50破セイゴオ知文術へ、”全集中”はじまる。 50破hyo-syoちゃんねるvol.1

2023/05/12(金)09:09
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「破」はただの学校ではない。

 

「破」の方法にこそ、

編集を世界に開く力が秘められている。

 

そう信じてやまない破評匠ふたりが、

教室のウチとソトのあいだで

社会を「破」に、「破」を社会につなぐ編集の秘蔵輯綴。


 

4月24日月曜日に幕開けの号砲が鳴った50破。2008年以来の12教室、そして96名の学衆という満席フルマークで出発した船は早くも最初の関門、「セイゴオ知文術」のお題に接近している。

 

セイゴオ知文術とは、破ボードメンバーが選んだ10冊の本から1冊を選び、松岡校長の編集術を総動員して800字の文章を書く=知文するお題である。ISISの外の方にはピンとこないかもしれないが、松岡正剛 千夜千冊にならって1冊の本を800字で自分のメッセージにしていく、というたとえがいちばんわかりやすいだろう。

 

50破で提示された課題本10冊は以下になる。

 

『悪童日記』アゴタ・クリストフ
『文字逍遥』白川静
『地球にちりばめられて』多和田葉子
『生命誌とは何か』中村桂子
『フラジャイル』松岡正剛
『虫と歌 市川春子作品集』市川春子
『東京プリズン』赤坂真理
『数学する身体』森田真生
『あなたの人生の物語』テッド・チャン
『椿の海の記』石牟礼道子

 

このうちの1冊を学衆が選んで知文する。すでに面白く読み込んでいる、という学衆もいれば、手には取ってみたが壁が高くどの本を選ぶか呻吟中、という人もあり多種多様な稽古模様だ。

 

夏になれば「〇〇文庫の百冊」という帯がついて平積みになるのが書店の風物詩だが、こちらの10冊もいずれも文庫本で入手しやすいし、どれも読みごたえは十分だ。2023年、「50破の10冊」と呼んでいただいてさしつかえない。ISIS学衆でない読者も、この10冊を手に取れば今の時代に刺さる何かを感じられるものばかりだ。

 

ただし、稽古に臨む学衆のみなさんには改めてお伝えしておきたい。これらの本が課題本に選ばれているのは“名著”だからというわけではない。確かにいい本が揃っているとは思うが、内容がいい本だという前提だけで稽古に臨むと「セイゴオ知文術」はうまくいかないし、逆にこの本を貶してやろうと身構えて臨んでもいい稽古にはならない。

 

ではどう読むのか。学衆以外の読者にもわかるように少しだけコツを開示するとすれば、ひとつには、これらの本の「地」をどう読むか、ということがある。

 

10冊の本はいずれも文庫本で分量が限られていることもあって、いきなり核心に入っている。それぞれの著者の文体の特徴もクセも含めてよく出ている。迂闊に読んでしまうとこれに跳ね返され本にまったく馴染めずに終わる恐れもある。いまどきの読者優先、とにかく読者視聴者にわかりやすくコンテンツを作らなければ売れないという風潮に慣れた読者が同じ感覚で手に取ると、手強さが印象に残る本たちだ。

 

こういうときこそ「方法」で迫る力が試される。本を「図」と捉え、その「地」は何か、想像したり調べたりしながら読み進めていくのだ。実際、これら10冊の本それぞれにはたくさんの「地」となる本や情報がネットワークの翼を広げている。そのすべてを捉えることはできないにしても、どんな「地」をベースにして”この本”という「図」があるのか、その読み解きが内容を要約するうえでも重要になる。ちょっと古いフレーズだが、方法に”全集中”していくのだ。

 

本を、既知の本として読むのではなく、方法を携えて未知に向かって読む。50破では師範代向けの「評匠庵」も開設された。実地の編集術・方法術を稽古とともに伴走し続ける。


  • 中村羯磨

    編集的先達:司馬遼太郎。破師範、評匠として、ハイパープランニングのお題改編に尽力。その博学と編集知、現場と組織双方のマネジメント経験を活かし、講
    座のディレクションも手がける。学生時代は芝居に熱中、50代は手習のピアノに夢中。

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