2024年12月にスタートした、イシス編集学校のまったく新しいオンラインクラブ【多読アレゴリア】もシーズン1が終わり、3月からはシーズン2へ。多種多様な全14クラブがひしめくなか、イシス編集学校校長 松岡正剛の作品をクラブ名に掲げる唯一のクラブがわれら「千夜千冊パラダイス」略して「センパラ」です。シーズン1では第75夜 岡倉天心『茶の本』をKEY千夜としましたが、シーズン2は果たして…!?気になる見どころをセンパラ仕掛人の千夜坊主、千冊小僧、さや媛、ちひろ媛が語ります。
さや媛 いきなりですが、さっそくシーズン2のKEY千夜を発表します!
1314夜 『記憶術と書物』 メアリー・カラザース
ちひろ媛 わわ、すごいのきた!って思うのはわたしだけ?(笑)
さや媛 いや、わたしも(笑)シーズン1の『茶の本』とはガラリと変わって、これまたゾクゾクします~。
ちひろ媛 KEY千夜は変わったけど、実は共通の裏テーマがあるんだよね。
さや媛 坊主が松岡校長と最後に病室で会ったときに言われたというあれ、ですよね。
「これからイシスで取り組まないといけないのはリプレゼンテーションとアルス・コンビナトリア」
松岡正剛
ちひろ媛 校長の遺言どおりセンパラはリプレゼンテーションに力を入れよう!と言ってシーズン1がスタートしました。それは引き続き大事にしながらシーズン2ではアルス・コンビナトリアに向かっちゃおうというなんとも大胆不敵なパラダイス♪
坊主 アルス・コンビナトリアは編集工学の本丸だからね。
ちひろ媛 松岡正剛直伝コース[離]では校長が書き下ろした「文巻」という至高のお宝をもらえますけど、12週にわたって怒涛のごとく配信される文巻のまるまる1週分が「アルス・コンビナトリア」というタイトルになっていますもんね。
さや媛 文巻では、アルス・コンビナトリアは「編集術の根底の方法」「最も重要な“方法の部立”」って校長が書いてましたね。
ちひろ媛 「メタファーやアナロジーという思考方法にもっと注目し、そこに古来のアルス・コンビナトリアというもの、すなわちコンビネーションの妙というものが動いていること、および、それが今日の編集術の奥義と連続していることに、思いを致してみるといい」とかとか。
さや媛 そこに切り込もうっていうんですから・・・・・(満面の笑み)
ちひろ媛 ところでアルス・コンビナトリアと『記憶術と書物』がどう関係するの?とおもわれる方は、[離]の総匠・太田香保さんのこちらの記事をぜひ。
松岡正剛は、この「記憶術」をたいへん重視してきた。「記憶術」がたんなる暗記術ではなく想起術にもなっていること、そのために「場」を重視し、そこにイメージ連想に富んだ情報の結び目をつくっていくこと、それがレトリックの発生や編集の「型」の発生とも連動していたことなどは、「編集工学」や「編集術」の直接的なヒントにもなってきたようだ。
イシス編集学校で、入門の段階から「注意のカーソル」を動かすことを徹底指導するのも、記憶と想起のための脳内の「場」を明確に意識させるという意図があるためなのだろう。「離」ではもう少し踏み込んで、イメージ結合=アルス・コンビナトリアとともに「記憶術」を学んでもらうことになっている。
ムネモシュネの恩寵 OTASIS-5
さや媛 香保さんが書いているように、記憶術っていうと暗記術というイメージが強かったりしますよね。
ちひろ媛 テストで100点をとるための暗記、みたいな。
さや媛 暗記したものはそのまま内容を変えずに思い出せるのが正解とされますし。
小僧 でもそれだけだと編集は止まってしまうんですよね。
ちひろ媛 おお、小僧が登場!
小僧 校長が大事にしていた記憶術はただアーカイブされた情報をなぞるというのではなくて、情報が思いもよらない相方と組み合わさったり変容することも厭わない。新たな意味との遭遇や関係の発見にもつながることの面白さをセンパラで体感してもらいたいですね!
