鳥は美味しいリンゴを知っている。リンゴに鳥が突っついた穴がある。よってこのリンゴは美味しい。
──「これは美味しいから」といただいた農家さんからのオマケ。切れば甘味成分ソルビトールが沁みていた。覗いてみたくなる世界は尽きない。
遊刊エディストの新春放談2026、其の肆 をお届けします。 今回は、2025年からエディストでうまれた物憑衆たち、川邊透さん、堀江純一さん、若林牧子さんをゲストにお招きしました。
◎遊刊エディスト編集部◎
吉村堅樹 林頭, 金宗代 代将, 後藤由加里 師範, 上杉公志 師範代, 松原朋子 師範代
◎ゲスト◎
物憑衆 川邊透さん、堀江純一さん、若林牧子さん
松原 ではでは、ここからは、2025年から始まった新しい取り組みに参加していただいたお三方をゲストに、放談していきます。堀江純一さんと川邊透さん、そして若林牧子さんです。
吉村 「物憑衆(ものづきしゅう)」のお三方ですね。
金 エディストが始まった2019年から、林頭は記事にコメントをつけたいと考えていたわけですから、足掛け6年。皆さんと一緒にスタートできたことになりますね。
吉村 コメント機能をただ単に開放するというのではなく、物に寄せてコメントをつけるようにしてはどうだろうか、と考えたんですよ。いわゆる寄物陳思です。ということで、「もの」への異常な、いや素敵な執着をもった物好きな人に、「物憑衆(ものづきしゅう)」として、そのフェチを活かしてコメントしていただきたいと、お声がけしたんですよね。
松原 昨年6月の頭に、フェチが際立つ何名かの方々にお声がけして、参加下さったのが川邊さん(虫)と堀江さん(マンガ)。そして若林牧子さん(野菜)、山田細香さん(建築)もコメントを投稿してくださっています。
金 2025年年末までに、58本のコメントがあがっています。皆さんご存じかな? ここからご覧ください。 山田さん4本、若林さん7本、そして堀江さんは17本、川邊さんは30本書いてくださっていると思いますよ。川邊さん、堀江さんは乗りに乗ってくださっているかんじですよね。
後藤 スゴイ数ですね!1か月に7本、4日に1本!
松原 虫・虫・マンガ・虫・虫・マンガ・果物・虫・虫…というようなリズムを刻んでいます(笑)
若林 堀江さんと川邊さんの物憑きぶりがかなりディープなんで、すっかり地中に潜っている感が否めないのですが(苦笑)。当初は、果物ではなくて「野菜」限定でお願いします、というオーダーをいただいたんです。

野菜といえば、果物といえば、食といえば、イシスに若林牧子あり!感門之盟では感門団として、おやつ解説もおこなっている→ https://edist.ne.jp/just/oyatsukanmon/
松原 そうそう、若林さんの、野菜ソムリエでいらっしゃる属性を活かしていただこうという意図で。江戸東京野菜コンシェルジュの資格も持っていらっしゃるし、フランスで食の旅などもされているとも聞いていましたので。
若林 実際は、今のところ、野菜少な目で、果物ばかりなんですよ(苦笑)。作品を探してみると果樹のほうが構造的に観察し甲斐があって、面白いということに気づきました。あ、ちなみに、野菜ソムリエは、野菜と果物の両方を深掘りしている人なんですよね。
川邊 私の場合、実は1週間に1本は投稿しようと自分に課しているんです。
堀江 私は2週間に1本のペースでやっているんですよね。川邊さんは毎週火曜に挙げていらっしゃいますが、僕はもう息切れしちゃうんで(笑)
吉村 大抵のブログやニュースにはコメント欄がありますが、エディストにはなかった。「いいね!」のような評判ではない、評価の方法を考えてみたかったわけです。川邊さんと堀江さんを中心にコンスタントに「物憑き」してくれていますが、まだまだ知らない人が多いと思います。一方で僕は「物憑き」に新たなネット文化の可能性を感じているんですよ。「好きこそものの上手なれ」というか「好きこそ編集の上手なれ」だと確信しています。やってみていかがでしたか。

堀江さんといえばこのイラスト!堀江さんの描くマンガ情報はこちら↓ https://x.com/Xlq35SgkDIyWXP5
堀江 私は、そろそろネタ切れになってきているというか(笑)。どうしても作品が先に決まるパターンが多くて、作品にあった記事を探すようにしているんですが、エディストの記事と結び付けるのが難しいですね。けっこう無理矢理つなげているところもあってカップリングがうまくいっていないこともあります。
上杉 うまくいっているなというときは、どんなときですか?
