「しるす」ことがデザインなのではない。designとは、脱・しるし化であり、何かから脱却していく「意味の作用」だ。
千夜千冊エディション『デザイン知』(松岡正剛、KADOKAWA)の冒頭の一夜、1520夜『デザインの小さな哲学』(ヴィレム・フルッサー)で、松岡正剛校長はデザインの本来を説く。
9月7日の第70回感門之盟に向けて、さまざまな「デザイン知」が進行中だ。来場してまず手にするペットボトルの帯を手がけたのは、学林局のデザイナー・穂積晴明である。
編集工学研究所の仕事をこなしながら離を受講する涼やかな長身のエディストは、松岡校長の揮毫を生き生きと擬いた。夕映えの空を思わせる背景には、今回のテーマとも重なる「遊刊エディスト」のアイコンが星座のように浮かぶ。
穂積が大事にしている松岡校長の言葉がある。デザインには「意味」と「イメージ」の二つのアプローチがある。意味から入るとコンセプトで身動きできなくなる。イメージをアナロジカルに限界まで広げてから意味へと向かうこと。これを穂積は片時も忘れない。
かつて魔術や呪術であり、今なおそうであり続けているデザイン。穂積のデザインは、当日の来場者にどんなマジックをかけるのだろうか。
丸洋子
編集的先達:ゲオルク・ジンメル。鳥たちの水浴びの音で目覚める。午後にはお庭で英国紅茶と手焼きのクッキー。その品の良さから、誰もが丸さんの子どもになりたいという憧れの存在。主婦のかたわら、翻訳も手がける。
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