外国語から日本語への「翻訳」もあれば、小説からマンガへの「翻案」もある。翻案とはこうやるのだ!というお手本のような作品が川勝徳重『瘦我慢の説』。
藤枝静男のマイナー小説を見事にマンガ化。オードリー・ヘプバーンみたいなヒロインがいい。
本の市場、本の劇場、本の祭典、開幕!
豪徳寺・ISIS館本楼にて11月23日、24日、本の風が起こる<別典祭>(べってんさい)。
松岡正剛、曰く「本は歴史であって盗賊だ。本は友人で、宿敵で、恋人である。本は逆上にも共感にも、羨望にも失望にもなる」。
そんな本の可能性を展くのは、多読アレゴリアの16クラブ。
本が、写真や着物と交わり、ゲームにも大河ドラマにもなり、沖縄へ鎌倉へ軽井沢へ旅する。
6万冊の本楼+ISIS館での、本のお祭り<別典祭>。
お待ちかねの、本の劇場シリーズ予告編、お見せいたします。
予告編第2弾は「おっかけ千夜千冊ファンクラブ」、略して「オツ千」のスペシャルライブだ。知る人ぞ知る「千夜千冊」は、月間100万アクセス(pv)を誇る故・松岡正剛のブックナビゲーションサイト。「オツ千」は、千夜千冊の熱烈ファンを自認するISISスタッフのキーマン2人が案内役を務めるYou Tube番組で、今回が満を持しての初の公開ライブとなる。
■「千夜千冊」を解説、解読、仮説する
松岡正剛が2000年から書き続けていた「千夜千冊」は、2025年11月14日現在で実に1856夜を数える。松岡亡き後も、遺された膨大な草稿やメモが「絶筆篇」としてスタッフの解説と共に公開され、現在もなお更新中。「千夜千冊」のあとをおっかけ続ける「オツ千」も、2021年の第1回を皮切りに、これまでに153回まで達した。
「千夜千冊」の特徴は、単なる書評とは違い、本から本へ、思想へ、人へ、出来事へと、時空を超えて自在に引かれる関係線の図式、ハイパーリンクにあるといえよう。その跳躍ぶりはややもすれば難解だが、そこに分け入り、自由に解説、解読、仮説していくのが「オツ千」の2人、千夜坊主こと吉村堅樹と、千冊小僧こと穂積晴明である。吉村は、博覧強記で知られる佐藤優氏をして「読書の先生」と言わしめる編集工学研究所主任研究員。穂積は、弱冠28歳にして編集工学デザインの体現を一身に引き受けるデザイナーだ。
吉村(左)と穂積(右)のオツ千コンビ。直近の配信はジラール(492夜)、ランド(1856夜)、ケアンズ・スミス(1621夜)の三夜をまとめて一気におっかけ。ボードは穂積渾身の新反動主義オリジナル年表
■現代における「他力」とは? 聴衆が進行のカギを握る
今回ライブで取り上げる千夜千冊は、親鸞・唯円『歎異抄』(379夜)。ライブは多読アレゴリアクラブのひとつである「千夜千冊パラダイス」によるイベントで、『歎異抄』は同クラブの来シーズンのKEYブック(KEYとなる一夜)にあたる。悪人正機説や他力本願で知られるこの書はそもそもがパラドクスに満ちており、今もって様々な解釈本が発刊され続け、読み継がれる古典の名著だ。発端は、生前の松岡がデザイナーの穂積に向かって、これから考えるべきは「他力」のデザインなのだと語ったことにある。
なぜ今、「他力」か。 「オツ千」スペシャルライブでは、松岡の読みを手すりに何となく浸透しているこの言葉の意味を問い直し、現代における「他力」について、編集工学の視点から深掘りする。
「千夜千冊パラダイス」は、型を使って「千夜千冊」を遊び倒す編集工学マニアなクラブ
坊主吉村と小僧穂積の台本のないかけ合いで進行する「オツ千」は、「千夜千冊」という地図を手にした目的地のない旅のようなもの。今回はそこにさらに、聴衆という偶有性たっぷりのコンパスが加わる。針が指し示す方向やいかに。「千夜千冊パラダイス」クラブの看板、ちひろ媛(福井千裕)とさや媛(高本沙耶)の2人合わせて「千耶(せんや)媛」の絡みもあって、いつも以上のハプニングが期待できそうだ。
イシス編集学校「別典祭」(べってんさい)」開催概要
会場:編集工学研究所ブックサロンスペース「本楼」