堀江 うまくできているときは、記事とダイレクトに結びつけられたな、というときですね。
松原 作品はどういうふうに選んでいるんですか?
堀江 いやあ、特段の方針はなくて、最近読んだマンガとか、ふと思いついて、これはコメントっぽいぞとかですね。物憑衆はいいネーミングだなと思うんです、フェティッシュなこだわりを持っているということで、私もそこに混ぜていただいて光栄ですが、私はあんまりそういうタイプではないと思ってるんですよ。
全員 えー!!!そうなんですか?どう見ても……
堀江 実はあまり物憑衆ではなくて、ひとつのことに徹底的にのめりこんでいくタイプではないんですよ。どちらかというと、小さなマイブームがあって、それを点々と渡り歩いている感じで。好きなものがあって誰にも負けない、というものはないですし。モノにたいして、フェティッシュな感覚がないんですよね。そういう人で、すぐ思いつくのは、澁澤龍彦ですかね。(『<ヴィジュアル版>ドラコニア・ワールド』(澁澤龍彦)を提示しながら)博覧強記で、いろんなものに興味を示して、鉱石とか貝殻とかドクロとか人形とかフェティッシュなコレクションをしてますけど、私はその逆のタイプ。
後藤 へー。
堀江 澁澤さんは、『玩物草紙』という本を出されているんですが、もともとこれは「玩物喪志」という字をもじったものです。物を玩(もてあそ)んで志を失うという、昔の中国の言葉で、マイナスの意味です。澁澤さんはそれをひっくりかえして、モノにことよせて数寄だったいろんなものをお題にして、いろんなことを書いているわけなんですが、単にモノが好き、ということだけ言ってて、その他に主張やメッセージを出すのは野暮だと思っているふしがあって、モノを愛でるだけでいいんじゃないかということなんですよね。それで、私はといえば、こういう人とは真逆のタイプなので、フェチを持つ人たちが何を考えているのか知ること自体が面白いんですよね。
上杉 物憑衆に抜擢されてコメントを付けていらっしゃるけれども、モノ数寄ではないというのは、おもしろいですね。
吉村 世間的にみても、編集学校のメンバーの中でも、堀江さんはかなり「物憑衆」に相応しい人だと思いますよ。堀江さんほどマンガに詳しい人はなかなかいないですから。
堀江 ただ、マンガだったらなんでも読むというタイプではないんですよね。自分の好きなマンガはあるんですが、最近の動向を小まめに追いかけたりしているわけでもないので、マンガ好きを公言するのもはばかられるといいますか……
金 いやぁ、でも、エディストの中では堀江さんはかなりのモノ数寄ですよ。
堀江 自分にもモノ数寄な人の気持ちがわかる部分はあるんです。例えば、リストアップするのはすごく好きで、たとえば映画でも、この監督はいいと思ったら全部観るんですよね。結構全部観るのは大変で、最後の方になると、その作品が観たいんじゃなくて、ただコンプリートしたいだけなんですよ。観てもつまらないのはわかっていて、最後、苦労の末にようやく見つけ出して観てみたらやっぱりつまらないんということは結構あります。
上杉 なるほど、それで思い出したのは、堀江さんと『情報の歴史21』を一緒に作ったときのことですね。堀江さんには文学・映画・映像の分野で情報を集めていただいたのですが、あつめた歴象数が圧倒的に膨大でした。たしか文学は海外文学だけで2000個を超えていましたね。そういうことだったんですね。
吉村 堀江さんはモーラ体質だとわかっていました。2017年に近畿大学ビブリオシアターでDONDENの構成編集を担当した時にも堀江さんにお願いした。伝説的マンガ家50人を選定したL topia(レジェンドトピア)というエリアがあります。50人の作家のほぼすべての作品を網羅する必要があったんですね。これは堀江さんにしかできないだろうと思いましたね。
堀江 だから古本でも、全部そろえてやるぞと。欠けがあると気持ちが悪いんですね。行動経済学で確実性効果という言葉があるんですが、それですね。95%の達成率だと残りの5%が気になって、埋めようとして過剰にリソースを投下してしまう。その結果、経営が傾くという現象があるらしいんです。本当は頭打ちになった段階で撤退したほうがいいのですが、完成させたくなるんですよね。
※堀江さんがDONDENプロジェクトに携わったことに端を発する、伝説のエディスト連載「マンガのスコア」↓
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吉村 それはかなり物憑衆の資質があると言えるんじゃないですか?