さや媛 それって[破]のクロニクル編集術にも通じますよね。自分史に一冊の本を重ねて情報を動かしていくと、過去の意味づけや見え方がぐっと変わる。過去すら編集できるという実感が湧いてものすごく驚きました。
坊主 それから物語編集術にも通じます。90年代に編集工学研究所では「オペラ・プロジェクト」(The OPERA Project)を通して物語マザーの研究をしていたのですが、そのなかで校長は「すべての知識は物語的に連環してもらいたい」と書いていました。物語5要素の連動、物語マザーとの照合など、さまざまな可能性が広がるね。
さや媛 過去の意味づけが変わるということは、新しいヴァージョンの物語が生成されることにもなりますよね。自らの過去の記憶や物語が動かせるのであれば、それを他の物語や情報に転用することで、今までなかった新しい「世界たち」の誕生にもつながりうるわけですね。
ちひろ媛 ここでもうひとつ重大なお知らせです。シーズン2に加えて、つづくシーズン3・4のKEY千夜をいま発表しちゃいます!小僧、お願いします~
小僧 はい、こちらです!
シーズン2:1314夜 『記憶術と書物』 メアリー・カラザース
シーズン3:1770夜 『小枝とフォーマット』 ミシェル・セール
シーズン4:1793夜 『世界制作の方法』 ネルソン・グッドマン
ちひろ媛 でました「世界制作シリーズ」!
さや媛 カロリー高めのラインナップ、ヨダレものです(笑)
坊主 アルス・コンビナトリアから世界制作へ。実は校長からは生前に、おつ千(おっかけ!千夜千冊)で『小枝とフォーマット』(1770夜)から始めて、『ミメーシス』(1789夜)『アレゴリー』(1813夜)を経て『世界の読解可能性』(1519夜)そして『世界制作の方法』(1793夜)まで一気通貫してやるのが、編集学校にとってもいいだろうと言われていたのです。
小僧 世界制作パラダイス、略してセカパラ!
ちひろ媛 ふふふ、センパラの進化?深化?もわくわくしますね。次のシーズンはどんなふうにセンパラが育っていくのか楽しみ~。
さや媛 「育っていく」という話でいうと、つい先日、多読アレゴリアの全クラブの運営メンバーが集まってシーズン1の振り返りや今後の話をしたとき、坊主がこんな話をしていましたよね。
松岡校長はクラブというものにとても関心を持っていて、かつて自分でもプライベートクラブを主宰したりしていたけれど、主客が入れ替わるとか、クラブ財を生み出すというところまでは難しかったように思います。それから数十年を経て多読アレゴリアが打ち上げたクラブは、イシス初であると同時に、校長にとっても未踏の領域。
この話、ハッとしました。
ちひろ媛 それ私も。イシス編集学校がこれまで創り上げてきた講座とはまったく違うスタイルとして多読アレゴリアの「クラブ」が誕生しました。センパラもそのなかのひとつなわけですけど、誰も正解を持っていない「クラブ文化」を編んでいくというプロセスに居合わせることができて、これはとんでもなく幸運だぞ、と。
坊主 クラブというものを歴史的に見ると、イギリスのコーヒーハウスがあって、日本では一座建立、一味同心を体現した連歌や茶の湯がありました。では現代のクラブはどうあったらいいのか。
さや媛 世の中にはサッカークラブとか料理クラブとか将棋クラブとか、いろいろなクラブがありますよね。
坊主 校長があれほど注目していたクラブ、特に連歌や茶の湯の一味同心は、私たちがこれから向かいたい世界モデルのひとつになると思う。
ちひろ媛 校長はよく「世界モデルが摩耗している」と言っていましたけど、摩耗し劣化した世界の再編集をする上で一味同心型のクラブが大きな意味を持つ?
坊主 私たちは自ら研鑽しながら、志を同じくする仲間とこころを通わす場を共にしたいと感じているんじゃないかな。そうだとすると、これからの時代のあたらしい一味同心型のクラブ、主客の入れ替わりや相互性のあるクラブを育てるべく、多読アレゴリアでは思い切った方法的実験をしていきたいよね。
小僧 あとはクラブ財。利休の楽茶碗とか織部茶碗みたいに、クラブのなかでゆっくりと発酵しながら価値が高まっていくようなクラブ財も育ててみたいなあ。
坊主 いろいろ試行錯誤しながら、クラブ文化の底知れぬ可能性を追っていきたいね。
さや媛 ものすごくやりがいのあるクラブ活動ですね!
