マイク回しは、お題である。マイク自体が、お題をもっている。
2022年9月11日の日曜日、「イシス題バシティ」というタイトルのもと、第79回感門之盟は2日間の編集アンサンブルをおえた。豪徳寺で、新宿や仙台や名古屋や福岡で、zoom上で、のべ300名以上の編集道をあゆむ指導陣と学衆が、4ヶ月間つづいた稽古条々の成就と残念を思いおこし、次への門を想いめぐらした。
感門之盟では、師範と師範代が、それぞれの教室模様を「言祝ぎ」する。本楼の仮設ステージが、メッセージを伝える舞台になる。
過去期や当期(!)の指導陣とEELスタッフが中心となった通称「黒膜衆」が、舞台づくりを支え、配信を届ける裏方となる。
リハや当日、松岡校長から黒膜衆へも、ディレクションが入る。たとえば「スタンドマイク」は、言祝ぎを届ける大事なツールである。師範・師範代メッセージの90秒や2分間は、マイクにもアフォードされて、脱皮ザリガニ教室の、オリーブ・ビリーブ教室の、それぞれの格別なQEが交わされる時間になる。
単純にスタンドマイクを出す、ではない。「スタンドマイクを扱うのがはじめてなら、100回くらいはリハしたほうがいい。まず、マイクの角度調整や上げ下げといった道具づかい。そして、上げ下げや出入りのタイミング。さらに、マイクを扱う自分の振る舞いや、どう配信にマイクが写るといいのか。マイク自体が、そうしたお題をもっていると思うこと。マイク回しだけでなく、どんな裏方も登壇者も、その場を全て引き取るつもりで、用意も卒意も徹底してやらないと。」
松岡校長が総合プロデューサーをされた「織部賞」でも、受賞者がリハをするのは、前代未聞だと驚かれたという。「でもね、井上ひさしさん(第3回織部賞受賞)が、『松岡さん本当によくわかります。ここまでやらないから、つまらない普通の授賞式ばかりなんですよ。』と言っていたよ、感門もそこまでやらなきゃ。」
題バシティのための「お題」は、すぐ目の前のモノやコトに潜んでいる。それを引き出す編集にこそ遊びたい。
[編工研界隈の動向を届ける橋本参丞のEEL便]
//つづく//
橋本英人
函館の漁師の子どもとは思えない甘いマスクの持ち主。師範代時代の教室名「天然ドリーム」は橋本のタフな天然さとチャーミングな鈍感力を象徴している。編集工学研究所主任研究員。イシス編集学校参丞。
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