後藤 私もそう思いました(笑)。完全なる物憑衆ですよね。
吉村 多くの人は途中で、「あれ? 何してんだ、俺?」ってなるけれども、堀江さんは行き着くところまで行くわけでしょう?
堀江 セットで揃えないと、抜けがあると気持ち悪いという感覚ですね。
松原 完全なる物憑衆に聞こえますけれども(笑)。ところで、若林さんの数寄っぷりはいかがですか?
若林 私の場合、どちらかというと、断面フェチですかね。自然界が織りなす美しさは、外観もさることながら、見えないものに美が潜んでいるんですよね。そういうことも知っていただきたいなと思って、これまでには、スイカ、パッションフルーツ、リンゴで断面を取り上げてみました。
金 ちょっと川邊さんがいかがなのか気になってきました。
吉村 川邊さんは「完全なる虫マニア」ですよね?

エディスト6年目にしてエディスト・デビューを果たしてくださったThe物憑衆・川邊透さん!その虫っぷりはこちらをチェック↓ https://x.com/torukawabe
川邊 まあ、あのう、そうですね。今楽しみながら苦しみながらコメントを書いていますが、物憑衆という名前は素敵だなと思いますよ。でも、自分がモノ数寄でやっているとか、虫マニア、ということとはちょっと違うんですよね。
松原 えーー、みなさんご自分を違うっておっしゃるけれど、じゃあどんなことなんですか?
川邊 いや、なんていうかな、僕にとったら、世の中は虫が地のすべてっていうか。地の中で一番大事なものが虫なので。「虫の世界で生きている僕が、モノ数寄でイシスをやっている」っていうことですね。関係が逆なんです。
全員 (笑)
松原 そもそも川邊さんは、いつから虫が地の世界に生きていらっしゃるんですか?
川邊 虫で生きているのは、そんなに古くはないんです。虫が好きなのは幼児の頃からですが、高校大学ぐらいはずっと虫をやっていましたけれども、その後は百貨店に就職しました。で、ちょっと人間の世界を見てみたいなっていうのがありましたから、結構長続きしまして、55歳で選択定年したんですね。そこからは虫三昧をしていて、今は12年ぐらいやってきていますね。
後藤 地が違うんですね!
川邊 ええ。それで、エディストに物憑衆としてコメントするエンジンは何かといえば、虫について、本当の内側が知られていないなと思っていて、少しでも知ってもらいたいということでやっています。いい場を与えてもらったと思っています。
吉村 物憑コメントでアップされている写真は、僕らが知らない虫ばかりですからね。
川邊 それこそ虫は何千何万といてますから、それこそ世界でいうたら100万単位でいてますから、まだまだコンテンツはいくらでもあるんですね。
堀江 写真素材はどうやっていらっしゃるんですか?
川邊 全部自分で撮ってるんです。
堀江 すんごいですね(笑いながらのけぞる)。
川邊 リソースはものすごいあるんですよ。ただ、物憑衆をやるとなるとしんどい。なので、ルールをつくっていったほうがいいと思って、もう一つは、虫を知ってもらうための自分の編集稽古になったほうがいいなと思って、やっています。
金 写真はいつもカメラ持って撮っているんですか、それとも今日はこれを撮りに行くぞという感じで狙って撮りに行くんですか。
川邊 両方ですね。カメラはずっと持っていますよ。何を目的ともなくフィールドに入って虫探しするというときと、何かを狙っていく時と、いろいろです。イモムシなんかは採集してきて飼育するんですよね。飼っているとイモムシっていうのは毎日姿が変わっていきますんで、毎日、家のちょっとしたささやかな庭で朝方は写真を撮っています。ある時に脱皮をしたり、さなぎになったり、羽化したりと、イベントが次々に起こりますんで、なかなか大変なんです(笑)。
吉村 刻々と変化し続けるフォトモデルですね(笑)。
松原 ちなみに、川邊さんのおっしゃるルールはどんなものですか?
川邊 どんなルールだと思います?
