こんにちもおめでとうございます。本日(1/6)は知る人ぞ知るシド・バレットの誕生日。本の世界から幸せと出会いを運ぶサッショーこと大音が、おみくじ本第三弾をお届けします。
三人目のおみくじ本祈願者は【スタジオだんだん】の<リトクリ>さん。リトクリはLITTLE CREATURESというイカ天出身のバンドで、2021年1月に、5年ぶりの新アルバムを出すとのこと。2020年を託した本は『野鴨』イプセン/岩波文庫+『ワーニャ伯父さん/三人姉妹』チェーホフ/光文社古典新訳文庫でした。
ドイツ文学からロシア文学へ、舞台から舞踏へフィールドを広げるリトクリさんの2021年の抱負は:
鍵が鍵穴に次々に差し込まれていくような年にしたいです。2、3年後に、僕は生活を変えるのではないかという予感があります。具体的にはまだ見えませんが、現状の仕事を多少は減らし、読書を増やしていくのは確実に思えます。来年は、変化の基盤を築く年、転がるほうに物事が転がっていく年にしたい、というか、なるだろうと思っています。直感を研ぎ澄まして選択していきたいです。
転がりましょうよ。ガラガラ・ガンガンガン!
ま・ま・まさかの大吉3連ちゃん。福禄寿の杖が振られたようです、村のドン・キホーテが見送ってます。
『ふり人間 演劇の境界』石井達朗/小学館
石井達朗さんも千夜千冊では『異装のセクシャリティ』が取り上げられた舞踊評論家。リトクリさんならよくご存じかもしれませんが、本書は石井氏がニューヨークにいた頃に書かれたパフォーマンス論の原点です。
冒頭は東武練馬駅ホームから「田遊び」の痕跡を幻視する場面に始まり、「ふり」がシャーマニズムから神事芸能や伝統芸能を経て演劇・舞踊・音楽・美術に発展していった経緯、それが日常生活の自己表現や非言語的コミュニケーションでもあれば、スポーツやゲームにもなり、政治・社会・経済・宗教行為ともみなされることを幅広く研究された成果。アメノウズメとサンスクリット演劇、そしてジョン・ケージがまぜまぜに語られるのが魅力です。こちらが転がる方角だろう、と僭越ながら。
<リトクリ>さんからエディストの皆さんへの伝言は:
…運勢:大(きなターンが)吉
(本書からのお言葉)
「詩人の言葉は、咲かないハスの花である。役者がそれを咲かせる」と『ナーティア・シャーストラ』は語る。
(注)
『外地の三人姉妹』は多田淳之介演出、東京デスロック×KAAT@神奈川芸術劇場にて上演。原作はチェーホフ、翻案・脚本はソン・ギウン。3姉妹は朝鮮半島に駐屯する日本軍の亡くなった将校の娘たちとして東京へ望郷の想いを募らせていたというお芝居。Freakout!
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大音美弥子
編集的先達:パティ・スミス 「千夜千冊エディション」の校正から書店での棚づくり、読書会やワークショップまで、本シリーズの川上から川下までを一挙にになう千夜千冊エディション研究家。かつては伝説の書店「松丸本舗」の名物ブックショップエディター。読書の匠として松岡正剛から「冊匠」と呼ばれ、イシス編集学校の読書講座「多読ジム」を牽引する。遊刊エディストでは、ほぼ日刊のブックガイド「読めば、MIYAKO」、お悩み事に本で答える「千悩千冊」など連載中。
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