【破 物語編集術体験ツアー 8/26開催】 別様の世界のつくり方

2023/08/09(水)22:55
img

 『木のぼり男爵』を読んでいる。イタリアの作家イタロ・カルヴィーノの代表作だ。ときは1767年6月15日、イタリア・ジェノヴァ近郊にて、ロンドー男爵の長男コジモ(当時12歳)は、父親に反抗して食卓を立ち、樫の木によじ登った。「降りる時は、覚悟をしておきなさい!」という父の売り言葉に「じゃあ、ぼくはもう降りません!」の買い言葉。その言葉を一生守った、というお話である。

 

 65歳で死ぬまで、コジモはずっと樹上で暮らした。一度も地に足をつけなかった。地面の上でなく、木々の上を自分の生きる世界としたのである。そんな無理なルールが守れるはずがないと思うけれど、それを成し遂げるのが物語だ。衣食住にはじまり、知的生活、経済活動、恋愛沙汰、山賊遭遇、火災鎮火、狼退治、農業指導、印刷出版などなどをいかに樹上だけで行ったのか…? できちゃうのである、ということが縷々書かれている。それだけといえばそれだけの話だが、超難しいルールをいかに乗り越えるかに惹きこまれる。ガンコな主人公に肩入れし、絶対、木から降りないでほしいと願いながら読み進める。ヘンテコなルール、無理なルール、それが物語の推進力になり吸引力になる。このこと、また師範代に伝えなくては…。

 

 編集学校では、これまで50期にわたって物語編集術を稽古してきたけれど、まだまだ発見すべきことはたくさんあるようだ。毎期つどう学衆があらたな物語をこしらえる。師範代、師範がそれぞれの知見や経験を持ち寄り、好きな物語や話題の物語を重ねて、物語編集術の型を鍛えてゆく。型は動かないものではなくて、人に合わせ、機会に応じて、やわらかく変化する。「型を破って型へ出る」ということだろう。

 

 [破]では、文体、物語、クロニクル、プランニングと4つの編集術を学ぶ。すべて文章による表現である。「型にはめる」のではなく「型によって動かす」感覚がつかめると、書くことが愉しくなってくる。書くための型があるということは、いつでも足場をつくれる、すぐに踏み出せるということだ。これ以上に心強いことはない。

 

 51[破]をめざす方々にむけて、恒例のエディットツアーを開催する。取り上げるのは物語編集術。[破]でもいちばん美味しいところを味見してもらう。ナビは[破]番匠:野嶋真帆。4期で入門して以来、物語編集術を磨き続け、師範代たちにその秘訣を伝授している。物語講座の開発メンバーでもある。相方のOB師範は、当日のお楽しみ。

 

 ワークでは「型」を使うことによって、木のぼり男爵なみに「ありえない世界」に旅立つ。物語をつくるとは、別の世界をつくること。というと大層なことなのだが、それが小さなキッカケから始まるのも物語の妙。そのあたりも愉しんでいただきたい。

 

 [守]学衆はもちろん、未入門の方も歓迎!

 

■日時:2023年8月26日(土)11:00-12:30
■費用:1,100円(税込)
■会場:オンライン(zoom)
■定員:先着20名
■対象:どなたでも参加できます

■お申込み:<破>エディットツアー2023年8月26日
■申込締切:2023年8月25日(金) 12:00まで

  • 原田淳子

    編集的先達:若桑みどり。姿勢が良すぎる、筋が通りすぎている破二代目学匠。優雅な音楽や舞台には恋慕を、高貴な文章や言葉に敬意を。かつて仕事で世にでる新刊すべてに目を通していた言語明晰な編集目利き。

  • バレエの苗代大国日本◢◤[遊姿綴箋] リレーコラム:原田淳子

    ▼日本のバレエ人口は、2021年の調査で25万6000人だという。2011年は40万人だったそうで、大幅に減ったのは少子化やコロナ禍の影響もあるだろうし、ヒップホップダンスやストリートダンス教室に生徒が流れているからとい […]

  • 響き合う読書【52[破]第1回アリスとテレス賞エントリー終了】

    52[破]は開講から1か月で、最初の山場を迎えた。本日5月19日(日)18:00、第1回アリスとテレス賞「セイゴオ知文術」のエントリーが締め切られた。千夜千冊をもどいて一冊の本について書くお題で競う。  10教室・学衆 […]

  • 桜吹雪のなかで果てるバレエ◢◤[遊姿綴箋] リレーコラム:原田淳子

    ▼桜の花は枯れない。枯れずに散ってしまう。花盛りになったと思ったら、翌日には散り始め、3日後には花吹雪だ。散りゆく桜は、短い命、いさぎよい死、哀しい別離を連想させ、そのイメージを美しくいろどってくれる。けれど、西行の歌「 […]

  • 【52破開講】わ、もう回答来たーっ!!!

    感門之盟DAY3から4週間、門を出たら、あっという間に次の門の前に立っているのが編集学校である。 学衆さんは、壁とか崖とかいう言葉にちょっとビビりつつ、でも、文章の型っていろいろあるの? 物語を書くなんて夢があるなあ、エ […]

  • 【開講迫る52破】エディティングセルフが語りだす[破]に!

    4月6日の伝習座の日、豪徳寺駅前の桜が満開だった。それから1週間あまり。52[破]の師範代たちは、花を散らす風よりも激しい錬破の渦中を進んでいる。 師範代は、伝習座でカマエと方法を大量にインプットしたのに続き、実践的な指 […]