「大義名分は年始挨拶だけど、実態は校長松岡正剛への恋文? それとも直訴状!?」とほくそ笑みながら企画から制作まですべての指揮をとるのは、九州支所「九天玄氣組」組長の中野由紀昌である。九天の年賀作品は、発足した2006年から2024年までの18年間、毎年欠かさず松岡校長に贈り続けている。
2024年の作品は、年始挨拶と松岡校長の傘寿祝いを掛け合わせたために、いつもに増してスペシャルだ。企画は2本立て。一つは「QtenGenkiMagazine2024『龍』傘寿号」、もう一つは和傘オブジェ「玄氣昇龍祝い傘」である。『龍』は『遊』(工作舎)に肖った2023年の『卯』言祝号に続くものだが、内容はぐんとアップグレード、積極的に“外気”を取り込んでいる。
表紙絵は小川景一(千離衆/鹿児島)。印刷版は校長と組員のみ(全208頁)
松岡校長とは旧知の仲である中洲の女帝「リンドバーグ」オーナー藤堂和子さんのお祝いメッセージ、太宰府天満宮の西高辻信宏宮司のインタビュー、曼名伽組の小島伸吾組長と学林局・田中晶子所長を交えて地域支所の編集についての座談会、『松岡正剛の国語力』(東京書籍)を擬いた「九天玄氣の郷読力」では門倉正美(千離衆/福岡)が入念に作問した。「蘩蔞(はこべ)新聞」は、松岡校長の誕生日にかけて古今東西の1月25日ニュースを収集し、新聞チックに編集。なかでもセイゴオ生誕の愛らしい写真は、イシス編集学校の学衆、師範代、師範だけでなく、セイゴオファンも「おお!」と目が釘づけになるに違いない。
鉛筆のちびり具合に格闘の跡!?
じつは『龍』の大部分は、三苫麻里(師範代・千離衆/福岡)の「日々ノトモシビ」が占めている。「言葉は灯火」として九州にまつわる書物の一節を抜き出して独自のコメントを添え、2023年の元日から大晦日まで、一日も休まずeditcafe 九天玄氣組ラウンジに投稿したのだ。毎日灯るトモシビに九州らしさを捉えようとしたもので、『龍』には一挙に掲載しているのだが、圧倒的なボリュームに松岡校長も「これはすごい。簡単にできることじゃない」と感心することしきりだ。
冒頭の総括コメントを読む。「九州はウツシ・シズメ以外にカセイもあるのか」
最後に、すべての企画を華やかに彩る「玄氣昇龍選書」をご紹介する。「松岡正剛校長に贈りたい本」を組員が選び抜くという、恐れを知らない子羊のたわむれ企画なのだが(笑)、たわむれの拍車は輪をかけて加速し、なんと和傘オブジェ「玄氣昇龍祝い傘」に化けてしまった! 現在、本楼に吊られている華やかな和傘は『龍』の付録なのだ。たわむれもここまでやればアッパレ! と言わんばかりに、松岡校長も和傘の下にもぐったり、クラウン・ブック(豆本)を一つずつ手に取りながら、子羊たちに囲まれて始終笑顔ではしゃいでいた。
縁起モノの「玄氣昇龍祝い傘」、本楼に展示されているうちにご覧あれ!
「玄氣昇龍選書」には32名が寄稿
「玄氣昇龍祝い傘」にはクラウン・ブックと選書のフレーズを抜き出した短冊がセットでぶらさがる
九天の手匠・内倉須磨子(北九州)制作の玄氣昇龍祝い傘にもぐりこみ、たわむれるセイゴオ校長
ほかにも企画盛りだくさんの『龍』傘寿号、ぜひ読んでみたいと思った方にご案内!
【注目】
「QtenGenkiMagazine2024『龍』傘寿号」をデジタルブック化して、期間限定で有料配信します(全208ページ)。九天玄氣組をはじめ地域支所の活動に関心のある方はもちろん、イシス編集学校の知られざる編集文化の一面を紐解く内容です。今だけの配信ですので、お見逃しのないように。
詳しくは瓢箪座ホームページ、ZIZOBOOKSへどうぞ。(期間限定配信:2024年4月30日まで)
福岡から乗り込んだ中野組長(前列左)と、飾りつけに駆けつけた関東在住の九天組員有志(1月23日)
★「セイゴオちゃんねる」では、松岡校長に作品を贈呈したときの様子が掲載されています。遠距離ゆえに毎年郵送でのお届けでしたが、傘寿のお祝いに!と駆けつけました。直接お渡ししたのは18年目にして初です。
中野由紀昌
編集的先達:石牟礼道子。侠気と九州愛あふれる九天玄氣組組長。組員の信頼は厚く、イシスで最も活気ある支所をつくった。個人事務所として黒ひょうたんがシンボルの「瓢箪座」を設立し、九州遊学を続ける。
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