吉村 同じ虫は二度と使わない。
川邊 ああ、それはちょっと思っていますが、固執はしないつもりです。ルールは、
・ルール1:週に1回コメントを投稿。これは吉村さんから1,2週間に1本ということだったので、より厳しい方にしました。
・ルール2:文字数を、100文字ぴったりになるようにする。
・ルール3:季節ならではの昆虫を使う。
冬場になってきたら難しいやろなと思いながら、そのルールを自分なりにできないかと思っていたんですが、3つ目はまだできていないんですね。
後藤 文字数100文字というコンパクトさが読みやすいですよね。
川邊 先ほど堀江さんもおっしゃっていましたが、記事を選ぶのがたいへんなんですよね。だからルール4としては、ISIS waveが週に1回公開されるので、途中からあれに必ずコメントをする、ということでやっています。
金 4つのルールをきめていたんですね。実際に物憑衆をやってみてどうですか?
川邊 なんとなく発見したのは、一生懸命もがいて書いたコメントの方がええんちゃうかなと思うことがありますね。簡単なものは薄っぺらなものに自分としては見えるんです。
松原 連想が安易にできてしまうとつまらないかな、ってことですね。
川邊 他には、もがくと、自分でもわからんものになっていったりするんですが、それはそれでいいのかなと。吉村さんから最初の頃に、わかりやすくないほうがいいというか、最初に虫の名前をポンと出すのではなくて、伏せて奥に何かあるように、読み込んだらわかったようなわからんような、というようなほうがいいというアドバイスがありました。実際やっていて、自分もそうしたほうが面白いなと思っています。
松原 先ほど堀江さんは作品が先にあってそれに合った記事を選ぶという順序でしたが、川邊さんはその逆なんですね。
川邊 完全に記事が先ですね。
堀江 いやあ、僕はそんな厳しいルールは課していないですよ。自分を甘やかさないと続けていかれないので、できるだけ楽することしか考えていないですけれども(笑)。でも、川邊さんみたいに昆虫が地に生きていると、記事が決まっているほうが、これならこの昆虫だよねっていうふうに結びつきやすいですよね。
川邊 そうですね。エディストの記事の中にも、昆虫が直接出てくるものもあるんですよ。そういうのはもちろんパッとコメントいけるんですけども、ちょっとそれはそれで面白くないかなと。一見、何にも虫が見えないところから、どこかに関係の線が引けるといいかな。
若林 わたしの場合は、「旬」を意識して、記事と作品の両面で決めるやり方なんです。堀江さんと川邊さんを足して2で割ったような方法ですね。この食材を取り上げようかなと思った時に、まずは「検索エンジン」で記事を探します。そうすると松井さんの『編集かあさん』がヒットすることが比較的多いんですよ。かつて松岡校長が、松井さんの記事を楽しみにしているっておっしゃっていて、わたしもなんですけどね(笑)。でも、松井さんばかりになってもって思っているので、バリエーションを出すようにしています。
金 若林さんはいろんなものに物憑衆していますね。松井さんの編集かあさんだけじゃなく、ほんのれん、江戸の音、[離]には生姜と茄子をつけてますものね。写真もよかったですけど、ユニークだな。
若林 そもそも、過去の記事って、更新される記事によって埋もれがちですよね。なので、できるだけ物憑衆コメントによって、最新の記事になっていくといいなあと思っているので、どの記事に光を当てようかというのも目論見としてはあります。
後藤 みなさんぜひ「田中優子の学長通信」にもつけてほしいです!月1で公開なので(笑)。
吉村 学長通信についたら、田中優子学長に見せましょうか。こんな虫つきましたって(笑)。
川邊 学長絡みの記事に2回ぐらいコメントしましたね。1回は田中学長が江戸の音っていうイベントをされるということで、松虫が鳴いている写真を出して、虫の音ももちろん取り上げていただくんですよねっていうコメントをしました。虫の音はイベントでは取り上げてもらえなかったと思いますが(笑)。
もう1つは、チンチロリン、もうすぐ田中学長のイベントの締め切りですよと松虫がアラームを鳴らしているということにも掛けてコメントしました。割と機転が利いていたなと思うんですけども、ただまだ結びつきが強い部類かなと思いますね。江戸の音と虫の音、江戸時代は松虫とか鈴虫とかいろいろ飼ってということがありましたからね。
