【5月22日参加募集中!】ISIS FESTA SP多読アレゴリア・武邑光裕篇 「記憶の地図と書物の新世紀」~21世紀のアルスとムネモシュネアトラスへ~

2025/04/28(月)18:00
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Outlying 武邑光裕

 

 現代において、生成AIの進化は、私たちの記憶のあり方に大きな変化をもたらしつつある。中世以降、「記憶術」は記憶に場とイメージを刻み込み、個人の内的世界を構築するアルス(技術)であったのに対し、生成AIデバイスやアプリケーションは、あたかも個人の「記憶の宮殿」のように機能しはじめるのだろうか?


 中世以来の記憶術は、決して過去の遺物ではない。特異な美術史家、アビ・ヴァールブルクは、イメージや図像を通じて文化的な記憶が継承されるダイナミズムを明らかにし、作家で記号論学者のウンベルト・エーコは書物と人間の記憶が織りなす知の迷宮を描き出した。

 中世の記憶術から現代の生成AIに至るまで、記憶と場とイメージと書物の諸関係や神秘的な複雑性は、時代とともにどのように変化してきたのか。

 


 中世では、書物と人間の関係はマン・マシン・システムとしての威力を
発揮したのだ。ジョン・ノイバウアーが『アルス・コンビナトリア』(ありな書房)で指摘したのは、

その威力は近世や近代でも、たとえばノヴァーリスやマラルメには継承されていたということだった。
なぜ、そんなことが可能であったのか。
「考えようとすること」(consideratio)が「書かれようとしたこと」(literatura)と対応していたからだ。
「書くこと」と「読むこと」とが有機的に立体的に交差していたからだ。

 

千夜千冊1314夜『記憶術と書物』メアリー・カザラース
https://1000ya.isis.ne.jp/1314.html


 人間の感性を支えるテクノロジーの急速な変化がもたらす記憶の変容と拡張の可能性を探りつつ、記憶術の知恵と技が現代においてどのように応用され、新たなアルスコンビナトリアやムネモシュネアトラスを再編集できるのか。


 今回のISIS FESTAでは【多読アレゴリア】OUTLYING CLUBを率いる武邑光裕が、ヴァールブルクの生涯と彼の未完の図像プロジェクト「ムネモシュネアトラス」を交えがら、記憶をめぐる変革期にある現代、そして未来がどこへ向かうのかを語ります。

 

連鎖する記憶の迷宮へと彷徨い、揺蕩う一夜を過ごしましょう。

 

※本イベントはリアル・オンラインのハイブリッド開催です。

■ISIS FESTA SP多読アレゴリア・武邑光裕篇
「記憶の地図と書物の新世紀」~21世紀のアルスとムネモシュネアトラスへ~
■日時:2025年5月22日(木)19:30-21:30
■参加費:

【一般参加】
 本楼現地参加 3,300円(税込)
 オンライン参加 2,200円(税込)

【多読アレゴリア】OUTLYING CLUB&千夜千冊パラダイスメンバー              
 本楼現地参加 3,300円(税込)
 オンライン参加 無料

*OUTLYING CLUB&千夜千冊パラダイスメンバーの方は、終了後の第二部にご参加いただけます

 

■会場:編集工学研究所1Fブックサロンスペース[本楼](世田谷区赤堤)&オンライン配信
■対象:どなたでも参加いただけます
■定員:30名
本楼現地参加 30名 オンライン参加 無制限
■ゲスト:武邑光裕(メディア美学者、ISISコミッションメンバー)

■内容:武邑光裕さんによる「記憶の地図と書物の新世紀」をめぐるレクチャー
■申込締切:5月22日(木)17:00
■申込カート:https://shop.eel.co.jp/products/es_tour_250522

 

  • 増岡麻子

    編集的先達:野沢尚。リビングデザインセンターOZONEでは展示に、情報工場では書評に編集力を活かす。趣味はぬか漬け。野望は菊地成孔を本楼DJに呼ぶ。惚れっぽく意固地なサーチスト。

コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本

(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025

大沼友紀

2025-06-17

●記事の最後にコメントをすることは、尾学かもしれない。
●尻尾を持ったボードゲームコンポーネント(用具)といえば「表か裏か(ヘッズ・アンド・テイルズ:Heads And Tails)」を賭けるコイン投げ。
●自然に落ちている木の葉や実など放って、表裏2面の出方を決める。コイン投げのルーツてあり、サイコロのルーツでもある。
●古代ローマ時代、表がポンペイウス大王の横顔、裏が船のコインを用いていたことから「船か頭か(navia aut caput)」と呼ばれていた。……これ、Heads And Sailsでもいい?
●サイコロと船の関係は日本にもある。江戸時代に海運のお守りとして、造成した船の帆柱の下に船玉――サイコロを納めていた。
●すこしでも顕冥になるよう、尾学まがいのコメント初公開(航海)とまいります。お見知りおきを。
写真引用:
https://en.wikipedia.org/wiki/Coin_flipping#/media/File:Pompey_by_Nasidius.jpg