「忌まわしさ」という文化的なベールの向こう側では、アーティスト顔負けの職人技をふるう蟲たちが、無垢なカーソルの訪れを待っていてくれる。
このゲホウグモには、別口の超能力もあるけれど、それはまたの機会に。

「編集」という言葉が注目されるようになった。検索サイトに「編集 本」と打ち込めば「編集とは」「編集思考」「編集視点」などをタイトルに含む書籍がずらりと表示される。では「編集」とはなんだろうか。一般的には書籍、新聞、雑誌、テレビ、映像、webサイトなどの編集作業を思い浮かべる方も多いだろう。イシス編集学校も、プロの編集者を養成する学校だと思われることがある。だがこの学校では「編集」をうんと広く捉えている。
オンライン学校説明会のナビゲーターを務めた衣笠純子は、編集をひとことで言いあらわした。
「編集」とは「情報」に関わるあらゆる営みのこと
ふだんの会話にも編集があり、家事も学問もスポーツも子育ても編集が動いていると見るのがイシス編集学校だ。ただし、編集の方法は自覚されていないことが多い。そこで情報がどのように編集されているかを取り出し、方法としてさまざまな場面や局面で生かせるようにするのが「編集術」である。
あれこれの情報が「われわれにとって必要な情報」になることを、ふつうは「知」といいます。情報をそのような「知」にしていくことが編集なのです。
松岡正剛『知の編集術』(講談社現代新書)p.8
この日、オンラインの学校説明会に参加されたSさんは、神奈川県にお住まいの薬剤師さんだ。家庭を優先して20年ほど仕事から離れた時期があったが、復職してからもすでに20年以上経ったという。
先日、MEdit Labを知りました。おしゃべり病理医・小倉加奈子さんのお話がおもしろくってどっぷりはまってしまって。2週間ほどずっと見ていたんです。そこでイシス編集学校のことも知って、どんなところかなと思って今日の説明会に参加しました。
カメラオフで参加していたSさんだが、弾むような声色からMEdit Labにぞっこんな様子が伝わってきた。ところが、そのあと少し声のトーンが下がる。
長年医療従事者として働いてきたので、分野が固まってしまってなかなか他の分野にいけないんです。人生二周り目を過ぎたわたしのような年代でも、編集稽古はできるでしょうか?
衣笠は即答した。「もちろんできます!」
イシス編集学校の学び手は8歳の小学生から90歳近い人生の大ベテランまで年齢もさまざま、職業や経歴もさまざまだ。全国津々浦々、はたまた海の向こうからの受講者たちがオンライン上の教室に集って学んでいる。1対1に閉じた通信教育とは違い、教室の仲間同士の多様な交わし合いが起こり、学び手と学び手、学び手と教え手のあいだに「相互編集」が生まれるのがイシスの大きな魅力だ。
校長・松岡正剛は言う。
自分で編集するのもいいのだが、誰かによって編集されることも重要である。編集術は他者に編集されることによって、より洗練されたものになっていく。
松岡正剛『知の編集術』(講談社現代新書)p.255
Sさんは、おそらく娘ほどの年齢であろう参加者とともに1時間ほど編集ミニワークを楽しんだ。《地と図》《ミメロギア》《編集思考素》といった基本コース[守]で学ぶお題にチャレンジしながら、他者とともに学びあう相互編集のプチ体験ができる。
すべてのお題を終え、説明会の最後に感想を訊かれると、それまで真っ暗にしていたカメラをONにしたSさん。朗らかな笑顔でこんな言葉を残していった。
若い方と一緒になにかができたらいいなと思います!
いくつからでも、いくつになっても、チャレンジできる編集稽古。
思い立ったら、まずは[守]へどうぞ!
福井千裕
編集的先達:石牟礼道子。遠投クラス一で女子にも告白されたボーイッシュな少女は、ハーレーに跨り野鍛冶に熱中する一途で涙もろくアツい師範代に成長した。日夜、泥にまみれながら未就学児の発達支援とオーガニックカフェ調理のダブルワークと子育てに奔走中。モットーは、仕事ではなくて志事をする。
【参加者募集】とっておきのお茶×読書×編集体験!9/13「本楼共茶会」コールドブリューベリーモヒート茶篇
9月13日(土)、松岡正剛プロデュースのブックサロンスペース「本楼」にて、お茶×読書×編集で参加者のみなさまを意外な世界へお連れする「本楼共茶会」(ほんろうともちゃかい)を開催します。7度目となる今回は「コールドブリュー […]
本楼の躙り口近くに松岡正剛校長の提灯が下がっている。チェ・ゲバラを擬いたものだ。ゲリラは毎日が未知の連続。何が起こるか分からない。だからこそ「常に編集を起こしている」存在とも言える。松岡校長が20世紀最後に記した千夜千冊 […]
さあ、お待たせしました!感門之盟のクライマックス「冠界式」のお時間です。新師範代たちの教室名がついに明かされます。発表の瞬間、どんなリアクションをするのか。どうぞお楽しみください!! 家村吏慧子 師範代 ハ […]
読書のキッカケは突然だ。ネットや書店で見て、誰かに薦められて、あるいは「師範選書」を知って。 イシス花伝所で2期以上指導を担った者へ贈られる師範選書。今季はこの一冊が贈られた。 『アナーキスト […]
松岡校長が残した「花伝」の書は126通り。生前、花伝所の師範に贈る「花伝扇」に書かれた数だ。相手を思いながらとった筆は、ひとつひとつ違う書を生んだ。「今後はたくさんの【花】と【伝】の文字を組み合せて、扇を渡していきなさい […]
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2025-09-16
「忌まわしさ」という文化的なベールの向こう側では、アーティスト顔負けの職人技をふるう蟲たちが、無垢なカーソルの訪れを待っていてくれる。
このゲホウグモには、別口の超能力もあるけれど、それはまたの機会に。
2025-09-09
空中戦で捉えた獲物(下)をメス(中)にプレゼントし、前脚二本だけで三匹分の重量を支えながら契りを交わすオドリバエのオス(上)。
豊かさをもたらす贈りものの母型は、私欲を満たすための釣り餌に少し似ている。
2025-09-04
「どろろ」や「リボンの騎士」など、ジェンダーを越境するテーマを好んで描いてきた手塚治虫が、ド直球で挑んだのが「MW(ムウ)」という作品。妖艶な美青年が悪逆の限りを尽くすピカレスクロマン。このときの手塚先生は完全にどうかしていて、リミッターの外れたどす黒い展開に、こちらの頭もクラクラしてきます。