
並べ替えた付箋を参加者同士で見比べる。中には4名中3名が今年「車を買った」ことが判明したグループも。自動車王国・愛知県らしさがこんなところにも!?
久野師範代は「次は『自分にとって大切なもの』の順に並べてみてください」「将来、役に立ちそうなものの順では?」と問いかける。値段の順とは全く違う並び方になっていく。オーダー(順番)をつけることも編集だ。
「編集では、どんな軸を立てて物事を考えられるかということや、
面白いモノサシを設定できるかが重要になります」
次に、久野師範代は2人一組になって、出された付箋と「お寺にあるもの」を3つ組み合わせて「100年後に残したいもの」を考える、というお題を出した。参加者の注意のカーソルが、テーブルの上から離れて、お寺中を駆け巡りはじめる。
弘晃師範代チームはお寺にあった「あやとりの紐」と、メンバーが最近買った「固定種の種」「手筒花火」から、100年後に残したいものとして「利他」をピックアップ。他のチームでは長善寺が武将・佐々成正の菩提寺であることに注目して「変化を受け入れる覚悟」としたところも。

全く関係がないと思っていたことや、偶然に手にとったもの同士にも関係性を見つけ、新たな意味やメッセージを見出していくことができる。それが編集の「型」の力なのだ。
◆お寺の編集、編集のお寺
エディットツアーの最後に、住職の蒲池師範代が登場。今日のエディットツアーでも大活躍したホワイトボードは、なんと庫裏の障子を改造したものであることが明かされる。
「お寺には○○してはいけない、というしきたりが多い。
でも、僕はそれを変えていきたい。
例えば『柱に落書きしてはいけない』というルールがあるけれど、お寺は「自由に落書きできる、子どもの遊び場」のような場であってもいいのではないか。そう考えて、障子をホワイトボードに変えました」

ホワイトボードを使って、檀家さんや地域の人と一緒にお寺の将来を自由に話し合う会もしていきたいと話す蒲池師範代。
「今までは昔からこう言われているから、とか、これが決まりだからと
いう考え方で檀家さんとも話していたように思います。
けれど、自分なりの軸をもって、親鸞聖人の教えをもっと自由に
アウトプットしてもいいんじゃないかな、と思うようになりました。これは編集学校で学んだ影響ですね」
[守]コースではルール(規則)・ロール(役割)・ツール(道具)の「ルル三条」を楽しく動かしながら、さまざまな場面をダイナミックに動かしていく方法も学ぶ。
今までとは違う方法で仕事に取り組みたい人、生活を少し変えてみたいと思う人にも編集が力になる。情報を楽しく使いこなす「知」のナビゲーター、頼もしい師範代とともに54[守]で学んでみませんか。
文/石黒弘晃・石黒好美
写真/木村善則
◆イシス編集学校 第54期[守]基本コース募集中!◆
稽古期間:2024年10月28日(月)~2025年2月9日(日)
詳細・申込:https://es.isis.ne.jp/course/syu