七草粥、おめでとうございます。今日も本の世界から幸せと出会いを運ぶサッショーこと大音が、おみくじ本第四弾をお届けします。
四人目におみくじ祈願に訪れられたのは【スタジオこんれん】椿和恵さん。受付〆切を5日ぶっちぎっての参拝が、クリスマスを尻目に書院を賑わせてくれたのも今は懐かしい昔話です。2020年を託した本は『自己創出する生命』普遍と個の物語/中村桂子/哲学書房+『カウンセリングの実際』河合隼雄/<心理療法>コレクションⅡ/岩波書店でした。
2021年の抱負は:
言葉を深めつつ広げたい。4月に息子が大学、娘が高校進学予定で私は子離れの季節。その後は私の時間が増えていきそう。その時間で仕事の言葉、物語の言葉を豊かにしていきたい。テレワーク・副業と働き方はコロナで変化が加速し、実務的な時間に埋めつくされそうな気配。だから本の中だけでも浮世離れ的な時間を持ちたい。心の高まりに言葉を乗せて表情豊かな年になりますように。
それではよろしくガラガラ・ガンガンガン!
「犬吉」のおみくじ出ましたー。こちらは寿老人さまが連れてきたグレート・デーン? いや、ご老人、引っ張られていましたね。
『友だち』シーグリッド・ヌーメネス著、村松潔訳/新潮社
語り手は、最愛の男友だちを自殺で亡くした初老の作家、<わたし>。彼女の元に彼の残した巨大な老犬がやってくる。そんな世界定めから浮かぶのは、自己憐憫に溢れたスイートな物語ですが、そうではありません。ストーリーはほとんどないに等しく、読者は彼女と一緒にその考えの中へまっすぐに招かれます。考えの中には古今の多くの作家や小説の言葉・場面が去来します。
それらこそが彼女の友だち? ない暇を盗んでは物語を読んでいるわたしたちの友だち? 声や言葉に出すことなく人や犬のアタマのなかで、ひそやかに立つさざ波こそが表情豊かな言葉なのかもしれません。良い一年と、さらに良い十年を!
…運勢:犬吉(心願成就は尻尾の向きと相談ですね♪)
(本書からのお言葉)
お伽話を書きなさい。何人かの女性たちにとって、それは復讐を夢見るチャンスだった。
☆ 彡 ☆ 彡 ☆ 彡 ☆ 彡 ☆ 彡
大音美弥子
編集的先達:パティ・スミス 「千夜千冊エディション」の校正から書店での棚づくり、読書会やワークショップまで、本シリーズの川上から川下までを一挙にになう千夜千冊エディション研究家。かつては伝説の書店「松丸本舗」の名物ブックショップエディター。読書の匠として松岡正剛から「冊匠」と呼ばれ、イシス編集学校の読書講座「多読ジム」を牽引する。遊刊エディストでは、ほぼ日刊のブックガイド「読めば、MIYAKO」、お悩み事に本で答える「千悩千冊」など連載中。
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