吉村 意外な結びつきと、意外な知らない虫が出るという二重の面白さがありますね。カベアナタカラダニとかも、初めて知りました。
川邊 カベアナタカラダニっていうのは、小さい赤い虫なんですけど、春や初夏の頃にコンクリートの塀とかに赤いのが、こう、ピューと走ってるんですね。
上杉 ああ、いますね。
川邊 ね、いるでしょう。それに気づいてない方はまだまだです。
後藤・松原 気づいてないです。
川邊 あのね、ちょっと一見気持ち悪いように見えるけど、あれは花粉を食べているんですよ。花粉が飛んできて、コンクリートの塀にいっぱいあるんでね。まあ、そういう可愛らしい虫なんですけど。厳密には昆虫じゃないです、ダニですから。まあ、広い意味での虫の一つです。こんなふうに身近なところにああいう小さな生き物が息づいてますんで、そんなんをいっぱい知っていただきたいなというのが、物憑衆をやる大きな動機になっています。
若林 物憑衆として参加している私としては、物憑衆同士の阿吽の呼吸が面白くもあるなあと。以前に川邊さんが私の過去記事(土佐文旦)にコメント入れてくださっていたのが嬉しかったんですね。虫と植物の関係性は深いので、川邊さんの虫と私の果物を関係づけてみたいといつも意識はしているんです。
上杉 そういう意味でいえば、僕が物憑衆で印象的だったのは、『少年の憂鬱』が花伝所で取りあげられたことを受けて、堀江さんと川邊さんがお二人とも1つの記事にコメントされているんですよね。堀江さんは中二の思春期に関するところにスコープを当てて、川邊さんは少年的な、昆虫の世界に分けてみようっていうことで、なんか顔みたいなお尻のこれはイモムシですかね、コメントをあげてくださっていて。で、その元記事を書いたのが畑本ヒロノブさん。この3人トリオが『少年の憂鬱』を語ったことが印象深かったんです。微笑ましいというか、ピュアな少年性みたいなものを象徴していて、いいなと思いました。
堀江 僕のうっかりだったんですけどね、川邊さんがコメントされていたことに気がつかなくて被りました。
吉村 いや、重ねてコメントするのもアリですよ。
上杉 両方くっついていて、ああ、いいな!みたいな。
後藤 私も重なるのがいいなって言おうと思っていました。
川邊 自分でもコメントを1個だけ付けて、そのあとなんだかほったらかされた気にもなるんで、むしろそれが広がっていくほうが楽しいなと思いましたね。
吉村 2つのコメントが憑いたら、よほどいい記事かのように見えますよね。
松原 広がるといえば、2026年にはもう少し皆さんのコメントを広げていくようにしたいと思っています。で、つい先日からコメントへの個別リンクが実現しました。皆さんがコメントをつけてくださったら、ソーシャル・メディアで紹介していようにします!
吉村 そろそろ物憑衆を世の中にもお披露目していきたい。
若林 うまく旬な出来事とコメントを絡められたらと思っていて。今度、イシス編集学校56[守]の特別講義では、津田一郎さんをゲストに迎えるので、津田さんの記事を最新状態にしようと、関係性を繋いでみました。ちょっと作意的ですけど(笑) そういう点は、物憑衆の特権みたいなところはあるかなあ。
上杉 嬉しい心配りの連鎖ですね!
※若林さんがリンゴを添えた津田一郎さんの連載記事↓
津田一郎の『千夜千冊エディション』を謎る⑥ 『編集力』でアブダクションを謎る
金 ところで、川邊さんはどれぐらいの数を飼っているんですか?
川邊 それが、シーズン時にはイモムシを10も20も飼ってたりします。ですから葉っぱが足らなくなるんですね。それでクヌギの葉などを取ってきますでしょう。取ってきたらそこに卵とか小さい幼虫が勝手に付いているんです。で、またそれを飼い始める感じですよ、数珠つなぎのようにね。
後藤 家の中で飼っているんですか?
川邊 そうです。多い時は40~50いたんちゃうかな。で、それとともに蛹になって羽化待ちのものもいてますからね。もう本当に簡単に飼えるんです、体が小さいしね。100円ショップでキッチン用のタッパー2個100円というのがありますでしょう、その1個の中で飼えるんですよ。
松原 それはどこに置いてあるんですか?
