
吉村 それから、ハイパー・エディティング・プラットフォーム[AIDA]も編集学校のメンバーが、受講者としてもAIDA師範代や黒膜衆としても混ざってきている。僕は、イシス編集学校の中で起こっていることだけではなく、編集工学研究所や松岡校長の書籍や千夜千冊や近江ARSも全部イシスだと見た方がいいと言い続けています。どんどん境界が「なめらか」になってきているのです。
金 鈴木健さんの「なめらかな世界とその敵」と掛けているわけですね。AIDAと編集学校、コミッションとアレゴリア。その境界が、全体にゆるやかに接続している感じがありますね。
後藤 そろそろ、ゲストの方がいらっしゃいますよ。2025年はこの人を外しては語れない、という、あの方の登場です!
「其の弐」に続く
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
新春1/10スタート! 佐藤優が日本を語る「インテリジェンス編集工学講義」映像公開!
万巻の書を読む。難読古典を我がものとする。 松岡正剛、立花隆、池上彰、高山宏といった博覧強記と言われるものたちが、どのように本を読み、知を血肉化しているのか。誰しもが、その方法に関心をもつのではないだろうか。 &nb […]
田中優子の酒上夕書斎|第七夕 『江戸から見直す民主主義』(2025年12月23日)
学長 田中優子が一冊の本をナビゲートするYouTube LIVE番組「酒上夕書斎(さけのうえのゆうしょさい)」。書物に囲まれた空間で、毎月月末火曜日の夕方に、大好きなワインを片手に自身の読書遍歴を交えながら […]
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鈴木健×田中優子緊急対談「不確かな時代の方法としての政治~PLURALITYと相互編集~」がYouTubeイシスチャンネルで公開されました。 田中優子学長が以前より熱望していた鈴木健さん(東京大学特任研究員 […]
編集部が選ぶ2025年10月に公開した注目のイチオシ記事6選
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【12/23火】編集×音楽×食を満喫! エディットツアー・クリスマス特別編、今年も開催!
〈編集〉とは、雑誌編集や動画編集などの特定の分野に限られた行為ではありません。私たちは普段の生活の中でもたくさんの〈編集〉を行っていることをご存知ですか? 仕事のために身支度をしたり、通勤の移動中に音楽を聴 […]
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2025-12-31
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2025-12-30
ほんとうは二つにしか分かれていない体が三つに分かれているように見え、ほんとうは四対もある脚が三対しかないように見えるアリグモ。北斎に相似して、虫たちのモドキカタは唯一無二のオリジナリティに溢れている。
2025-12-25
外国語から日本語への「翻訳」もあれば、小説からマンガへの「翻案」もある。翻案とはこうやるのだ!というお手本のような作品が川勝徳重『瘦我慢の説』。
藤枝静男のマイナー小説を見事にマンガ化。オードリー・ヘプバーンみたいなヒロインがいい。