小僧 風の中のすばる~♪
ちひろ媛 え、急にプロジェクトX!(笑)
さや媛 そんなクラブ活動もメンバーあってこそ。センパラの場合は、「サウザンズ」の愛称で呼んでいる参加者のみなさんも含めたメンバー全員がクラブ文化を編む主役であり、プロジェクトⅩの挑戦者たちなわけで♪
ちひろ媛 千夜に出会ったばかりの千夜千冊ビギナーからコアな千夜千冊ファンまで、どんな方でも大歓迎!
さや媛 「千夜千冊が好き」という気持ちさえあれば、ぜひセンパラに来てもらいたいですね。
媛ズ シーズン2もたくさんのご参加、お待ちしています!!
アイキャッチ画像:千冊小僧 穂積晴明
多読アレゴリア「千夜千冊パラダイス」
~千夜千冊を遊興するDEEP&CASUALな歓楽街~
【定員】40名
【申込】
▼新規申込
https://shop.eel.co.jp/products/tadoku_allegoria_2025haru
▼継続登録
2024冬から継続の方は[多読アゴラ]ラウンジでの案内をご確認ください。
【開講期間】2025年3月3日(月)~2025年5月25日(日)
【申込締切】2025年2月24日(月)
【受講資格】どなたでも受講できます
【受講費】月額11,000円(税込)
※ クレジット払いのみ
※ 初月度分のみ購入時決済
以後毎月26日に翌月受講料を自動課金
例)2025春申し込みの場合
購入時に2025年3月分を決済
2025年3月26日に2025年4月分、以後継続
・2クラブ目以降は、半額でお申し込みいただけます。
・1クラブ申し込みされた方にはクーポンが発行されますので、
そちらをご利用の上、2クラブ目以降をお申し込みください。
【お問合せ】allegoria@eel.co.jpまでご連絡ください。
【2025春 多読アレゴリアWEEK】
▼着物コンパ倶楽部
▼MEditLab for ISIS
▼勝手にアカデミア
はとさぶ連衆は鎌倉に集い俳句を詠みつつアカデミア構想に巻き込まれるの巻
▼軽井沢別想フロンティア倶楽部
▼大河ばっか!
▼よみかき探Qクラブ
▼身体多面体茶論
▼終活読書★四門堂
▼OUTLYING CLUB
▼千夜千冊パラダイス
◎3/3(月)スタート◎シーズン2は《編集術の奥義》につながる千夜が登場!
福井千裕
編集的先達:石牟礼道子。遠投クラス一で女子にも告白されたボーイッシュな少女は、ハーレーに跨り野鍛冶に熱中する一途で涙もろくアツい師範代に成長した。日夜、泥にまみれながら未就学児の発達支援とオーガニックカフェ調理のダブルワークと子育てに奔走中。モットーは、仕事ではなくて志事をする。
「生まれて初めてこんなに○○を覗いたかも」開店前の大型書店で本を選んだその果てに【ほんのれんイベントレポ】
闇夜の動物たちに出会えるナイトサファリ、温泉宿の誰もいない朝の大浴場、しーんと静まりかえった夏休みの教室。ちょっと時間をずらしてみると、いつもの場所に思わぬ別世界が広がっていたりしますよね。じゃあ、開店前の大型書店に潜入 […]
「わたし、迷っています。」田中優子学長、セイゴオ誕生日に驚きの告白
1月25日は松岡正剛校長の誕生日。校長の思い出話がイシス中で飛び交うなか、世田谷豪徳寺の本楼では42[花]敢談儀が行われた。昨年10月に師範代養成コース花伝所に飛び込んだ「入伝生」が8週間の演習を了えて「放伝生」となり、 […]
【多読アレゴリア:千夜千冊パラダイス③】蔵出しアリこぼれ話アリ、千パラはインプットもパラダイス☆
■パラダイスの御馳走 さや媛 前々回は「シーズン1のKEY千夜」を明かし、前回は千夜千冊パラダイスの醍醐味「3つの千」のお話でしたよね。 ちひろ媛 深い霧に包まれていた千夜千冊パラダイスも、す […]
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