川邊 最初は、家の部屋の片隅だったんですけど、すごい積み上がるんで、ラックを買いました。ラックに4つずつ重ねたものを4列にして、で、それが何段もあります。
吉村 虫マンションですね。
川邊 そうですね。タワー虫マンション。
吉村 僕は、川邊さんに[多読アレゴリア]で虫クラブを作ってほしいなって思っているんですよ。イシスに虫が好きな人もいるんじゃないかな。まだ虫好きではない人も、川邊さんに教えてもらえたら、虫にはまる人がいるんじゃないかと思っています。僕も、もちろん虫好きなんですが、本格的に飼ってみたり、ウォッチするきっかけがつかめない。親子で楽しめる人もいそうです。
川邊 そういえば、吉村さんの記事を探すと、ムカデが出てきますよね。
吉村 ああ、あれですね。僕は6[離]の表沙汰の時に、ムカデが描いてあるTシャツを着ていったんです。そうしたら、松岡正剛校長が離学衆のみんなには一人ひとりハグしていたんですが、僕だけハグをしてもらえなかったんです。校長が僕にハグしようとした瞬間にやめて、「俺、ムカデ嫌いなんだよ」って言われてしまったという切ない思い出があります。
川邊 ムカデは一番前の脚が毒牙になっているので、ハグすると毒が注入されちゃいますからね(笑)。こういうので1本コメント書けますね。
金 川邊さん、実際のところ、虫クラブはいかがですか?
川邊 興味はあるんですけど、今年は超多忙なんですよね。
吉村 もしかして、新たな本づくりですか?
川邊 そんなところです。
吉村 それは楽しみですね! 出版記念と重ねて、虫クラブを創立もいいじゃないですか。同時にエディストでも盛り上げていきましょう。
川邊 そういえば、『昆虫と自然』という虫の雑誌があるんですが、12月の臨時増刊号が、イモムシ・ケムシ特集で寄稿しています。「愛でる対象としてのイモムシ・ケムシ」として、いじりみよを駆使して創文しましたので、よかったら見てみてください。
松原 虫が苦手ですが、川邊さんのコメントと写真を拝見していて、虫って美しいんだなということを、たまに感じるようになりました(笑)。雑誌、見てみます、ちょっと怖いですけど。
上杉 堀江さんは、[多読アレゴリア]でマンガのクラブは作られないんですか。
堀江 ちょっと難しいですよね。私はクラブをホストするよりも、お題に回答する方が断然やっぱり楽しくて。そう、今は[離]で、離学衆の方々の図解に指南する担当をしているんですよね。優秀作を選んだり、不足を指摘したりしないといけないんですけど、どの回答もみんないいじゃんって思うんですよ。どれもいいし、けなす要素もないし、と思いながら指南しています。学衆として回答を作るほうが断然ラクですね、私の場合は。
吉村 堀江さんは、遊刊エディストで「マンガのスコア」に続く新たな連載を持ってくれるといいと思います。
堀江 以前は「遊姿綴箋」というコラムで、毎月のお題に合わせて月に1本書いていましたね。私の場合は、多趣味的なモノ数寄ではあるんですよね。映画とかも結構好きなんですよ。だから自分の中の順位で言うと、マンガよりも映画の方が上かもしれませんね。本>映画>マンガみたいな感じです。
吉村 コンテンツの目利きを堀江さんには期待したい。みんなマンガも映画もそうは知らないでしょう。堀江さんには、目利きをしてもらいつつマンガや映画の模写などを描いてもらうと面白くなりそうです。これのここだけはみんな見ろ!とワンシーンを模写する。
吉村 若林さんにもぜひ[多読アレゴリア]で野菜や食に関するクラブを作っていただけるといいなと思っています。
若林 そうですね、ラブコールはいただいております……(笑)
金 2026年は、皆さん、このまま物憑衆コメントを続けてくださいますか。それとも、もう嫌になっちゃった?
堀江 どうでしょう、僕はそろそろネタ切れの感がありますが、ノープランですけど…、やります(笑)。
川邊 僕は1年間はやりますよ。
堀江 1年間か、ちょっと自信ないな(笑)
若林 どうかな。春夏秋冬、世界も視野に入れたら、旬な野菜や果物がいつでもありますから、きっとできるかな?
松原 それと、またこんなふうに物憑衆の夜、というか、語り合う会をやってみたくなりました(笑)
吉村 物憑衆のそれぞれのモノに関するイベントもできますね。みなさん、いくらでも語れるんだから!
堀江 そのためにも、物憑衆の人員を新たにみつけたいですね。
松原 そうですね、バリエーションがあるとさらに豊かになりますね。
2026年も、物憑衆のさらなる展開、楽しみにしています。皆様、ありがとうございました。
今日はここまで。其の伍 へ続く!🏇
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🎍2026年 新春放談🎍
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エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
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