(最寄駅:小田急線 豪徳寺駅、東急世田谷線山下駅より徒歩7分)
〒156-0044 東京都世田谷区赤堤2丁目15番3号
https://www.eel.co.jp/about/company
日程:2025年11月23日(日)・24日(月・祝)
チケット(2日間有効):一般の方無料。イシス編集学校受講生は1500円。
申込方法:以下URLからお申し込みください。
https://shop.eel.co.jp/products/tadoku_allegoria_2025bettensai
プログラム:
【1日目プログラム 11/23(日)】
12:30 開場
13:00 開会宣言
14:00-15:00 ほんのれんクラブ|ほんのれんラジオLIVE
16:00-17:00 着物コンパ倶楽部|黒留袖ファッションショー
18:00-19:30 武邑光裕|トークイベント
19:30 挨拶
【2日目プログラム 11/24(月祝)】
11:30 開場
12:30-13:30 千夜千冊パラダイス|おっかけ千夜千冊ファンクラブSP Live(この記事)
14:00-16:00 MeditLab|米光一成 × 小倉加奈子トーク&ゲームプレイ
16:30-18:00 田中優子学長|酒上夕書斎SP
18:00 閉会挨拶
【2日間通しプログラム(11/23-24)】
・終活読書★四門堂 × 多読ジムClassic × 大河ばっか!|古本市
・EDO風狂連|100人連句
・軽井沢別想フロンティア|「浅羽米」販売
・OUTLYING CLUB|武邑光裕式パネル展示
・よみかき探Qクラブ|あそびコーナー
・倶楽部撮家|写真展示
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・11/23(日)16:00-17:00:着物コンパ倶楽部|黒留袖ファッションショー(Coming Soon!)
・11/23(日)18:00-19:30:武邑光裕|トークイベント(Coming Soon!)
・11/24(月祝)14:00-16:00:MeditLab|米光一成 × 小倉加奈子トーク&ゲームプレイ(Coming Soon!)
・11/24(月祝)16:30-18:00:田中優子学長|酒上夕書斎SP(Coming Soon!)
今井サチ
編集的先達:フェデリコ・フェリーニ。
職もない、ユニークな経歴もない、熱く語れることもないとは本人の弁だが、その隙だらけの抜け作な感じは人をついつい懐かせる。現役時代はライターで、今も人の話を聞くのが好き。
Neo OPERA PROJECT 〜ズレの工学と物語マザー【物語講座18綴蒐譚場】
世は物語であふれている。文学やエンターテイメントのフィクションを超え、気がつけば、歴史や科学のパラダイム、企業やマーケティングのストーリー、SNSでの自己表現などあらゆるものが物語として語られるようになっていた。が、しか […]
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コメント
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2025-12-25
外国語から日本語への「翻訳」もあれば、小説からマンガへの「翻案」もある。翻案とはこうやるのだ!というお手本のような作品が川勝徳重『瘦我慢の説』。
藤枝静男のマイナー小説を見事にマンガ化。オードリー・ヘプバーンみたいなヒロインがいい。
2025-12-23
3Dアートで二重になった翅を描き出しているオオトモエは、どんな他者に、何を伝えようとしているのだろう。ロジカルに考えてもちっともわからないので、イシスなみなさま、柔らか発想で謎を解きほぐしてください。
2025-12-16
巣の入口に集結して、何やら相談中のニホンミツバチたち。言葉はなくても、ダンスや触れ合いやそれに基づく現場探索の積み重ねによって、短時間で最良の意思決定に辿り着く。人間はどこで間違ってしまったのだろう。